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スタッフ日録:回転丸椅子の再生#17

2024.07.26 Category :


暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

こんにちは。スタッフNです。

今回は以前にスタッフ日録で紹介した肘掛け椅子と同じようにリペアした古い回転椅子についてご紹介させていただきます。

この丸い回転椅子はおそらく大正から昭和初期頃のものと思われます。

昔は座面のネジをクルクルと回転させて、高さ調節するタイプの椅子が一般的でしたが、油圧式の椅子が登場してからはその姿を見かけることが少なくなりました。

天板と脚はシンプルな作りですが、丈夫な無垢材を使用しているため、長い年月を経た今でもしっかりしていて驚きました。

座面の張り替えは職人さんに依頼しました。

古くなり傷んだ稲藁と麻布を取払い、柔らかく座り心地の良いウレタンに詰め替えてもらいました。

手の感覚を頼りに丸く成形し、均等な高さや厚みに整えます。

最後は生地がシワにならないよう伸縮も考え丁寧に布を張り、鋲を打って完成です。

引き取った時はボロボロで傷んだ椅子でしたが、生地を張り替えて拭き掃除しただけで、見違えるほど綺麗に仕上がりました。

鮮やかな山吹色が空間の雰囲気を明るくしてくれるので、密かに気に入っています。

時々、撮影の小道具として使用したり、スタッフの休憩の際にも活躍しています。

皆様のお住まいにも古い家具や壊れて仕舞われたままの家具がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。

この度は大切なお品ものをお譲りいただき誠にありがとうございました。


品名:回転丸椅子
産地:日本
時代:大正-昭和初期


前回のブログ↓
ついに完成|本うるし金継ぎ教室 in ORIGEN



ついに完成|本うるし金継ぎ教室 in ORIGEN

2024.07.17 Category :

本うるし金継ぎ教室
こんにちは。

スタッフSです。

昨年の10月から習い始めた本漆金継ぎ。

月2回のペースで修復を続けていた器が、ようやく完成いたしました!

