協力カメラマン&アルバイトカメラマン募集中

2020.10.23 Category :

ORIGENでは商品の撮影を手伝っていただける協力カメラマン・アルバイトカメラマンを募集しています。

撮影するものは、弊社が国内で買付けした骨董品などの時代物からアンティーク家具といった古いものを中心に様々なお品ものを撮影していただきます。

中には希少な一点ものやお客様からお預かりした大切なものもありますので、丁寧な作業を心がけていただける真面目な方を求めております。

今回は以下の二形態での募集となります。

協力カメラマン
物撮り経験・その他、仕事としての写真撮影経験ある方のことを協力カメラマンとさせていただきます。

弊社のスタジオにて商品を撮影していただきます。撮影点数に応じて報酬をお支払いいたします。撮影報酬は経験やスキルを考慮の上、事前に決定させていただきます。

アルバイトカメラマン
仕事としての撮影は未経験でも写真撮影が好きという方や写真に興味がある方のことをアルバイトカメラマンとさせていただきます。

報酬は時給にてお支払いいたします。時給はカメラの基礎知識やポテンシャルを考慮の上、決定させていただきます。未経験でも興味があれば大丈夫です。

あまり馴染みのない業種かと思いますが、20~30代のスタッフが中心の職場です。いずれの形態であっても働き方や勤務シフトはご相談いただけます。

社会人としての基本的なマナーがあり、人と人とのきちんとしたコミュニケーションの取れる方、経験よりも人柄を最も重視いたします。

学生の方でも大丈夫です。

興味を持っていただけましたらメールでお問い合わせください。詳しい募集要項をお知らせいたします。

ご応募お待ちしております。

ORIGEN古いもの買取り・大切なもの売却代行
住所:543-0017 大阪市天王寺区城南寺町1-16
TEL:0675095761
MAIL:info@osaka-origen.com



移転が完了しました!

2020.10.13 Category :

みなさまいつもお世話になっております。
以前にブログでお伝えしておりました店舗移転が完了し、荷解きもほぼ終えて、やっと落ち着きました。

自分達の作業スペースの片付けが落ち着いたので、これからご来客スペースの改装工事を準備していきます。急な移転だったため、まだまだ準備不足でお客様にはご不便をお掛けしております。出来るだけ早くご来店いただけるようにいたしますので何卒よろしくお願い申し上げます。

念のため、改めて営業状態を記載しておきます。

・出張査定は通常通り営業しております。
・工事中につき、店頭査定は休止しております。

駅前だった恵美須町店に比べ、駅からは離れているので少し不便ではありますが、お寺の多い落ち着いた街並みが魅力的です。

この場所から引き続き精進してまいりますので、
今後ともORIGENをどうぞよろしくお願いいたします。

末筆にはなりますが、
まだまだ世界的に大変な時期ですので
みなさまどうぞご自愛専一になさってください。

ORIGEN 新連絡先
住所 大阪府大阪市天王寺区城南寺町1-16
電話 06-7509-5761
FAX 06-7508-1472

写真査定も受け付けておりますので、
ぜひ「お問合せ・Q&A」のメールフォームよりお送りください。
お待ちしております。



今日の一品 『手捏ね 煎茶急須と煎茶碗』 大田垣蓮月作

2020.09.25 Category :

大阪市中央区のお客様よりお譲りしていただきました。

ご親戚の方の趣味が骨董品蒐集だったそうです。今回、建物の処分に伴う整理時にご相談くださいました。

色々と細かく拝見させていただいている中、水屋の中の木箱に目が止まりました。

箱を開けてみると…

凡そ片手にすっぽりと収まる小さな丸い急須。

細かい貫入のある土肌が柔らかな、風情ある一品です。

轆轤などの道具を使わず手捏ね(てずくね)という方法で成形されています。

胴には何やら文字が刻まれています。

蓮の花の形をした蓋のつまみは繊細に作られています。

揃いの茶碗五客は貫入から柔らかな陶土へとお茶が染み込むことによって作り出された絶妙な色味となっています。使い込み具合によってそれぞれ一点もの。

作者は江戸時代後期の尼僧であり、著名な歌人である大田垣蓮月。

歌人としての評価もさることながら陶芸品も数多く制作しております。

陶芸品は蓮月焼と呼ばれており、手捏ねのやきものに和歌を釘彫するのが代表的な作風です。

その人気故に偽物も多いお品ものとなります。が、偽物を公認していたとされる逸話もあります。

蓮月に関して改めて調べると面白い記述が沢山あり、作品はもちろんのこと、その生涯を含め実に見所の多い人物。また別のお品ものを入手する機会がありましたらご紹介します。

