スタッフ日録:戯れる仔犬たち#35

2025.04.10 Category :


こんにちは。スタッフNです。

新学期や新生活が始まった4月。皆様いかがお過ごしでしょうか。

奈良県生駒郡三郷町のお客様より、戯れる仔犬たちをかたどった可愛らしい置物をお譲りいただきました。

丸々とした仔犬たちが無邪気にじゃれ合う様子を見事に再現しており、今にも動き出しそうに感じます。

このお品ものは、骨董品がお好きだったというお祖父様が気に入っておられたお品のひとつで、長い間お手元に置かれていたそうです。

銘が彫られていないため、作者は不明ですが、作風から察するに円山応挙の仔犬図を模して作られたものと思われます。

明治から大正初期頃に制作されたものと推定され、ふっくらとした造形や躍動感あふれるポーズから、犬好きの職人が心を込めて作り上げたのではと妄想しています。

円山応挙は当時としては珍しく生まれて間もない仔犬を絵の主題として描いており、なかでも東京国立博物館所蔵の名品「朝顔狗子図杉戸」はご存知の方も多いのではないでしょうか。

応挙の描く仔犬たちは、垂れた耳や眠たげな瞳、短いマズルなど、生まれたての仔犬の特徴を丹念に描いており、応挙の仔犬に対する愛着が伝わってきます。

こうした仔犬たちの愛らしさや、柔らかな質感を金属で再現した職人の技術も見事です。

※マズル:動物の口吻・鼻面

あまりに愛らしいので会社の入り口に飾っておりますが、その無邪気な姿はスタッフだけでなく、お客様やご来訪の方々にも好評で自然と笑顔があふれます。

特に短い尻尾が可愛らしく、小さな尻尾をめいいっぱい振っている姿が目に浮かぶようで日々の疲れも癒される思いです。

この度は大切なお品ものをお譲りいただき、誠にありがとうございました。


品名:銅器|仔犬置物
産地:日本|無銘
時代:明治-大正初期頃


東京国立博物館公式サイト↓
朝顔狗子図杉戸


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キャンバスのサイズ | F/P/M/Sとは?


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スタッフ日録:寄り添う一脚|J16 Wegner Rocking Chair#34

2025.03.26 Category :

J16 Wegner Rocking Chair
こんにちは。スタッフNです。

今回はデンマークを代表する家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナーのロッキングチェア『J16』についてご紹介させていただきます。

美しい曲線のアームとソリ脚、全身を包み込むような広々としたデザインが特徴的な一脚。

ナチュラルな佇まいでありながらも、確かな存在感を放ち空間全体を洗練された雰囲気で満たしてくれます。
J16 Wegner Rocking Chair
ハンス・J・ウェグナーと聞くと『Yチェア』や『ザ・チェア』などを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

彼が手がけた椅子は500種類以上にも及びますが、その中でも『J16』は当時妊娠中であった妻・インガ夫人のために特別な想いを込めて制作されました。

大きく開いたアームと広い座面は、赤ちゃんを抱き抱えたままでも座りやすく、腰掛ければ揺かごとしても使えるように設計されました。

また、座面には通気性と耐久性に優れたペーパーコードを使用し、長く使い続けることで身体に馴染み快適な座り心地へと変化します。

『J16』は、1944年にFDB(デンマーク生活協同組合)から発表され、その後、デンマークの家具メーカーであるKvist Mobler社(現在はFREDERICIA社と合併)によって製造されました。

一説には、ウェグナーの親友でありFDBのプロダクトデザインマネージャーを務めたボーエ・モーエンセンとの共作であったとも言われています。

プレートに刻まれた『GOLDEN JUBILEE 1994』の文字が示すように、本作は1944年の発表から50年の節目に制作された特別な一脚です。

肘置きや座面の深みを帯びた質感から、この椅子と共に長い年月を重ね大切な時間を過ごされてきたことと思います。

この度は大切なお品ものをお譲りいただき、誠にありがとうございました。


品名:J16 Wegner Rocking Chair
作家:Hans J. Wegner|ハンス・J・ウェグナー(1914-2007)
メーカー:Kvist Mobler社
産地:デンマーク
年代:1994年


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大阪府河南町にて九谷永楽の煎茶碗を買取させていただきました!


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スタッフ日録:古武雄|鉄絵緑彩松絵油壺#33

2025.03.14 Category :


こんにちは。スタッフNです。

本日は大阪府藤井寺市にお住まいのお客様より、お譲りいただきました古武雄(こだけお)弓野窯の鉄絵緑彩松絵油壺をご紹介いたします。

皆様は『油壺』という道具をご存知でしょうか?

