七. 一分判金
宝塚市ニテ買イ受ケル。
同業者カラ纏メテ買受ケタ商品ヲ仕分ケテイタトコロ、
小箱ノ隙間カラヒョッコリ転ゲ出テキタ小判金。
漫画ノヨウナ誠ノ話デアル。
七. 一分判金
宝塚市ニテ買イ受ケル。
同業者カラ纏メテ買受ケタ商品ヲ仕分ケテイタトコロ、
小箱ノ隙間カラヒョッコリ転ゲ出テキタ小判金。
漫画ノヨウナ誠ノ話デアル。
奈良県奈良市のお客様より、お譲りいただきました。
奈良一刀彫に新境地を開いた孤高の大佛師。
興福寺大佛師
竹林履中斎(高行)作の阿弥陀如来立像です。
頭光から放射状に伸びる光芒に目が釘付けになる小さな阿弥陀様です。
その頭光の中心にあるお顔はなんとも可愛らしい柔和な円顔。
弓形の目と表情はとても慈悲深く、見方によって優しい笑顔ようにも無言で諭しているようにも見えます。
まるで見る人の心の内を全て見通し、表情を変えて何かを語りかけているかのようです。
頭頂から蓮弁までを一材から彫り出し、華盤・反花・框はそれぞれ個別に彫り出し、組み上げられおります。
身丈の割に大きな頭、ふくよかな体躯は童のような印象を与え、とても愛くるしいお姿。
一方で蓮華座に立ち、来迎印を結ぶお姿は実に堂々とされております。
絶妙な角度の指先と細かな彫りに精魂が宿っています。
「南無阿弥陀佛」
無言の言霊が響き渡ります。
幼少期から小刀に親しみ、誰に習うでも無く類稀な技芸を会得していたという竹林高行。
当時の木彫界の第一人者達が驚く才能だったそうです。
しかしながら、
「顧客に媚びない一徹な芸道が敬遠され、高行自身も社会的地位に関心が薄かった」※1
ようで、それ故にその功績に比べ、世間一般に知られることなく、今では忘れ去られた大佛師と言われております。
高額な報酬、地位や名誉といった一切の煩悩から離れ
一度没頭すると時を忘れて、片時も鑿を手放さず、一心不乱に彫り続けたその姿は正に孤高の大佛師に他なりません。
今はまだ煩悩から離れることが出来ませんが、いつの日か、この阿弥陀様のような円く朗らかな顔の人間になりたい。
そう願い修行を続けて参ります。
下山拝
蓮華座底部に彫銘
大正十年二月二十七日
奉造立
奈良市興福寺大佛師
竹林履中斎
竹林高行
履中斎
明治二年(1869)生
昭和二十四年(1949)亡
享年81歳
奈良一刀彫竹林家初代
世の中の中庸を履むとの意から号を「履中斎」と称する。
奈良一刀彫りの第一人者である竹林薫風氏は子
※1
参考図書
安達正興著
『奈良きたまち 異才たちの肖像』
P247
前回の今日の一品「紫被切子鉢」
あっという間に3年の月日が過ぎ去り、ようやくこの地を再訪することができました。
福岡県福岡市中洲にある博多町屋寄進高灯籠。
月日の過ぎるのは早いですね。
ご先祖様が営んでいた骨董店の名が彫られた石板が嵌め込まれている高灯籠です。
先の大戦により殆ど全ての資料が消失していますが、この高灯籠だけは激しい博多の空襲から逃れ、今に伝わります。
やはり、石は強いですね。
金属製であったら金属回収令により、現存していないでしょう。
かつてお店があったことを示す唯一の証ですので毎年必ず、拝みに行きたいと思っていたのですがこの3年間は叶いませんでした。
3年ぶりに来てみると灯籠の周りに単管バリケードがいくつも置かれていました。
以前は灯籠の足元に花が植えてあったのですが、それもなく…
何か工事をされるのでしょうか?