通常4ヶ月程度で修了予定のところですが、失敗した箇所をやり直していると随分と時間がかかってしまいました。
本うるし金継ぎ教室
1作目は古伊万里の芙蓉手皿です。

繋ぎ目が長かったので金ではなく、控えめな錫粉仕上げにしてみました。

大ヒビ・大割れのお皿だったので綺麗な線を引くのに手こずりました。

最初はもう少し簡単なものから始める方が良さそうです。。。
本うるし金継ぎ教室
二作目は瀬戸麦藁手の湯呑。

高台の面取りは上手くいきましたが、付け足した漆の研ぎが甘くて少しぷっくらしています。

根気のいる作業が続き、最後に詰めの甘いところが出てしまいました。。。

はじめてということで、大目に見てください。
本うるし金継ぎ教室
最後は中里隆さんの松文角切皿。

自宅で割ってしまった愛用の品です。

器の表面に細かい凹凸があり、なだらかに研ぐのが難しくて苦戦しました。

小生に本金はまだ早いので安価な真鍮粉にしてみましたが、落ち着いた柔らかな金色で気に入っています。

自宅で使い、育てたいと思います。

はじめての金継ぎはとても時間が掛かりましたが、手をかけて修復したので器への愛着が増しました。

手間暇と根気のいる金継ぎですが、作業に没入している間は時の経つのも忘れ、毎回あっという間に2時間の教室が終わってしまいました。

もっと上達したいですし、修復したい器も沢山あるので、これからも金継ぎの練習を続けて行きたいと思います。

また新たな器に取りかかっていますので、時々アップしたいと思います。

ご清聴ありがとうございました。


本金継ぎ

合成接着剤を使う簡易金継ぎではなく、本漆を用いた本金継ぎを学べます。

古いものを大切に守り、次代に繋げる技術を一緒に学びませんか。

折角の機会ですので、ご興味のある方は是非ご参加ください。

ご興味、ご関心と直したい器があればどなたでもご参加いただけます。

少人数制の為、席に限りがございます。

お早めにお申し込みくださいませ。

修理中の陶磁器・道具類は保管いたしますので身軽にお越しいただけます。

受講の回数は2~3点の修復で約8回です。
金継ぎがスムーズに進んだ場合の目安になります。
修復する器の程度や状態、経験や個人差等により回数は前後いたします。


お申し込み方法

メールもしくはinstagramのDMからお申し込みください。

ご参加希望・お名前・電話番号・メールアドレスをお知らせください。

メールアドレス:info@osaka-origen.com

instagram:origen_osaka


先生のご紹介

大阪福島金継ぎ教室 むつき
森本直子先生

2003年 大阪芸術大学デザイン学部卒業
2007年 裏千家茶道専門学校卒業
10年以上茶道に関連する仕事に従事した後に金継ぎと出会い、技法を習得

instagram:kintsugi.fukushima
https://www.kintsugi-fukushima.com/


開催場所

SHINGAN
大阪市天王寺区城南寺町1-16-3F

大阪メトロ谷町線:谷町6丁目駅
大阪メトロ千日前線:谷町9丁目駅
大阪メトロ長堀鶴見緑地線:玉造駅
近鉄大阪線/難波線:大阪上本町駅
JP環状線:鶴橋駅・玉造駅

各最寄駅から12-15分


教室開催日と時間

毎月第1・3木曜日:13:00-15:00
※欠席時は福島教室への振替可能(天王寺教室での振替受講はできません)
※器の修復状況や金継ぎの習得状況・ご希望により継続受講も応相談可


費用について

入会金
5,000円
※筆・ヘラ・真綿含む

受講料
月2回8,500円材料費込み
※本金・本銀粉は別途購入
※月初に現金払い


持ち物

修復したい陶磁器3~5点程度
※器のご用意が足りない方はご相談ください。
エプロン/汚れてもいい服装/アームカバー


前回のブログ↓
スタッフ日録:和菓子のかたち#16



スタッフ日録:和菓子のかたち#16

2024.07.12 Category :

和菓子木型
奈良県大和高田市にお住まいのお客様より、和菓子の菓子木型をお譲りいただきました。

この木型は古い建物の屋根裏に眠っていたものを店主が見つけたものです。

ご依頼人様は木型の存在すら知らなかったそうで、なぜ屋根裏に木型が残されていたのかはわからないそうです。

四季折々の花や伝統文様が彫刻された木型は、落雁などの干菓子や煉切などの上生菓子を作るのに欠かせない製菓道具です。

機械化や大量生産が当たり前となった現代では、職人の手で作られた木型は非常に貴重なお品ものです。

私自身も、かつて製菓業界に携わっていたため、職人が技巧を凝らし古くからの伝統を受け継いできた製菓道具を見ると深い感慨を覚えます。
和菓子木型
木型職人は和菓子職人の想いを的確に汲み取り、数種類のノミや彫刻刀を用いて繊細な意匠を彫り上げます。

木型には水に強く耐久性に優れた桜の木が使用されておりますが、現在では桜材の入手がしづらくなり、木型職人の数も非常に少なくなっています。

こうした背景の中で職人たちが丹精を込めて作り上げた木型は、資料としての価値も高く、日本の伝統や季節の移ろいが感じられる高い彫刻技術が国内外で評価されています。
和菓子木型
和菓子の木型はお菓子作りの道具でありながら、美術館で展示されるなど単なる道具を超え芸術作品としても評価されています。

経年劣化によって摩耗し乾燥でひび割れ傷んだ木型は、木の枠を足したり修繕することで長く使い続けることができます。

お譲りいただいたお品ものの中にも、ひび割れを釘で修理したものがありました。

傷んだ道具も捨ててしまうのではなく、繕い直し大切に使われていたことが伺えます。

この度は大切なお品ものをお譲りいただき誠にありがとうございました。


前回のブログ↓
館林源右衛門|出張買取 in 大阪市阿倍野区