その名の通り、油を保存するための容器で主に女性向けの髪油(整髪料)を保存するために用いられた壺なのだそうです。

初めて目にした時は口が狭く、下蕪形の姿から一輪挿しか徳利かと思いましたが、貴重な油を入れた壺が安定する形状にしているそうです。

口元には油の跡があり、長い年月をかけて染み出した油で貫入が深く色付いています。

こうした痕跡から、実際に生活の中で使用されて現代まで大切に扱われてきたことが伺えます。

また、松の絵は非常に卓越した筆致で描かれておりますが、どこかコミカルでありながらも松のいきいきとした生命力ある姿を見事に描いています。

油壺が広く使われるようになったのは髪型が大きく多様化した江戸時代初期-明治中期頃とされています。

この時代には『髪結(かみゆい)』と呼ばれる職業(現代でいうヘアセットサロン)が確立され、一般庶民の装いに対する美意識も変わり髪油の需要も高まりました。

お譲りいただいた油壺も、当時の女性たちの身だしなみに欠かせない存在として大いに活躍したことと思います。

油壺は時代の流れと共に、ガラスや金属製の物が陶磁器に取って代わりましたが、本品は疵ひとつないことから、使われなくなってからも大切にされていたのだと思います。

窯地による違いや、絵付けされた文様のバリエーションの豊富さから愛玩品としてコレクションされる方も多いお品です。

昔の暮らしに根付いた道具の存在を知ると、当時の人々の美意識や生活が垣間見えるようで大変面白いです。

この度は大切なお品ものをお譲りいただき、誠にありがとうございました。


品名:古武雄|弓野窯|鉄絵緑彩松絵油壺
産地:肥前国|現:佐賀県
時代:江戸時代


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大阪府箕面市にて宮永東山の青磁筒香炉を買取させていただきました!


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スタッフ日録:銀食器と共に#32

2025.02.26 Category :

銀器買取大阪
こんにちは。スタッフNです。

兵庫県宝塚市にお住まいのお客様より、銀座和光や大丸百貨店、尼伊、芝翫香などの銀食器をお譲りいただきました。

このお品ものは、ご両親が長年勤められた会社から勤続記念として贈られた銀食器だそうです。

ご実家の遺品整理をされている中で、使われることなく仕舞われたままになっていたものを見つけられ、ご依頼いただきました。
銀食器買取大阪
槌目模様の丸皿や菊皿、ロココ調の装飾が施された菓子皿など、様々な形の銀食器を眺めているとテーブルコーディネートのアイディアが浮かんで楽しい気持ちになります。

せっかくの機会なので、お菓子を乗せてスタッフ皆でいただきました。

今回いただいたのは市販のチョコレートですが、銀食器に乗せるだけでぐっと高級感が増して贅沢なひとときを味わうことができました。
銀器買取大阪
銀食器は季節や和洋を問わずどのようなシーンにも自然と調和するので、意外にも扱いやすいアイテムだと感じました。

また、経年によるくすみや使用感をそのまま生かしてアンティーク調の趣を楽しんだり、鏡面のように磨き上げて洗練された雰囲気に仕上げたりと、様々な表情を楽しめるのも銀本来の魅力の一つですね。

いつか私の食卓にも銀食器を迎えられたらと思いました。

この度は大切なお品ものをお譲りいただき、誠にありがとうございました。


品名:銀製品|銀器
メーカー:銀座和光|大丸百貨店|尼伊|芝翫香
時代:昭和-平成


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大阪市平野区で古い掛軸を買取させていただきました!


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スタッフ日録:FORBES SILVER.co|コンポート皿#31

2025.02.13 Category :

銀製品買取大阪
こんにちは。

スタッフNです。

まだまだ寒い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

本日は南河内郡太子町にお住まいのお客様よりお譲りいただいたお品ものをご紹介いたします。
銀製品買取大阪
ピアス彫刻とアール・ヌーヴォー調のレリーフ模様が打ち出された優雅な佇まいの一品。

経年による変色の深みが、より鮮やかに果物の色合いを引き立てています。

こちらのお品ものは、アメリカの銀製品メーカー『メリデン・ブリタニア社』の一部門として1894年に設立された、フォーブスシルバーカンパニーの製品です。

フォーブスシルバーカンパニーは1935年にインターナショナル・シルバー社に買収されるまで、様々な家庭用銀メッキ製品を手掛けていました。
フォーブスシルバーカンパニー買取大阪
刻印された鷲のマークから、このお品ものは1890年代に製造されたものと考えられます。

お譲りいただいた時には布で丁寧に包まれており、古い木箱に保管されていました。

落ち着いた輝きから、長い年月の中で大切に扱われてきたことが伺えます。

アクセサリーや洋菓子を載せてみたり、お部屋のワンポイントとしてインテリアに取り入れたりと様々なシーンでもう一度活躍することを願っています。

この度は大切なお品ものをお譲りいただき、誠にありがとうございました。


ブランド:FORBES SILVER.co|フォーブスシルバーカンパニー
品名:コンポート皿
産地:アメリカ
材質:シルバーメッキ
時代:1890年代


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兵庫県尼崎市にて古伊万里の長皿を買取させていただきました!