明けたてばはにもてすさび暮れゆけば仏をろがみ思ふ事なし

通釈:夜が明けてきたら、粘土をもてあそび、暮れてきたら、仏を礼拝して、ほかに思うことはない。

以上、簡単ではありますが大田垣蓮月の『手捏ね 煎茶急須と煎茶碗』のご紹介でした。
この度は貴重なお品ものをお譲りいただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

ORIGENでは急須や茶碗を始め、様々な煎茶道具を探しております。
古美術品などの骨董品を中心に時代家具や建具まで幅広く取り扱っております。丁寧な査定をお約束。古いものの売却はORIGENにお任せください。
お品ものの買取や売却に関してのご相談はお電話またはメールフォームよりご相談ください。
よろしくお願いいたします。

大田垣蓮月(おおたがきれんげつ)
1791年、京都の三本木に生まれる。俗名はのぶ。生後すぐに大田垣光古の養女となる。1823年に知恩院で剃髪、蓮月を名乗る。その後、詠んだ和歌を記した陶器を制作。それが「蓮月焼」としてかなりの人気を得る。しかし蓮月は飢饉の際に喜捨をするなどし、自身は質素な生活を好んだ。生涯で2度の結婚と4人の子どもをもうけるも、全て早くに死別してしまう。1857年12月10日に85歳で逝去。
和歌では貞心尼ていしんに(越後)、千代女ちよじょ(加賀)に並ぶ三大女流歌人の一人である。



今日の一品 『長閑形銀張釣 鐵瓶』 平安三徳堂造

2020.09.16 Category :

大阪府箕面市にお住まいのお客様より、ご自宅の建て替え工事に伴うお道具類の整理の際に出張査定のご依頼をいただきました。

長年受け継がれてこられた様々なお道具類があり、一点一点細かく査定させていただきました。

今回ご紹介する一品は未使用で保管されていた平安三徳堂の鉄瓶です。

長閑形と呼ばれる最も正統な姿をしており、鉄地は白肌に仕上げられております。また、釣(掴手)部分は銀張が施されており、格調高い鉄瓶となっております。

重厚感のある紫斑銅に梅型の銀摘みもとても上品です。

鉄瓶には象嵌や文様の凝った別誂のものから普段使いのものまで色々とありますが、今回ご紹介した鉄瓶のような正統派のものは飽きが来ず、長く愛用できる気がいたします。

直ぐに使い始められ、一から育てられる未使用品でしたので高評価につながりました。

使用品ですと錆びているもの、蓋や箱の無いものも多いですが、そういった状態であっても是非ご相談ください。

以上、簡単ではありますが平安三徳堂の『長閑形銀張釣 鐵瓶』のご紹介でした。
この度は貴重なお品ものをお譲りいただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

ORIGENでは鉄瓶を始め、様々な金属工芸品を探しております。
古美術品などの骨董品を中心に時代家具や建具まで幅広く取り扱っております。
丁寧な査定をお約束。古いものの売却はORIGENにお任せください。
お品ものの買取や売却に関してのご相談はお電話またはメールフォームよりご相談ください。
よろしくお願いいたします。



