昨年のこの時期に突然、思いついて始めたOBI(“O”rigen “B”est “I”tem)
その年に出会ったお品もののなかで最もユニークで印象深かったお品ものをご紹介すると銘打って始めましたが、独自性・時代性・希少性の三つの要素を兼ね備えたもののみに与えると言う厳しい選定基準を設けた為になかなか納得できる一品を選べずにいました。
一年の間に沢山の面白いものとの出会いはあったのですが決定打に欠け、さて今年どうしようかと悩んでおりました。
今年になって入手したものを掘り返して見てもどこか釈然としないまま・・・今年は受賞なしにしようかと諦めかけたところに一筋の光明(妙案)が差し込みました。
自分自身で考えた制約と思い込みで縛られていた視野を少し広げました。
それではご紹介いたします。
長い時間をかけて木とニスが飴色に経年変化し、なんとも言えない味へと変化している木材。
作られてから100年程は経過した家具に使われていた楢材です。
柾目に引いた際に現れる特有の虎斑が抜群に美しい。
極力、表面は削り落とさずに再利用するように努めましたが少しだけ、経年変化を楽しむ部分として鉋をかけ、木肌の持つ美しい素地を現していただきました。
森の王様とも呼ばれる楢材は非常に硬く加工が難しい木材。
更に長い時間をかけて乾燥し割れてしまったり、反りや変形した古材を再加工するのは製材された材料に比べ数倍もの手間がかかります。
貫に残る切り込みはかつて受け材が嵌めてあった部分。
出来るだけ痕跡を残すようにしつつも、見えない部分に契りや埋木を施し補強しています。
裏面には反りを防止するための桟。
対角線にクロスする2本の筋交が構造に強い剛性を与え、デザイン性を高めるアクセントになっています。
さて、もう概ねどんな物かはお分かりかと思いますが。。。今年のOBIはこちら。。。
お客様から引き取りさせていただいた大正-昭和初期の本棚を分解し古材で作ったスツールです。
過去のBlogを見て知っている方も居られるかもしれませんが少し前にご紹介したRevived stoolの古材ver.となります。
何とかなるかと思い引き取ったものの、経年劣化が進み修繕が難しい状態だった本棚。
通常、販売できない家具は廃棄処分となってしまいますがとても良い作りと木材で廃棄できず…何かに使えないかと考えて保管しており、このように別のものへと形を変えて復活させました。
いやはや、全くもって手前味噌なOBI受賞となってしまい恐縮ではありますが2022年は古い本棚から作った世界にたった二脚だけのRevived stool old naraにいたしました。
独自性・時代性・希少性の三つの要素はちゃんと兼ね備え、条件は満たしているので問題無いかと思います!
来年は古いもので特別に面白い逸品を見つけてご紹介できればと思います。
製作は前回に引き続き大阪で大工道具と手道具のみで家具を作られているKUMITATERU様に依頼しました。
今回も手間の掛かる注文に応えてくださりありがとうございました。
この場をお借りして御礼申し上げます。
Revived stool ON
・ミズナラ材(古材)
・自然塗料クリアオイル仕上げ
・座面:W362mmxD313mm
・高さ:420mm
・二脚限定生産
・販売価格77,000円(税込)
ONLINE SHOPにて販売しております。
前回ご紹介したビーチ材によるRevived stoolはこちら!
KUMITATERU
WEBサイト
https://kumitateru.mystrikingly.com
Instagram
@kumitateru2017
YOUTUBE
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昨年のOBIはこちら