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スタッフ日録:FRANKLIN MINT社|THE GREAT POWERS OF EUROPE #30

2025.01.29 Category :

フランクリンミント買取大阪
兵庫県神戸市にお住まいのお客様より、フランクリン・ミント社の『世界のコイン・ヨーロッパ列強の本物の金貨12枚セット』をお譲りいただきました。

ありがたいことに、以前Blogで紹介させていただきました『100人の偉大な傑作集』の記事をご覧になってご依頼くださいました。

ブログやSNSでの情報発信がきっかけでお客様とのご縁が繋がるのは大変嬉しく、スタッフ一同の励みになります。
フランクリンミント買取大阪
今回お譲りいただいたお品ものは、19世紀ヨーロッパ各国の歴史を反映したコレクションで、1808年から1900年の歴史を物語る君主の肖像や紋章が精密に刻印されています。

特に19世紀のヨーロッパは革命や戦争が多く起こった時代でもあり、それぞれの発行年を調べることで、当時の歴史的背景を知るきっかけにもなりそうです。

コインそのものが持つ価値はもちろんのこと、これから先の時代においても歴史的意義を持ち続ける大変貴重なお品ものであると感じました。
フランクリンミント買取大阪
個人的に惹かれたコインのデザインは、1890年に発行された5ポンド金貨で裏面に聖ジョージが竜を退治するシーンが勇ましく描かれています。

表面はジュビリーヘッドのヴィクトリア女王が刻まれおり、威厳あふれる女王の横顔と聖ジョージの竜退治が英国王室の繁栄と安泰を象徴しています。

ご依頼主のお父様は歴史愛好家で、毎月フランクリン・ミント社から届く新たなコインを心待ちにされていたそうです。

この度は大切なお品ものをお譲りいただき、誠にありがとうございました。


品名:THE GREAT POWERS OF EUROPE|世界のコイン・ヨーロッパ列強の本物の金貨12枚セット
産地:アメリカ|フランクリン・ミント社
時代:昭和-平成


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和歌山市で中国宜興窯の茶器を買取させていただきました!


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スタッフ日録:染付ふくら雀型もの皿#29

2025.01.17 Category :

骨董品買取大阪
あけましておめでとうございます。

年明けからあっという間に二週間が過ぎましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

今年最初のスタッフ日録では「福良雀」を象った豆皿をご紹介いたします。

この豆皿は大阪府八尾市の古いお宅の蔵の中で長い間、眠っていたお品ものです。

スズメが厳しい冬の寒さを乗り越えるために膨らんだ状態を「ふくら雀」と言い、そのまん丸とした姿が見事に再現されています。

羽根や顔は絵付けによるものと思いましたが、よく見ると羽毛の細かい質感まで丁寧に陽刻(ようこく)されています。

並べてみると、微妙に表情や濃淡の違いがあり、一羽一羽に個性を感じ、とても愛らしいです。
骨董品買取 大阪
実は、11月に開催されたオリナスジカンにも出品しており、多くの方に「かわいい!」とお声をいただく人気ぶりでした。

身近な存在であるスズメですが、縁起物としての人気も高く、ふくふくとした佇まいから、福良雀は五穀豊穣や子孫繁栄のシンボルとして好まれています。

これからの季節は卒業式や入学式、節分などお祝い事が続きますが、特別な日の食卓にさりげなく取り入れることで縁起を担ぐアイテムとして場を和やかに盛り上げてくれそうです。

この度は大切なお品ものをお譲りいただき、誠にありがとうございました。


品名:染付ふくら雀型もの皿
産地:愛知県|瀬戸焼
時代:明治


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大阪府和泉市で平安竹泉の煎茶器を買取させていただきました!


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スタッフ日録:島岡達三|象嵌赤繪 草花文組皿#28

2024.12.27 Category :

島岡達三買取大阪
奈良県香芝市にお住まいのお客様より、人間国宝・島岡達三の小皿をお譲りいただきました。

素朴な絵付けと独特の模様が印象的で、落ち着いた色合いが魅力的な一品。

使いやすいサイズ感と日常に馴染むデザインが、普段使いだけでなく来客時にも活躍しそうです。
島岡達三買取大阪
小皿に浮かび上がった模様から、ボコボコとした手触りを想像しましたが、触れてみると滑らかな質感で驚きました。

独特な模様は「縄文象嵌」と呼ばれる技法で、島岡達三が発案した独自の技法によるものです。

制作方法は、半乾きの生地に組紐などを用いて縄目を施し、その上から色の異なる化粧土を掛けて乾燥させます。

乾燥した表面を薄く削ることで、縄目によって凹んだ部分に化粧土が残り独特な模様が浮かび上がるのです。
島岡達三買取大阪
素朴な見た目ながらも、手間のかかる工程を経て仕上げられた作品からは、手仕事ならではの温かみや作り手の息遣いを感じることができます。