今日の一品 『漢瓦楽一字純銀火舎 耳付香炉』三浦竹泉・秦蔵六造

2020.09.14 Category :

大阪市平野区より、お祖母様が遺されたお品ものの出張査定のご依頼いただきました。

お茶道を嗜んでおられたそうで、お茶道具を中心にご遺品を細かく査定させていただきました。

中でも高く評価させていただいたものが、『漢瓦楽一字純銀火舎 耳付香炉』です。

京焼の名跡である三浦竹泉と鋳金家として名高い秦蔵六による合作。

両家ともに江戸期より技を継承し続ける名跡です。

やきもの、金工とそれぞれのルーツと言えば、中国。この作品からは両氏の中国陶磁器、青銅器への憧憬を感じます。

青磁釉と陰刻技法が明時代の龍泉窯の青磁香炉のごとく、火屋部分は漢時代の瓦当を模した形式となっており、両氏に共通する思想と見事な技によってしか結実しえない逸品かと思います。

以上、簡単ではありますが三代三浦竹泉と四代秦蔵六による合作『漢瓦楽一字純銀火舎 耳付香炉』のご紹介でした。
この度は貴重なお品ものをお譲りいただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

ORIGENでは香炉を始め、様々な香にまつわるお道具を探しております。

古美術品などの骨董品を中心に時代家具や建具まで幅広く取り扱っております。
丁寧な査定をお約束。古いものの売却はORIGENにお任せください。
お品ものの買取や売却に関してのご相談はお電話またはメールフォームよりご相談ください。よろしくお願いいたします。

三浦竹泉(みうらちくせん)
京焼(清水焼)の窯元・名跡。
三代竹泉:1900年生まれ。初代竹泉の末子。兄二代竹泉が早世し、兄の子息も幼少だったため1921年に襲名。1931年に四代に家督を譲るも「竹軒」と号し製作を続ける。当代は5代。

秦蔵六(はたぞうろく)
江戸期から続く鋳金家の名跡。
四代秦蔵六:1898年生まれ。江戸末期からの「蔵六」の名と鋳金技法を継承した。二世蔵六に師事。技術保存資格者。京都金属工芸協会長をつとめる。1984年12月1日、87歳没。

漢瓦(かんが)
漢時代の瓦。先端部分(当)に様々な文字や図といった装飾が施されている。



ORIGENの所蔵品が博物館に収蔵されました。

2020.09.09 Category :

大正七年。今から約百年前にスペインかぜと呼ばれるパンデミックが起こったそうです。このパンデミックが契機となり一般化したと言われる衛生マスク。その時代からやや時代が下る昭和初期のマスクを、出張買取にお伺いしたお家の古い家具の引出しの中から見つけ、今年の3月にブログで紹介させていただきました。

実はこのマスクが北海道にある浦幌うらほろ町立博物館に収蔵されることとなりました。『コロナな時代のマスク美術館』という企画展を開催するにあたり、古いマスクに関する資料を探していた同博物館の学芸員の方がブログに目を止めてくださり、連絡をいただきました。興味深いものを見つけたと思いブログでご紹介したものの、まさか博物館に収蔵されるとは思いませんでした。

昭和初期という物の無い時代だったためか、古い家具の引出しに大切に仕舞われておりました。70年以上前のものとは思えないほど綺麗です。布マスクのため繰り返し利用できるので使い捨てではありませんが、紙箱と包紙が完全な状態で残されているものはそれほど多く無いのかもしれません。当時の個性的なパッケージが目を惹きます。もしかすると、デザインが気に入って捨てずに残して置いたのかもしれません。

内山武商店が1923年(大正12年)発売した『壽マスク』(商標登録品第1号)の後継品と思われる福壽ふくことぶきマスク。国産初期マスクのひとつとして展示されています。

弊社に保管しているよりも、歴史資料として保管・展示されるのが一番です。

8月1日から9月27日まで開催されている『コロナな時代のマスク美術館』に全国から集められたマスクとともに展示されています。

新型コロナウイルス感染症は未だ終息の見通しが立たず、コロナ以前の生活が思い出せないほど社会に変化を与えました。もはやこれまでの生活を取り戻すことは不可能とさえ感じます。

一刻も早い安全なワクチンや治療薬の登場が待たれますが、今できる感染対策はマスクをはじめ、基本的な衛生管理しかないのかもしれません。私自身は感染症対策の科学的知見はありませんが、マスクは飛沫は抑えられると信じています。