よく見ると、台座の一部が割れていたり、隙間が広がっていたり、あちらこちら老朽化が進んでいます。
もしかして、取り壊しされるのでは……
歴史ある福岡市の史跡なのでそんな事は無いと信じたいのですが、バリケードや植栽がされなくなった姿を見ると嫌な予感が……
恐らく花火だと思うのですが、以前には無かった焼け焦げた様な跡が……
イタズラ防止の為のバリケードでしょうか。
明治期の個性的なお店の屋号を彫った石板が目を惹く珍しい灯籠です。
現存するお店もきっとあるはずなのでひとつずつ調べるのも面白そうです。
造立から123年が経過しております。
経年劣化も進行していますので保存補修工事の準備である事を祈りたい。
六. 珉平焼 陽刻緑釉五爪龍文小皿
大阪市平野区ニテ買イ受ケル。
箱ニ「二十客揃入」ト墨書き有、内十二客現存ス。
ホツ・ニュウ・釉切レ等ノ窯疵有。
ソレモ亦タ味カ…。
前頁「五. Jhagee Exa」
スタッフMです。
正月気分もようやく抜けました。
布団から出るのはまだまだつらいですが、
えいやと飛び出して冷たく澄んだ空気を吸い込みながら歩く朝はとてもすがすがしく。
なんだかんだ、この季節が好きです。
時は遡って5月某日。
夏は遠くとも、汗ばむ季節。
うずたかく積まれた布、布、古布。
いずれも持ち主様の思い入れのある品であるため、丁重に…
なおかつお引取りするお品物と
それ以外の選別とお片付けを、同時進行でスピーディにこなします。
実際には───
汗をかきかき 雪崩を回避し、箱から箱へ、
二人がかりで上階から下階へのバケツリレー。
スタッフMがお手伝いに行った日を含めて、3日ほどかかったでしょうか?
達成感もひとしおな大仕事として記憶に残っております。
みなさまの眼にはこの雄姿、どのように写りましたでしょうか。
そして、この時引き取ったあまりにも大量の古布山はというと…
なんとまだ…仕分け終わってないのです。
今年こそ、この山を踏破します。
がんばります。
スタッフMでした。
前回の日録はこちら
スタッフMの日録:4 ネオン電球
新年あけましておめでとうございます。
よき新春をお迎えのことと、お喜び申し上げます。
旧年中はひとかたならぬご厚情を賜り、誠にありがとうございました。
本年もお客様のお役に立てられるように誠心誠意努めてまいります。
何卒、よろしくお願い申し上げます。
お正月休みもあっという間に過ぎ去り。。。2023年がスタートいたしました。
もっと沢山寝て、長くゆっくりしていたい。。。ですが。。。そうもいきません。
皆様はどんな風にお休みをお過ごしになられたでしょうか。
私は昨年の抱負を振り返り、考えを巡らせるお正月休みとなりました。
昨年の抱負は。。。
1.丁寧な査定に務める
2.専門知識を深める
3.新規事業を始める
この三つでした。
誠に手前味噌ではありますが、1と3に関しては非常に頑張ったと自信を持って自分を褒めてあげたいと思います。
地道にコツコツと着実に積み上げてきたことがまだまだ小さいですが花を咲かせてくれました。
また別の機会に改めてお知らせしたいと考えております。
一方で2番の「専門知識を深める」に関してはとても恥ずかしいのですが正直なところ、昨年はあまり成長できなかったと自省しております。
新しい事に挑戦する為に大きな労力と時間を割き過ぎた代償です。
仕方の無かった事ではありますが本業において最も大切な事ですので今年は専門知識を深める事に最も時間を使いたいと思います。
ですので2023年の抱負は「専門知識を深める」この一択。できるだけインプットに集中する一年にしたいと思います。
皆様も今年の抱負は考えられましたでしょうか。
今年一年も皆様のお役に立てられる様に成長したいと思います。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
本日を持ちまして2022年の営業を納めさせていただきます。
ご依頼をくださったお客様ならびに協力業者様のお陰で無事に1年間の営業を終えることができました。
誰も想像のつかない様な出来事が多く起こった1年で来年の見通しも未だ見えづらい状況にありますが、自分の身近なところから出来ることを探して実践していきたいと思います。
2023年も人と人との出会いの輪が広がっていく事を楽しみにいたしております。
ご期待にお応えできるよう精一杯努力し、ご縁を大切にして参ります。
よろしくお願い申し上げます。
皆様の健康と穏やかな新年の始まりを祈念し、歳末のご挨拶とさせていただきます。
それでは、よいお年をお迎えください。
ORIGEN
スタッフ一同
昨年のこの時期に突然、思いついて始めたOBI(“O”rigen “B”est “I”tem)
その年に出会ったお品もののなかで最もユニークで印象深かったお品ものをご紹介すると銘打って始めましたが、独自性・時代性・希少性の三つの要素を兼ね備えたもののみに与えると言う厳しい選定基準を設けた為になかなか納得できる一品を選べずにいました。
一年の間に沢山の面白いものとの出会いはあったのですが決定打に欠け、さて今年どうしようかと悩んでおりました。
今年になって入手したものを掘り返して見てもどこか釈然としないまま・・・今年は受賞なしにしようかと諦めかけたところに一筋の光明(妙案)が差し込みました。
