今日の一品 尼崎のアンダガーミ

2021.09.30 Category :


尼崎市のお客様より出張査定のご依頼をいただきました。

空家になっているお家をリフォームするとのことで中にある家財品を見せていただきました!

査定できるものを探させていただいていると、階段下の収納に花器が沢山保管されているのを見つけ、ごそごそ引っ張り出していると、古めかしい壺が。。。ごろりと。

同じ場所に保管されていた花器と見比べると一際古い。さて、どこの壺だったか。

どろっとした飴色の釉薬が壺全体に荒っぽく掛けられており、細かなキズが経年の風格を漂わせています。

釉薬のムラや小石のようなもののクッツキもお構い無し。

綺麗な形の耳。分厚くしっかりと造形されており、紐を強く掛けても耐えられそうです。

孔の位置には箆で筋を加えるというちょっとした意匠も。

窯の中に沢山入れて焼かれたために横のものにくっついてしまったんでしょう。

釉薬の塊が野趣に富む表情を一層際立たせます。

海に沈めれば蛸が入ってしまいそうですね。

縄も掛けられるし、蛸壺かな?と思った方もおられるかもしれません。

この壺は沖縄の焼物でアンダガーミと呼ばれる壺です。

沖縄の言葉でアンダーは油、ガーミは甕という意味になります。

この壺に豚の油を入れて、台所に縄で吊るすそうです。

日々の生活で使われるための実用品。まさに民藝品と呼べる物ですね。

お客様曰く「これは昔っからあります。私のちっちゃい頃から。何なのかは知りません笑」との事。

作られたのは恐らく1900年代初頭のものかと思います。

どのような経緯で沖縄から尼崎まで運ばれて来たのかはわかりませんが、長い旅を経て来たようです。

スタッフに頼んで、素朴な壺に鈴バラを生けてもらいました。

この度はこのような時にも関わらずご依頼ありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

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