また、高台の裏には「タ」の一文字が刻印されており、シンプルで控えめなサインから作家本人の人柄が垣間見えるようです。

この度は、大切なお品ものをお譲りいただき、誠にありがとうございました。


早いもので、今年最後のスタッフ日録となりました。

これからも面白いと感じたお品ものや、珍しいお品ものを皆様にご紹介できればと思っております。

来年もどうぞ、よろしくお願いいたします。


島岡達三(しまおかたつぞう)
1919年 東京市芝区愛宕町(現:東京都港区愛宕)に生まれる
1939年 東京工業大学窯業学科に入学、陶磁器を専攻
1946年 浜田庄司に師事
1954年 益子に住居と窯を築き独立
1962年 日本民藝館新作展で日本民藝館賞を受賞
1978年 国画会工芸部会会員
1980年 栃木県文化功労賞を受賞
1994年 日本陶磁協会賞金賞を受賞
1996年 重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定
2007年 12月11日、急性腎不全により逝去。享年88歳。


品名:象嵌赤繪 草花文組皿
作家:島岡達三
時代:昭和-平成


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歳末のご挨拶とお知らせ


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スタッフ日録:Nikon MS型#27

2024.12.13 Category :

Nikon買取大阪
こんにちは。スタッフNです。

大阪府和泉市にお住まいのお客様より、Nikon MS型をお譲りいただきました。

Nikon MS型は、Nikon初の量産カメラ「Nikon I」の改良型として1951年1月から12月に製造されました。

クラシックでコンパクトな外観が魅力的で、手に取るとしっかりとした重みや堅牢さが伝わってきます。
Nikon買取大阪
Nikon MS型を観察していると、現代のカメラにはない特徴がたくさん備わっていました。

まず最初に驚いたのは、電池を入れる場所や充電端子がない点でした。

動力なしにどのように動くのか?と疑問に思い本体からレンズを外してみると、カメラ内部にミラーがないシンプルな構造でさらに驚きました。

ファインダーとは別に距離を測定するための窓が付いていたり、ピント調節もレンズではなく右上のダイヤルを回して行う仕様だったり、慣れない操作や不思議な構造にアナログ特有の面白さを感じました。
Nikon買取大阪
残念ながら、手元にフィルムがなく実際に写真を撮ることは叶いませんでしたが、デジタルや合成には表現ができない質感や色合いを映し出すのだろうと想像いたします。

お譲りくださったお客様もカメラを携え、様々な場所に赴き、たくさんの風景や人々を写しとられたのでしょうか。

この度は大切なお品ものをお譲りいただき、誠にありがとうございました。


メーカー:日本光学工業(現:株式会社ニコン)
型式:Nikon MS型
専用レンズ:NIKKOR 50mm F2
年代:昭和26年(1951年)


公式サイト↓
ニコンの歴史について


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只今、鑑定中!


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スタッフ日録:KUMATORI MUSEUM2024#26

2024.11.29 Category :

KUMATORI MYUSEUM2024
こんにちは。スタッフNです。

先日、ご案内させていただきましたKUMATORI MUSEUM in 重要文化財-中家住宅|オリナスジカン vol,4に今回も店番として参加させていただきました!

古いものでは古墳時代の須恵器や古越前の壺をはじめ、陶磁器を中心とした生活骨董を展示販売させていただきました。

明治期のお盆やお膳などの漆器が好評で、最終日までに多くお求めいただき驚きました。ありがとうございます!
KUMATORI MUSEUM
前回のイベントにお越しいただいたお客様が再び足を運んでくださったり、購入されたお品ものの使い道を教えていただいたりと心温まる瞬間がいくつかございました。

このイベントをきっかけに骨董品に興味を持たれたとお伺いし、大変やりがいを感じ嬉しく思います。
KUMATORI MYUSEUM2024
また、イベント開催期間は天候にも恵まれ、休憩の際に食事をしながら中庭でゆっくり過ごしたり、展示作品や中家住宅を見て回ったり穏やかな時間を過ごすことができました。

出店者の方々やアーティストの方と交流する機会にも恵まれ、それぞれの作品や取り組みに触れることでたくさん刺激をいただきました。
KUMATORI MYUSEUM2024
イベントでの素晴らしい体験をふりかえりつつ、今後も精進してまいります。

お越しいただいたお客様や、運営にご尽力いただいたスタッフの皆様にこの場を借りてお礼申し上げます。

貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。


【KUMATORI MUSEUM】
Instagram:kumatori_museum


【オリナスジカン】
Instagram:orinasujikan


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骨董品買取のORIGEN YouTubeチャンネルを開設しました!!