自分自身で考えた制約と思い込みで縛られていた視野を少し広げました。
それではご紹介いたします。
長い時間をかけて木とニスが飴色に経年変化し、なんとも言えない味へと変化している木材。
作られてから100年程は経過した家具に使われていた楢材です。
柾目に引いた際に現れる特有の虎斑が抜群に美しい。
極力、表面は削り落とさずに再利用するように努めましたが少しだけ、経年変化を楽しむ部分として鉋をかけ、木肌の持つ美しい素地を現していただきました。
森の王様とも呼ばれる楢材は非常に硬く加工が難しい木材。
更に長い時間をかけて乾燥し割れてしまったり、反りや変形した古材を再加工するのは製材された材料に比べ数倍もの手間がかかります。
貫に残る切り込みはかつて受け材が嵌めてあった部分。
出来るだけ痕跡を残すようにしつつも、見えない部分に契りや埋木を施し補強しています。
裏面には反りを防止するための桟。
対角線にクロスする2本の筋交が構造に強い剛性を与え、デザイン性を高めるアクセントになっています。
さて、もう概ねどんな物かはお分かりかと思いますが。。。今年のOBIはこちら。。。
お客様から引き取りさせていただいた大正-昭和初期の本棚を分解し古材で作ったスツールです。
過去のBlogを見て知っている方も居られるかもしれませんが少し前にご紹介したRevived stoolの古材ver.となります。
何とかなるかと思い引き取ったものの、経年劣化が進み修繕が難しい状態だった本棚。
通常、販売できない家具は廃棄処分となってしまいますがとても良い作りと木材で廃棄できず…何かに使えないかと考えて保管しており、このように別のものへと形を変えて復活させました。
いやはや、全くもって手前味噌なOBI受賞となってしまい恐縮ではありますが2022年は古い本棚から作った世界にたった二脚だけのRevived stool old naraにいたしました。
独自性・時代性・希少性の三つの要素はちゃんと兼ね備え、条件は満たしているので問題無いかと思います!
来年は古いもので特別に面白い逸品を見つけてご紹介できればと思います。
製作は前回に引き続き大阪で大工道具と手道具のみで家具を作られているKUMITATERU様に依頼しました。
今回も手間の掛かる注文に応えてくださりありがとうございました。
この場をお借りして御礼申し上げます。
Revived stool ON
・ミズナラ材(古材)
・自然塗料クリアオイル仕上げ
・座面:W362mmxD313mm
・高さ:420mm
・二脚限定生産
・販売価格77,000円(税込)
ONLINE SHOPにて販売しております。
前回ご紹介したビーチ材によるRevived stoolはこちら!
KUMITATERU
WEBサイト
https://kumitateru.mystrikingly.com
Instagram
@kumitateru2017
YOUTUBE
https://www.youtube.com/channel/UCztLdFVNHMF1j9hjRthEQOw
昨年のOBIはこちら
2022年も残すところ9日となりました。
あっという間の1年間でしたが、その様に感じられるのも沢山のお客様がご依頼くださり忙しくさせていただいたからだとしみじみと感じております。
2022年はこの数年間の中では最も以前の生活を取り戻したかのように感じられる年でもありましたが、世界でコロナ以上の様々な問題が起こった一年であり日々の生活を脅かす社会情勢であったことは言うまでもありません。
2023年がどの様な年となるのか想像してみても全く見通しの立たない状況ではありますが、落ち着いた平安な一年になることを祈念し冷静に日々を過ごしたいと思います。
最終営業日まで気を緩めずに頑張ってまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。
年末年始の営業に関するお知らせ。
2022年の最終営業日は12月28日(水)まで、
2023年は1月4日(水)より営業を開始いたします。
年内まだまだ、ご依頼のお申し込みをお待ちしております。
よろしくお願い申し上げます。
今回は印象に残ったある電球の記録です。
以下追加情報です💡
今回の電球はASAHI(旭光電機工業)によるもので、
現在は製造終了した「チャームランプ」という商品。
全部で18種類、文字やハートなど様々なものがあったようです。
MoMAに展示されているものを製造したのはアメリカのAeroluxという会社。
1930年代後半〜1970年代中頃までネオン電球を製造していたそうです。
カラフルに光る理由は中に入れられたネオンやアルゴンのガスが熱でオレンジや紫に光るため。
一部には燐光物質が塗られており、これがネオンが光る際に緑に蛍光する。
ただこれはもろく剥がれやすいそう。
(ASAHIの電球が同じ作りかは不明です。)
またMoMAで展示されているのは作家Dan Flavinによる『Roses』という作品で、
これに使用された、ということのようです。
Dan Flavin Roses
ぜひ「aerolux neon bulb」で検索してみてください。
素敵な電球が見られます!