ORIGENでは出張査定時におけるマスクの着用と手指のアルコール消毒を引き続き徹底して続けて参ります。よろしくお願いいたします。

・浦幌町立博物館URL:https://www.urahoro.jp/chosya_shisetsu/kokyoriyo/museum/

・NHK札幌放送局手作りマスクが語り継ぐURL:https://www.nhk.or.jp/hokkaido/articles/slug-n4a18e0ad1191

・前回のブログはこちら

記事内の3枚目と4枚目の写真は、浦幌町立博物館の方が撮影してくださいました。マスクは今後適切に保管されるとのことで嬉しく思っております。この度はお声がけくださり誠にありがとうございました。末筆にはなりますが、心より御礼申し上げます。



今日の一品 心斎橋 羽田製『石肌砲口宝珠銀瓶』

2020.08.31 Category :

本日は大阪市東住吉区のお客様より、出張買取りにてお譲りしていただいたお品ものをご紹介いたします。
玉葱の様なぽってりとした形におちょぼ口のような注口のついた愛嬌のある純銀製の銀瓶です。
生前、お爺さまがよく使われていたものだそうで渋みの出た風情ある趣きです。

丸みのある形からぴゅっと飛び出したシャープで絶妙な角度の注口は湯切れがとても良さそうです。

アケビの蔓を用いた掴手は使い込むほどに手に馴染み、美しい飴色への経年変化も楽しみのひとつ。傷みやすい自然素材に補強も兼ねた細い銀針金がアクセントになっています。

かつて、大阪の心斎橋にあった羽田貴金属店が製造販売した銀瓶で品質も良く評価の高いお品ものです。本品は蓋裏にある羽田製・純銀の刻印の他に設立記念と受け取られた方の名前も刻印されております。固有名詞などの刻印は無い方が望ましく、やや評価が下がってしまいますが、刻印があっても問題はありません。

愛嬌のある形ながら、経年変化によるいぶし銀への変色が風格を与えています。自然素材のアケビの掴手は銀の重みのある印象を和らげるだけでなく、熱を伝えにくく、手に馴染み普段使いにも適した素材です。手にすっぽりと収まる大きさも魅力的で毎日愛用したくなる一品です。

以上、簡単ではありますが心斎橋羽田製の銀瓶のご紹介でした。
この度は貴重なお品ものをお譲りいただき誠にありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

ORIGENでは銀瓶を始め、様々な銀製品を探しております。
古美術品などの骨董品を中心に時代家具や建具まで幅広く取り扱っております。
丁寧な査定をお約束。古いものの売却はORIGENにお任せください。
お品ものの買取や売却に関してのご相談はお電話またはメールフォームよりご相談ください。
よろしくお願いいたします。



今日の一品 香器『待春』帖佐美行作

2020.07.31 Category :

大阪市西淀川区のお客様よりお譲りしていただきました。

独特な形の香炉。

銅に銀鍍金を施し、鏨で可愛らしい蝶と水玉文を彫刻しています。

作者は文化勲章受賞者であり文化功労者の彫金家帖佐美行氏です。

作品名は『待春』

白檀のやさしい香りが漂ってきそうな爽やかな香炉です。制作年代は1980年代頃と思われます。

香炉は実用的で人気のあるお品ものです。

こちらの香炉は見た目も可愛らしいのでお香が苦手な方は飾って楽しむのも良いかもしれません。

最近、お香に少し凝っているので、しばし楽しんでから次の方にお譲りしたいと思います。

以上、簡単ではありますが帖佐美行の香器『待春』のご紹介でした。
この度は貴重なお品ものをお譲りいただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

古美術品などの骨董品を中心に時代家具や建具まで幅広く取り扱っております。
丁寧な査定をお約束。古いものの売却はORIGENにお任せください。
お品ものの買取や売却に関してのご相談はお電話またはメールフォームよりご相談ください。
よろしくお願いいたします。

帖佐美行(ちょうさよしゆき)
1915年鹿児島県出身。1930〜38年まで彫金家小林照雲に、1940年からは彫金家海野清に師事。

1966年日本芸術院賞受賞。[1]

1969年日展理事に就任。

1974年日本芸術院会員になる。

1975年日展常務理事に就任。

1987年文化功労者、1993年文化勲章受章。



移転のお知らせ We will move.