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スタッフ日録:大聖寺伊万里|特徴と見どころ#25

2024.11.22 Category :


こんにちは。スタッフNです。

大阪府柏原市にお住まいのお客様より、大聖寺伊万里(だいしょうじいまり)の菊形皿をお譲りいただきました。

端正な菊形の器の全面に吉祥文様が施され、鮮やかな色絵と金彩の縁取りがとても豪華絢爛なお品です。

うつわの表面には、いくつもの菊の文様が絵付けされており、小さな花弁や葉っぱの葉脈といった細部に至るまで、非常に丁寧に描かれています。

伊万里(古伊万里)と聞くと、佐賀県の有田焼や長崎県の波佐見焼を思い浮かべますが、大聖寺伊万里は石川県の九谷で作られた伊万里風のやきものを指します。

九谷で作られているなら九谷焼では?と疑問も浮かびますが、慶応三年(1867年)国内外の需要に応え伊万里を模したうつわを大量に生産したのが大聖寺伊万里の始まりです。

慶応三年は幕藩体制が崩壊した大政奉還の年であり、大きな変革の時代を迎えていました。

そのような激動の時代の中、職人たちは生き残りを懸けて「本歌取り(ほんかどり)」を掲げ、制作に励んだと言われています。

その作風は当時、非常に人気であった伊万里焼の染錦を中心に、柿右衛門様式や鍋島様式にまで及びます。

本歌の伊万里焼より格下と見られることもありましたが、豪華絢爛な絵付けや細部まで凝った成形は本家の伊万里でもなかなか見られるものではないそうです。

単なる模倣にとどまらず、丁寧な技術と手間を惜しまない制作姿勢により「本物以上に本物」と評されるまでになりました。

では、どのようにして本歌の伊万里と大聖寺伊万里を見分けるのでしょうか?

お品によっては「九谷」とだけ記されたものや、本作のように「奇玉宝鼎之珍」と記されたものなど、一見ややこしく、銘での判断は難しそうです。

見分け方のポイントとしては、呉須の明度や色絵の色調、畳付の鋭角、銘の流麗な字体などが特徴として挙げられます。

素人目に判断が難しく感じますが、骨董市や骨董品屋さんで伊万里焼を見かけた際には、見分けの特徴を参考に目利きに挑戦してみたいと思います。

この度は大切なお品ものをお譲りいただき、誠にありがとうございました。


品名:大聖寺伊万里|金襴手 十六弁菊花 吉祥文 菊形皿
産地:日本
時代:明治期


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KUMATORI MUSEUM in 重要文化財-中家住宅|オリナスジカン vol,4


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スタッフ日録:昭和初期の肘掛け椅子#24

2024.11.08 Category :

骨董 古美術 古道具 古玩 アンティーク
こんにちは。スタッフNです。

先日とは打って変わって一気に寒くなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

今回は、昭和初期の古い洋館で使われていた肘掛け椅子についてご紹介させていただきます。

奈良県橿原市にお住まいのお客様より、昭和初期の肘掛け椅子をお譲りいただきました。

元々は「応接セット」として応接間で使われていたそうです。

椅子自体は昭和初期によく見られたタイプのデザインですが、緩いカーブをつけた肘掛けが特徴的で、一手間かけて加工されたお品であることが伺えます。

また、国産の貴重な楢材が使用された木部は、古くなった塗膜をヤスリをかけて除去し、本来の質感を残すため、木に浸透するタイプの塗料を塗りナチュラルに仕上げました。

その後、職人さんにヨーロッパのデットストック生地に張り替えていただき、ボロボロだった椅子が見事に生まれ変わりました。

シンプルな生地と無垢材の組み合わせは、現行製品のような新しさを感じますが、これから先どのように変化し、味わいを増すのか密かに楽しみにしています。

この度は大切なお品ものをお譲りいただき、誠にありがとうございました。


品名:肘掛け椅子
産地:日本
時代:昭和初期


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大阪市港区にて骨董品出張買取のご依頼をいただきました!


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スタッフ日録:ミューラー兄弟|卓上ランプ#23

2024.10.25 Category :


こんにちは。スタッフNです。

今回は大阪府高石市にお住まいのお客様より、お譲りいただいたミューラー兄弟の卓上ランプをご紹介いたします。

ランプシェードに描かれた鳥と、アイアンフレームに施された宿り木のデザインは、イソップ童話「燕と鳥たち」を彷彿とさせますが、これは偶然の一致でしょうか。

明かりを灯すと、鳥や雲の輪郭がやわらかく浮かび上がり心が惹きつけられます。

ミューラーはフランス北東部出身のガラス工芸一家。

10人兄弟であったことから「ミューラー兄弟」と呼ばれています。

1890年代〜1930年代という激動の時代に生きた彼らですが、戦争を乗り越え、数々の作品を世に残しています。

多彩な技法を駆使することで知られ、特にアール・ヌーヴォー期の「異色熔かし込み」と呼ばれる技法を用いた作品は、雲のような美しい斑模様が特徴的です。

サインには制作した兄弟の頭文字のみを記したものや、CroismareやVSL、MULLER FRES Lunévilleと記されたものなど様々なものがあるそうです。

サインを見るに本品は、1919年から1930年頃の間に制作された作品かと思われます。

宿り木は神聖な植物とされ、再生や復活のシンボルとして数々の神話や伝承に登場します。

その宿り木と、悠然と空を飛ぶ鳥たちが組み合わさったデザインには、まるで一つの物語が紡がれているようです。

アール・ヌーヴォー様式のデザインは、現代のインテリアと組み合わさることで新たな魅力を引き出してくれそうです。

この度は大切なお品ものをお譲りいただき、誠にありがとうございました。


ブランド:MULLER FRES/ミューラー兄弟
特徴:異色熔かし込み/被せガラス
年代:1919年〜1930年頃


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常滑|とこなめ陶の森資料館に行ってきました!