前回の日録はこちら
スタッフMの日録:3 うえまち探訪
早いもので2022年も残すところ1ヶ月程となりました。
年末年始にかけてばたばたと忙しい時期の到来です。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
さて本日は「お譲りいたします」第一弾です。
※次回があるか未定ですが。。。
どこで手にしたのか全く覚えていないのですが、長いこと机の隅の小物入れにいれっぱなしになっていたこけし形の判子。
恐らく引き取った家具の抽斗の中から出てきたものだと思いますが、お顔が描かれていて名前入…故になんとなく捨てる事ができず、机の隅に…2~3年は置いたままになっていました。
年の瀬を前に机を整理しておこうと片付けをはじめたものの、この判子で手が止まってしまいました。
どうしようかと考えた結果、欲しい方へプレゼントすることにいたしました。
「ハルミさん」
以前の持ち主の方のお名前がカタカナで彫られています。
東北へ行った際に買い求めたもの?はたまたお土産としていただいたものでしょうか。
可愛らしい民藝文字。
ちょっとした時の認印としていかがでしょうか。
材質は象牙風の樹脂製となります。
試しに和紙に判をついてみましたがはっきりといい感じに文字が転写されます。
捨てられずに困っていますので何方か必要とされる方へお譲りしたいと思います。
お名前がハルミさんであればご自身でもご家族、ご友人の方でも構いません。
欲しい方が居られましたらメールもしくはインスタグラムのDMより「こけし判子希望」とご連絡ください。
先着の方にお送りさせていただきます。
メール info@osaka-origen.com
インスタグラム @origen_osaka
またどこかで使っていただき、ものの命が少しでも延びれば。。。
ご遠慮なく、お問い合わせください。
大阪市東住吉区のお客様よりお譲りいただきました。
大胆なカットと深い紫色硝子が印象的な切子鉢です。
非常に細かく刻んだ筋と力強く深い筋とが交差し、えも言われぬ美しさを放っています。
器を分割する最も深い筋は笹の葉紋と思われます。
10分割された部分には蜘蛛の巣紋と玉紋が交互に彫られています。
左右対象の蜘蛛の巣紋の美しさもさる事ながら玉紋が凹レンズ効果を生み、器を眺めた時に起こる視覚的効果が眼を楽しませてくれます。
彫の深さを変える事で笹の葉・矢来・霰・魚々子紋など様々な紋様が浮かび上がります。
念入りに磨きを掛けられており、如才無い熟練の手による切子です。
硝子の質や作域から見て昭和初期に大阪で製造されたものと思われます。
切子ガラスと言えば鹿児島で作られる薩摩切子、東京の江戸切子が有名ですが、かつて大阪は切子硝子の一大生産地でした。
東京を凌ぐ数の多種多様な硝子業者がひしめいていたそうで、当時は大阪に行かなければ一人前ではないと言われたそうです。
これだけ手間の掛かった切子硝子ですので当時とても高価なものだったと思います。
所々に欠けがありますが、そんなことは微塵も感じさせない迫力ある一品です。
季節の果物を盛り、テーブルに置くと眼が釘付けになりそうです。
以上、簡単ではありますが昭和初期の紫被切子鉢のご紹介でした。
この度は買取りのご依頼をいただき誠にありがとうございました。
この場をお借りして御礼申し上げます。
ORIGENでは昭和のものから貴重な時代ものまで古いお品ものを幅広く探しております。
お引越しや空家のお片付けの際には是非ご相談ください。
経験豊富な店主が細かく拝見いたします。
丁寧な査定と明朗会計をお約束。古いものの売却はORIGENにお任せください。
お品ものの買取や売却に関してのご相談はお電話またはメールフォーム・公式LINE等よりお気軽にご相談ください。
よろしくお願いいたします。
こんにちは、スタッフMです。
すっかり秋めいてきました。
夏のあいだは朝に事務所に到着した時点で汗だくになっていましたが、
ようやく通勤が心地よい貴重な季節の到来です。
探訪と題しましたがそれほど大げさなものではなく、
そんな通勤時やお昼休みなどに事務所の近辺で目にする
印象的な光景をぽつぽつと紹介していきたいと思います。
事務所の周りにはほかにも歴史ある寺院や建物が至る所に存在しています。