2020.06.18 Category :

大阪市浪速区恵美須町で開業してから、早5年。あっという間の5年間でしたが、この度ご縁をいただきまして、大阪市天王寺区城南寺町へと移転する運びとなりました。

創業地であり、職人さんや友人と作った思入れのある店なので、名残惜しいですが6月30日をもちまして恵美須町での営業を終了とさせていただきます。

近隣の方々ならびに、ご依頼いただきましたお客様のおかげで無事に5年間の営業を続けてこられました。ありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

移転先でもプロの方の手をお借りしながら、自分達で出来る部分はセルフリノベーションで作っていこうと思います。

今までよりも広いスペースになりますので、これまで十分に取り扱うことの出来なかったお品ものにも対応できるようになります。

お客様の利便性向上に努めてまいりますので何卒よろしくお願いいたします。

工事期間中は店舗査定を休止しております。仮設になるかと思いますが、出来るだけ早くご来店査定ができるよう準備を進めてまいります。

なお、出張査定は平常通り営業しておりますのでお気軽にご相談ください。

お客様にはご迷惑をお掛けしますが、何卒ご理解いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

ORIGENでは古美術品などの骨董品を中心に古家具や時代建具まで幅広く取り扱っております。
丁寧な査定をお約束。古いものの売却はORIGENにお任せください。
お品ものの買取や売却に関してのご相談はお電話またはメールフォームよりご相談ください。
よろしくお願いいたします。



唐津&博多旅行記 博多編

2020.05.18 Category :

博多の祖父母宅へ帰省した際の記録をまとめました。

前回は唐津編のご紹介でしたが、今回は博多編。ORIGENのルーツを辿る旅になりました。

昨年も博多に帰省した際に訪れた福岡市赤煉瓦文化館。

明治42年(1909年)に旧日本生命保険株式会社九州支店として竣工。

東京駅の設計者である辰野金吾設計による見事な煉瓦建築です。

初めて見た時からただならぬものを感じていましたが、今年の帰省時に発見した叔祖父の写真アルバムに約80年前に撮影された『朝ノ日本生命』と題された白黒写真を見つけ驚きました。朝霧のせいか朧げな姿です。

祖母に写真について聞くとアルバムを見ながら当時のことを詳しく話してくれました。

「橋口町には書店や西洋家具店などのお洒落なお店があり、お医者さんや大学の先生など当時の文化人が沢山住んでいた最先端の町。赤煉瓦はそのシンボルでとても立派な建物だった。骨董屋さんも沢山あり、その中でも岩権(いわごん)が一番大きかったのよ」

旧日本生命保険株式会社九州支店のあった地域はかつては橋口町という地名で西洋建築が立ち並ぶ、博多で最も文化的に進んだ町だったそうです。

橋口町に関することは後述することにし、建物内部に。

この建物は国の重要文化財に指定されており、内部は綺麗に復元されています。鉄骨材は当時ENGLANDから輸入されたものだそうです。

階段部分や天井の装飾部分は曲線的なアールヌーボー様式。手摺部分は戦時中に供出したために木製になっています。

大きな上げ下げ窓や復旧品を含む古い金物や照明器具など細かい見所が沢山あります。

唐津で訪れた旧唐津銀行との共通点などを比較するのも面白い。

そして、毎年恒例の灯籠へ。

福岡市赤煉瓦文化館から徒歩10分程のところに、博多町家寄進高灯籠という大きな石灯籠があります。

明治時代に建造されたもので、灯籠の表面には博多の商家の屋号が刻まれた石板がびっしり嵌め込まれています。その中には曽祖父の代まで営んでいた骨董店の石板も残されています。祖母の話の中で語られた橋口町の岩権(いわごん)とはこのことです。