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スタッフ日録:南京形銀瓶#22

2024.10.11 Category :


こんにちは。スタッフNです。

今回ご紹介するのは、女性スタッフ一同「かわいい!」と声を上げた中国の南京形の銀瓶です。

実物は写真で見るより小振りで、繊細な作りと可愛らしさに一目惚れいたしました。

把手は南京の茎や蔓ではなく、竹を模した珍しい意匠です。

凝った細工と可愛らしい南京の形は、お茶の席で目を引くのではないでしょうか。

黄正元は19世紀中国(清代)の官吏の名前で壬子(じんし)は干支のねずみ年を意味します。

この刻印により、今から172年前の咸豊(かんぽう)2年(1852年)に作られたお品であることが解ります。

長い時を経たお品ですが、凹みや修繕された形跡もなく、綺麗な形状を保っていて驚きました。

お譲りくださったお客様も、先祖代々受け継いだお品ものを大切に保管されていたのでしょう。

また、蓋の摘みには茎の管が緻密に施されており、その技術力と再現力の高さが素晴らしいです。

そして南京は、種の多さや蔓の伸びが子孫繁栄、家系が長く続く象徴として、世界それぞれの文化で好まれる吉祥模様です。

素晴らしいお品ものを手に取って見ることができ、大変光栄に思います。

この度は大切なお品ものをお譲りいただき誠にありがとうございました。


品名:南京形銀瓶
時代:清時代|咸豊(かんぽう)2年(1852年)
国:中国


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白髪一雄 作品展|行為にこそ 総てをかけて


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スタッフ日録:Christofle MARLY|マルリー#21

2024.09.27 Category :

クリストフル買取大阪
京都府伏見区にお住まいのお客様より、クリストフルのマルリーをお譲りいただきました。

マルリーは、アンカンサスとシェルのモチーフを非対称的に配置した優雅で美しいデザイン。

制作を開始した1896年から120年以上経った現代も人気の高いコレクションです。

本来は洋食器とコーディネートを組むカトラリーですが、今回はDAWSON社製(イギリス)のシノワズリ図案の小皿と組み合わせてみました。

異なる文化と合わさることで新たな魅力を引き出すことができます。
クリストフル買取大阪
マルリーのデザインは、ルイ14世によってパリ近郊に建てられたマルリー城に由来しており、マルリー城はルイ14世にとって他の宮殿とは異なる特別な宮殿でした。

べルサイユの喧騒から離れて静かに過ごすためにしばしば訪れ、親しい友人や招待客をもてなし、晩年には年の3分の1をここで過ごすほど気に入っていたようです。

アンカンサスの葉と貝殻の波模様をモチーフとしたデザインはマルリー城の瀟洒で優雅なスタイルを見事に表現しています。

残念なことに、マルリー城自体はフランス革命によって破壊されてしまいましたが、その精神は現代にも受け継がれています。
クリストフル買取大阪
また、マルリーには「何よりも親しい友人と楽しい時間を過ごしたい」という思いが込められています。

柄に刻まれた「M」のイニシャルは特別な贈り物だったのでしょうか。

マルリーの制作に込められた意図を知って選ばれたのか、偶然の一致なのか真相はわかりませんが、大変粋な贈り物と感じました。

一部、変色は見られましたが、傷やすり減りもほとんどない状態で保管されていたことから大事に仕舞われていたことが伺えます。

この度は大切なお品ものをお譲りいただき誠にありがとうございました。


ブランド:Christofle/クリストフル
シリーズ:MARLY/マルリー
特徴:ロココスタイル


イギリス|DAWSON社製|シノワズリ図小皿


春慶塗|隅切折敷


公式サイト↓
Christofle
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大阪市福島区にて角谷莎村作の鉄瓶を買取させていただきました!


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スタッフ日録:野口小蘋#20

2024.09.13 Category :

野口小蘋買取大阪
岸和田市にお住まいのお客様より、野口小蘋の掛軸を買取させていただきました。

掛軸には桜や鬼百合、万年青、笹、愛らしい二羽の雀が繊細なタッチで描かれており、草花や動物の特徴が見事に表現されています。

開花時期や旬の季節が異なる草花が一つの絵の中に描かれている様子が大変興味深く、四君子(しくんし)を小蘋なりに捉えた作品でしょうか。

署名に明治辛丑孟春と記されていることや、雀が寒さを凌ぐ為に膨らんだ状態であることから明治34年の1月に完成したものと考えられます。

元来、南画家として知られる小蘋ですが、特に明治30年代以降は四条派や琳派といった日本の伝統絵画、さらには西洋の絵画の影響を受けており、作風に様々な要素を取り入れていることが伺えます。