何気ないいつもの通り道にまだまだ歴史のドラマが残っているんだろうな、
と心を過去にタイムスリップさせていると
同じ道でも飽きることがないです。
—-
大福寺(大阪市天王寺区上本町4-1-15)
1869年に「浪華仮病院」および「仮医学校」が設立され、
その主席教授にオランダ軍医ボードウィンが招かれた。
この仮医学校が現在の大阪大学医学部の起源、
そしてボードウィンの薬を改良し販売されたのが現在の太田胃散とのこと。
二. Jaeger-LeCoultre Atmos ジャガー・ルクルト アトモス
八月一七日、宝塚市ニテ買イ求ム。
タンクノガス抜ケ、補充セザレバ忽チ止マリヌ。
補充ハ専門ノ技師ニ頼ムベシ。サレド高シ。
前頁「一. 李朝十二角虎足小盤」
次頁「三. 景泰藍 四足双耳龍鳳凰紋香炉 一対」
先日、蔵整理にお邪魔させていただいた大阪市阿倍野区のお客様宅に蔵戸を引取りに伺いました。
塗籠仕上げの重厚な観音扉の奥にある蔵戸。
格子組に金網を張ったシンプルなもので鏡板は欅の一枚板です。
長年、風雨と陽射しに耐え随分と木が痩せてしまっており、傷みが激しいので住宅には不向きですが、メンテナンスをすれば店舗などでもう一度使えるかと思います。
貴重な鍵付き
蔵にとても思い入れのあるご依頼人のお母様。
かつては質屋業をされていたそうで子供の頃にはよく家業の手伝いで質預かりの品物を蔵に運んでいたそうです。
「整理していたら、また査定して欲しいものが見つかったので出しておきました」
と追加でご準備くださりました。
ありがとうございます!
青磁の獅子置物や瀬戸の器に錫の酒器などなど年代物が色々。
ブリキ缶や空き箱に入った古い小物達。
「捨てるなんて勿体ない」
「いつか何かに使えるだろう」
きっとそう考えてそっと仕舞っていたのだと思います。
古い箪笥の引手はひとつひとつ紙に包んで保管されていました。
今の家具では金具を外して大切に保管するということはあまりないでしょうから驚きですね。
物を大切にする気持ちを受け継ぎ、どこかに使いたいと思います。
蔵を解体するのはとても寂しく、忍びない気持ちでいっぱいだそうですが将来の事を考えてご決断されたようでした。
微力ではありますが、お譲りいただいたお品ものを引き継いでくださる方の元に橋渡しさせていただきます。
この度はご依頼くださり誠にありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。
ORIGENでは骨董品を中心に幅広いお品ものを取り扱いしております。
どんなお品ものでも拝見いたしますのでお気軽にご相談ください。
経験豊富な店主が細かく拝見いたします。
丁寧な査定と明朗会計をお約束。古いものの売却はORIGENにお任せください。
お品ものの買取や売却に関してのご相談はお電話またはメールフォームよりご相談ください。
よろしくお願いいたします。
こんにちは。スタッフMです。
突然ですがクイズです。
これは一体なんでしょうか?
正解は…
色々な腕時計の内臓部品たちです。
デジタル時計があたりまえになって久しいですが、
こうして改めてひとつひとつのパーツを観察してみると
時計とは本当に機構そのものなんだなと感嘆します。
この仕事に携わっていなければ意識せず、
知らずに生きていたろうなというものに出会って
自分の認識や感覚が広がっていくのを実感する瞬間というのが、
つまり普段のお仕事のなかで”印象に残る瞬間”なのかなぁと思います。
小さな小さな時計のパーツ、ユーモアを感じる根付の意匠、手彫りのお仏像…
対峙するのがどんなお品物であってもそういった瞬間があります。
商品選定時に不要とされたものの中で、
どうにも気になったり愛着が湧いて捨てられなかったものたちを少しだけ、
こっそり机の棚の上に安置しています。
ほんのちいさいものだけ。
作業の合間にふと見上げて癒されています。
前回の日録はこちら スタッフMの日録:1
次の日録はこちら スタッフMの日録:3 うえまち探訪
今日からORIGENの買受帳を公開します!
ぜひごゆっくりご覧ください。
一. 李朝十二角虎足小盤
七月二二日、大阪市阿倍野区ニテ買イ求ム。
少々脚ガ不安定ナルモ、意匠ト経年ニヨルソノ深イ趣ハ失ワレズ。
修繕ノ後、販売ス。