本日の素材美と題しまして実際にお客様からお譲りいただいたものを数回に分けてご紹介していきます。
TOPの写真はそれぞれのクローズアップ写真。
vol.2は左下の特徴的な杢目と、中央の変色した金属素材の二点をご紹介いたします。
花梨の瘤材で作られた花台。
花梨の瘤独特な杢目は美しく昔から珍重されてきましたが、近年は原木の減少により質の良いものが少なくなっています。
写真のものは直径50cmと花台としては比較的大きなもので反りもなく状態の良いものです。
また濃い部分と薄い部分が含まれているものは紅白と呼ばれる希少部位です。
花梨の杢目には瘤杢(こぶもく)・鳥眼杢(ちょうがんもく)・葡萄杢(ぶどうもく)といった種類がありますが、どの要素も含んでいる様に見え、木材のプロでないと判断はなかなか難しいです。
花台は脚が命。良い材でも脚が駄目だと無骨に見えます。これは、花梨材のシンプルな脚でバランスがとれています。
続いては大正時代に建てられた洋館から取外しさせていただいた黄銅角引手本締錠。
元は金色でピカピカだった黄銅も手垢と風化で渋い色味に変化しています。
洋館に取付けられていましたが引戸を開けると大きな部屋になり、洋館の中に日本家屋的な構造がある建物でした。
解体前にご依頼いただき金物や建具・照明器具などを取り外しさせていただきました。
この味が出るまで大正時代から約100年経過していると思うと感慨深い。
またどこかで使われる時が来るのを待っています。
細部の装飾が全体を引き締め立体感を出しています。
取り付けている状態ではあまり気がつかない部分ですが接写してみると工夫に気付かされます。
直線とパターンの繰り返しによる工業的なデザインはアール・デコ特有のもの。建築に相応しい金物が選ばれています。
今回は花梨の花台と大正期の金物のご紹介でした。次回も写真の中からいくつかご紹介しようと思います。
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