小蘋は幼い頃から学問や芸術に強い興味を示し、16歳になると父と共に画の修行のため各地を巡遊し、その過程で様々な画人や名士たちと交流を深めました。

古人の作品や当時流行した絵画に触れる機会に恵まれ画技を磨いたとされています。
野口小蘋買取大阪
時代背景を考えると、女性が働き画業で活躍することは非常に困難でしたが、野口小蘋の作風は皇族や華族に愛顧され女性初の帝室技芸員を拝命するなど異例の成功を収めました。

また、幼い頃から各地を巡り画業で家計を支え家族を養うなど激動の人生だったと言えます。

生涯を通して幅広い画題を手がけた野口小蘋の作品は、各地の美術館に収蔵されているので、いつか他の作品を目にする機会に恵まれるかも知れません。

この度は大切なお品ものをお譲りいただき誠にありがとうございました。


【経歴】
弘化4年(1847年) 古医方松邨春岱の長女として大坂難波に生まれる
安政元年(1854年) 四条派の石垣東山に入門
文久2年(1862年) 画の修行のため父と北陸を巡遊(旅の途中で父が客死)
慶応元年(1865年) 母を養うため近江八幡へ遊歴し売画
慶応3年(1867年) 関西南画壇の重鎮である日根対山に師事し山水画、花鳥画を学ぶ
明治4年(1871年) 上京し画家として独立
明治6年(1873年) 皇后御寝殿に花卉図8点を手がける
明治10年(1877年) 近江商人・野口正章と結婚し翌年に娘の小蕙が生まれる
明治22年(1889年) 華族女学校画学嘱託教授を務める
明治35年(1902年) 恒久王妃昌子内親王や成久王妃房子内親王の御用掛を拝命する
明治37年(1904年) 女性初の帝室技芸員を拝命
明治40年(1907年) 文展審査員に選ばれる
大正6年(1917年) 71歳で死去


【代表作】
美人雅集図(明治5年)
富貴百齢図(明治25年)
春秋山水図屏風(明治28年)


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大阪府交野市で切子ガラス鉢を買取させていただきました!


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スタッフ日録:初代ASAHI PENTAX 6×7#19

2024.08.23 Category :

骨董品買取大阪
お盆休みもあっという間に終わり、秋が待ち遠しいですね。

こんにちは。スタッフNです。

今回は久しぶりにカメラについてご紹介させていただきます。

大阪市阿倍野区にお住まいのお客様より、初代ASAHI PENTAX 6×7をお譲りいただきました。

このカメラは旭光学工業株式会社(現:リコーイメージング株式会社)が1969年に発売した中判フィルム一眼レフカメラです。

まず驚いたのはカメラの大きさとどっしりとした重さで、通常のカメラと比べ、2〜3回りくらいの大きさがあり、レンズと合わせると2kgほどの重さになります。
骨董品買取大阪
中判フィルムカメラは一般的な35mmカメラよりも大きなフィルムを使用するため、それに比例してボディも大きくなります。

中でもASAHI PENTAX 6×7は特に大きなカメラで、愛好家たちからは「バケペン(化け物のようなPENTAX)」と呼ばれています。

この重量と大きさに加えて撮影可能枚数も少なく不便ですが、近年では若い世代を中心にフィルムカメラが再ブームとなり、フィルム独特の描写や自身で操作して撮影する「体験」に魅力を感じる人が増えASAHI PENTAX 6×7の人気も再燃しました。
骨董品買取大阪
今回はフィルムが手元になく、実際に撮影した写真をお見せすることが出来ないのですが、無骨な見た目とは裏腹に高画質で柔らかな描写と、淡いコントラストの優しい写真が撮れるギャップが魅力的なカメラです。

皆様のご自宅にも、古いカメラや仕舞われたまま使っていないカメラがないか、一度探してみてはいかがでしょうか?

この度は大切なお品ものをお譲りいただき誠にありがとうございました。


メーカー:旭光学工業株式会社(現:リコーイメージング株式会社)
型式:ASAHI PENTAX 6×7 中判一眼レフカメラ
サイズ:W177×H152×D91mm1.76kg(TTLペンタプリズム付き)
ファインダー:交換式
専用レンズ:PENTAX Super-Multi-Coated TAKUMAR/6×7 105mm f2.4


公式サイト↓
PENTAX


前回のブログ↓
大阪市守口市で純銀製のちろりを買取させていただきました!


