The Origen Best Item of the year 2022.

2022.12.26 Category :


昨年のこの時期に突然、思いついて始めたOBI(“O”rigen “B”est “I”tem)
その年に出会ったお品もののなかで最もユニークで印象深かったお品ものをご紹介すると銘打って始めましたが、独自性・時代性・希少性の三つの要素を兼ね備えたもののみに与えると言う厳しい選定基準を設けた為になかなか納得できる一品を選べずにいました。

一年の間に沢山の面白いものとの出会いはあったのですが決定打に欠け、さて今年どうしようかと悩んでおりました。

今年になって入手したものを掘り返して見てもどこか釈然としないまま・・・今年は受賞なしにしようかと諦めかけたところに一筋の光明(妙案)が差し込みました。

自分自身で考えた制約と思い込みで縛られていた視野を少し広げました。
それではご紹介いたします。

長い時間をかけて木とニスが飴色に経年変化し、なんとも言えない味へと変化している木材。

作られてから100年程は経過した家具に使われていた楢材です。

柾目に引いた際に現れる特有の虎斑が抜群に美しい。

極力、表面は削り落とさずに再利用するように努めましたが少しだけ、経年変化を楽しむ部分として鉋をかけ、木肌の持つ美しい素地を現していただきました。

森の王様とも呼ばれる楢材は非常に硬く加工が難しい木材。

更に長い時間をかけて乾燥し割れてしまったり、反りや変形した古材を再加工するのは製材された材料に比べ数倍もの手間がかかります。

貫に残る切り込みはかつて受け材が嵌めてあった部分。

出来るだけ痕跡を残すようにしつつも、見えない部分に契りや埋木を施し補強しています。

裏面には反りを防止するための桟。

対角線にクロスする2本の筋交が構造に強い剛性を与え、デザイン性を高めるアクセントになっています。

さて、もう概ねどんな物かはお分かりかと思いますが。。。今年のOBIはこちら。。。

お客様から引き取りさせていただいた大正-昭和初期の本棚を分解し古材で作ったスツールです。

過去のBlogを見て知っている方も居られるかもしれませんが少し前にご紹介したRevived stoolの古材ver.となります。

何とかなるかと思い引き取ったものの、経年劣化が進み修繕が難しい状態だった本棚。
通常、販売できない家具は廃棄処分となってしまいますがとても良い作りと木材で廃棄できず…何かに使えないかと考えて保管しており、このように別のものへと形を変えて復活させました。

いやはや、全くもって手前味噌なOBI受賞となってしまい恐縮ではありますが2022年は古い本棚から作った世界にたった二脚だけのRevived stool old naraにいたしました。
独自性・時代性・希少性の三つの要素はちゃんと兼ね備え、条件は満たしているので問題無いかと思います!

来年は古いもので特別に面白い逸品を見つけてご紹介できればと思います。

製作は前回に引き続き大阪で大工道具と手道具のみで家具を作られているKUMITATERU様に依頼しました。
今回も手間の掛かる注文に応えてくださりありがとうございました。
この場をお借りして御礼申し上げます。

Revived stool ON
・ミズナラ材(古材)
・自然塗料クリアオイル仕上げ
・座面:W362mmxD313mm
・高さ:420mm
二脚限定生産
・販売価格77,000円(税込)
ONLINE SHOPにて販売しております。
前回ご紹介したビーチ材によるRevived stoolはこちら

KUMITATERU
WEBサイト
https://kumitateru.mystrikingly.com
Instagram
@kumitateru2017
YOUTUBE
https://www.youtube.com/channel/UCztLdFVNHMF1j9hjRthEQOw

昨年のOBIはこちら



Revived stool

2022.10.31 Category :


スツールを作りました。

原型は出張買取で伺った古い民家に残されていたもの。
学校の工作の授業で作ったと思われる古い素人作りの椅子です。

実際は椅子というか荷物置きとして長年、部屋の片隅で使われていた様子。
特に大切にされていたり、思い入れがあったようには見受けられませんでしたが、
何故か捨てられずにずっと形の残るもの、、、というものがあります。
手鋸で切った建材を素人が釘で打ち、雑にペンキを塗っただけの非常に簡単な造りの椅子ですが、
その作為の無さが胸を撃ちました。

素人の作った単なる古い椅子と言ってしまえばそれまでの一脚ですが、
今まで何脚もの古い椅子を見てきた目に自信があります。

作者不明の椅子に新たな価値を与え、蘇らせてみたいと思いました。
ただ複製品として再現するのではなく、
原型にリスペクトを持ちつつも、それを超えていくことを目指しました。
椅子の名前は弊社のキーコンセプトでもある「復活」という言葉からRevived stoolと名付けました。
古い椅子に新たな価値と意味を与え、生かすという意味を込めています。

製作は大阪で大工道具と手道具のみで家具を作られているKUMITATERU様に依頼しました。
原型の椅子には無い、細かな意匠や加工を加えることで、
より洗練された本歌とは異なる佇まいの一脚となりました。
同時に一生ものの椅子として長い時間と強い負荷に耐えうる
強度を持たせる為の工夫も凝らしていただきました。

Revivedに込めた意味にも賛同くださり、あと1mm、もう1mmと
何度も再加工と再製作のために作業場と弊社を往復していただきました。
粘り強く、お付き合いいただきありがとうございました。
この場を借りてお礼申し上げます。

さて、急に家具作りを始めたり、贈り物を作ってみたりと
本業である買取事業を中心に眺めて見ると一体何屋さんなのかと自分でも思いますが、
全ては互いに重なり合っており、緩やかな弧を描きながら
遠い終着点に向かってゆっくりと歩みを進めています。
必ずいつか全てが繋がると自分自身にそう言い聞かせています。

出会った人と共に、ものに新たな生命と価値を与えられる企業を目指すこと。
企業理念のひとつが実現しました。
ご清聴くださりありがとうございました。

Revived stool EB
・ヨーロッパビーチ材
・自然塗料クリアオイル仕上げ
・座面:W362mmxD313mm
・高さ:420mm
受注生産品(納期は1ヶ月前後)
・販売価格66,000円(税込)
ONLINE SHOPにて販売しております。

KUMITATERU
WEBサイト
https://kumitateru.mystrikingly.com
Instagram
@kumitateru2017
YOUTUBE
https://www.youtube.com/channel/UCztLdFVNHMF1j9hjRthEQOw



OPEN THE DOOR

2022.06.29 Category :

いつもBLOGをご覧いただきありがとうございます。

本日はちょっとしたお知らせです。

この度、ウェブサイトにオンラインショップを開設いたしました!

これまでは買取り・売却代行のみでしたが新たにオンライン販売を開始いたします。
(店舗での販売はしておりません)

出張査定で買取りさせていただいたお品ものを中心にバイヤーがセレクトしたものを掲載予定です。

和洋を問わず、時代物や作家物にちょっと変わった珍品までジャンルに捉われずセレクト出来ればと思います。

お譲りいただいたお品ものを次代へと繋げていくために地道にアップしていきますのでどうぞご期待くださいませ。

ガラス工芸家、岩田久利のガラス花瓶を3点アップしました。

小振りで綺麗なガラス一輪挿しです。
良い意味でらしくない作風のものであまり見かけない一品です。

詳しくはONLINE SHOPのページより是非ご覧ください。