ORIGENという屋号は祖父の営んでいた織源という呉服店から引継ぎました。岩権は祖母の家系が幕末〜昭和30年代前後まで営んでいた骨董店の屋号です。

祖母の話を裏付けるようにアルバムに貼り付けられた『橋口町ノ光景』と題された写真には書画骨董と書かれた骨董店の軒先が写っています。残念ながら岩権 骨董舗の写真は現存しません。

当時の橋口町には古美術を扱う骨董店が沢山あったようで、中でも岩権は一番のれんの古い老舗だったと記載されている郷土資料が残されています。

私が生まれた時には岩権の最後の代である曽祖父は既に他界していたのでこの道の手ほどきは受けてはいませんが、家の歴史を証明できるものが残されているのは少し誇らしく、同時にその名に恥じないようにせねばと気の引き締まる思いになります。

これから博多の旧橋口町に関する資料を収集していこうと思います。資料お持ちの方がいらっしゃいましたら是非ご連絡ください。

ORIGENでは古美術品などの骨董品を中心に古家具や時代建具まで幅広く取り扱っております。
丁寧な査定をお約束。古いものの売却はORIGENにお任せください。
お品ものの買取や売却に関してのご相談はお電話またはメールフォームよりご相談ください。
よろしくお願いいたします。



He is back.

2020.05.15 Category :

時計修理の専門店にオーバーホールを依頼していたGrand Seiko 61GSが帰ってきました。

見事に復活。

内部の傷みが激しい不動品でしたが、職人さんの腕のお陰で時を刻み始めました。

GrandSeikoHI-BEAT(Ref.6146-8050)Cal.6146A 1972年製

48年前の時計です。ハイビートの小刻みで軽快な稼働音がとても心地よい時計です。

文字盤は濃紺色。

この濃紺色の文字盤については色々と調べたのですが、確かな情報が掴めませんでした。

Grand Seikoに詳しい知人二人に聞いたところ、

「現行のGrand Seikoは多種多様なカラーの文字盤があるが、本来は白・アイボリー系統だけで濃紺色のものは無い。つまりこれは後塗りと呼ばれるもので文字盤の傷んだGrand Seikoを海外で再塗装して再販したもの」

という意見と

「これは紛れものくオリジナルの文字盤。キングセイコーがバラエティに富んだモデルを販売していた時期に高位機種であるGrand Seikoも特殊なモデルをいくつか作った。この時計もその中のひとつで、濃紺文字盤カットガラスの風防どちらも紛れもなくオリジナル」

との2つの意見に別れました。私はGSオタクでは無いのでどちらが正しいのか分かりませんが、実物をルーペで細かく見た上での印象では後者の意見が正しいような気がいたします。

そして、私としては文字盤がオリジナルか否かよりも、この文字盤固有の特徴が堪らない。

前回のBlogを見ていただいた方の中にはお気づきになった方もおられるかもしれませんが、濃紺の文字盤全体に退色による色の変化と銀色の斑点が無数に現れており、さながら星空のようです。