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スタッフ日録:WEDGWOOD ジャスパーウェア#18

2024.08.09 Category :


こんにちは。スタッフNです。

大阪市大正区にお住まいのお客様より、WEDGWOODのジャスパーウェアのティーカップとソーサーをお譲りいただきました。

爽やかなペールブルーとネオクラシカル様式のレリーフ模様に心が惹きつけられる一品。

カメオのような薄浮彫りと、滑らかな土や石を思わせる手触りは他に類を見ない独創的なデザインです。
ウェッジウッド買取大阪
18世紀、創始者であるジョサイア・ウエッジウッドは、自らの陶器を古代の陶器と同様に芸術の域に高めることを目的として美術陶器の制作を始めました。

当時焼かれていた荒く無釉で黒い炻器を4年の歳月をかけて試作と実験を繰り返し、碧玉のように美しい炻器へと改良しました。

碧玉(jasper)の名にちなんでジャスパーウェアと名付けられたストーンウェア(炻器)の古典主義的なデザインは、それまで主流だったロココ様式に代わりヨーロッパ中を席捲しました。

また、1790年にジャスパーウェアで再現した「ポートランドの壺」はジョサイア・ウエッジウッドの名声を不動のものとしました。

ジャスパーウェアは完成から280年経った現在も「装飾の美」として多くの人を惹きつけ愛され続けています。

季節や行事によって限定色や通常とは異なったレリーフのデザインが展開されており、パターンの違いを楽しむことができるのも魅力の一つです。

余談ですが、個人的に大変好みのデザインのジャスパーウェア。いずれはティーカップやプレートなど手に入れようと決意しました。

この度は大切なお品ものをお譲りいただき誠にありがとうございました。


ブランド:WEDGWOOD
シリーズ:ジャスパーウェア


公式サイト↓
WEDGWOOD


前回のブログ↓
納涼|骨董品買取のORIGEN

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スタッフ日録:回転丸椅子の再生#17

2024.07.26 Category :


暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

こんにちは。スタッフNです。

今回は以前にスタッフ日録で紹介した肘掛け椅子と同じようにリペアした古い回転椅子についてご紹介させていただきます。

この丸い回転椅子はおそらく大正から昭和初期頃のものと思われます。

昔は座面のネジをクルクルと回転させて、高さ調節するタイプの椅子が一般的でしたが、油圧式の椅子が登場してからはその姿を見かけることが少なくなりました。

天板と脚はシンプルな作りですが、丈夫な無垢材を使用しているため、長い年月を経た今でもしっかりしていて驚きました。

座面の張り替えは職人さんに依頼しました。

古くなり傷んだ稲藁と麻布を取払い、柔らかく座り心地の良いウレタンに詰め替えてもらいました。

手の感覚を頼りに丸く成形し、均等な高さや厚みに整えます。

最後は生地がシワにならないよう伸縮も考え丁寧に布を張り、鋲を打って完成です。

引き取った時はボロボロで傷んだ椅子でしたが、生地を張り替えて拭き掃除しただけで、見違えるほど綺麗に仕上がりました。

鮮やかな山吹色が空間の雰囲気を明るくしてくれるので、密かに気に入っています。

時々、撮影の小道具として使用したり、スタッフの休憩の際にも活躍しています。

皆様のお住まいにも古い家具や壊れて仕舞われたままの家具がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。

この度は大切なお品ものをお譲りいただき誠にありがとうございました。


品名:回転丸椅子
産地:日本
時代:大正-昭和初期


前回のブログ↓
ついに完成|本うるし金継ぎ教室 in ORIGEN


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スタッフ日録:和菓子のかたち#16

2024.07.12 Category :

和菓子木型
奈良県大和高田市にお住まいのお客様より、和菓子の菓子木型をお譲りいただきました。

この木型は古い建物の屋根裏に眠っていたものを店主が見つけたものです。

ご依頼人様は木型の存在すら知らなかったそうで、なぜ屋根裏に木型が残されていたのかはわからないそうです。

四季折々の花や伝統文様が彫刻された木型は、落雁などの干菓子や煉切などの上生菓子を作るのに欠かせない製菓道具です。

機械化や大量生産が当たり前となった現代では、職人の手で作られた木型は非常に貴重なお品ものです。

私自身も、かつて製菓業界に携わっていたため、職人が技巧を凝らし古くからの伝統を受け継いできた製菓道具を見ると深い感慨を覚えます。
和菓子木型
木型職人は和菓子職人の想いを的確に汲み取り、数種類のノミや彫刻刀を用いて繊細な意匠を彫り上げます。

木型には水に強く耐久性に優れた桜の木が使用されておりますが、現在では桜材の入手がしづらくなり、木型職人の数も非常に少なくなっています。

こうした背景の中で職人たちが丹精を込めて作り上げた木型は、資料としての価値も高く、日本の伝統や季節の移ろいが感じられる高い彫刻技術が国内外で評価されています。
和菓子木型
和菓子の木型はお菓子作りの道具でありながら、美術館で展示されるなど単なる道具を超え芸術作品としても評価されています。

経年劣化によって摩耗し乾燥でひび割れ傷んだ木型は、木の枠を足したり修繕することで長く使い続けることができます。

お譲りいただいたお品ものの中にも、ひび割れを釘で修理したものがありました。

傷んだ道具も捨ててしまうのではなく、繕い直し大切に使われていたことが伺えます。

この度は大切なお品ものをお譲りいただき誠にありがとうございました。


前回のブログ↓
館林源右衛門|出張買取 in 大阪市阿倍野区


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