銀色の斑点は湿気に晒されたことが原因による浮き錆ですが、光の当たる角度で表情が変わる様は曜変さながら。

見方によっては文字盤の傷んだジャンク品に見えるかもしれませんが、偶然によって生まれたここにしかない一本。長い時間が生み出した特別な美しさがあります。

ヴィンテージウォッチの世界ではROLEXのトロピカルダイヤルに代表するような美しい経年変化は時計の価値を高める要素になる場合があります。

この一本もそのひとつ。不動品や傷みのあるお品ものでも本来の価値以上のものがあるかもしれません。



対策済!出張査定・最新の営業状況に関して。

2020.05.12 Category :

新型コロナウイルス感染症に伴う弊社の対策と最新の営業状況をお知らせいたします。

現在の営業状況

出張査定:5月8日より通常通りの営業を再開いたしました。

店舗査定:引き続き休止中

店舗での査定は引き続き休止しております。お客様にはご不便をおかけいたしますが何卒ご理解賜りますよう、よろしくお願いいたします。

ORIGENでは可能な限りの感染症対策を講じた上で出張査定を行っております。

数に限りはございますが、ご希望のお客様にはマスクをお渡ししております。

また、感染リスクを下げるために玄関先での査定も可能です。

その他、ご希望の査定方法がございましたらお気軽にご相談ください。

先行きが見えず不安な日々が続いておりますが、慎重に状況を見極めながら最善の方法で営業して参ります。

古美術品などの骨董品を中心に古家具や時代建具まで幅広く取り扱っております。
丁寧な査定をお約束。古いものの売却はORIGENにお任せください。
お品ものの買取査定や売却に関してのご相談はお電話またはメールフォームよりご相談ください。
よろしくお願いいたします。



空家のお悩みご相談ください

2020.04.28 Category :

新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化し、非常事態宣言が発出されて20日以上が経過しました。長期化するにつれ、精神的な疲れが日増しに大きくなっています。

私の場合はスタッフはリモートワークなので誰もいない会社と倉庫で品物の整理やメンテナンスをして日々を過ごしております。

未だ収束の見えない状況下であり、先行きの見えない状況はとても不安ですが、なんとか踏ん張ってこの困難を乗り越えねばなりません。

微力ではありますが、お役に立てることがございましたら遠慮なくご相談ください。

本日は空家のご相談に関して。

外出自粛中にご自宅や空家のお片付けを進められる方も多いのではないでしょうか。

通常であれば3月から4月にかけての時期はお引越しに伴う家財整理などが多く、出張査定や空家の家財整理に関するご相談が一年の中で最も多い時期です。

新しい生活や環境へのスタート時期にまさかこのような事態になるとは想像もしておりませんでした。

今は外出や人との接触を避けるのが大事な時です。依頼がないのはつらいですが、緊急事態宣言の解除後、そしてコロナウイルスの収束後に迅速に対応できるよう体調管理を含め、しっかりと準備しておきたいと思います。

ORIGENでは空家にある古いお品ものの買取り査定はもちろんのこと、家財道具のお片付けのご相談も承っております。

関西では2年前の2018年には大きな自然災害が相次ぎ、そして今年は新型コロナ。。

2018年の大阪府北部地震・台風第21号の被害は甚大でした。未だに爪痕が残されているお家も沢山あります。古い建物が好きでこの仕事を始めた者としては一瞬にして貴重な建物や風景が失われるのには胸が痛みます。

老朽化による取壊しやリフォーム時のご依頼では「少しでもどこかで再利用できるものがあれば」と建具や古い照明器具、貴重な古材のなどの買取りに関するご相談を多くいただいております。

古い建物の取壊しを予定されている方がおられましたら一度ご相談ください。まだまだ活かせるものがあるかもしれません。

こちらは以前に訪問したことのある木々に覆われた蔵をジオラマで再現してみました。

昨年は数件の蔵整理のお手伝いをさせていただきましたが、中には半世紀以上の間、閉ざされたままとなっていた蔵もありました。

長年、大切なものを守ってきた重厚な蔵戸は開けるだけでも一苦労。

分厚い土と漆喰で仕上げられた蔵は耐火性・耐久性が高く、きちっとメンテナンスをすれば百年以上も持つと言われています。ですが、その工法や職人の減少ゆえに補修や修繕といった維持管理が難しくなっているのが現状のようです。

こちらは幹線道路に残る古い町屋を再現してみました。

時代の流れで周囲の建物が建て替えられていくなか、昔の姿のまま残っている町屋を時々見かけます。当時の街並みを想像することができる貴重な存在。

査定の移動中や散歩中にこういった建物を見つけるとついつい想像が膨らみ見入ってしまいます。

歴史ある建物や蔵の中には時代や用途のわからないものが沢山保管されていることがあります。

ORIGENでは一点一点、細かく拝見し価値あるものを見落とさないよう丁寧な査定を心掛けております。古い建物の建て替えや蔵整理をお考えの方はお気軽にご相談ください。

今回は鉄道模型でこれまで実際にお伺いした古いお家や街並みを再現してみました。ファインダーを覗きながら何度も細かな調整をし、過去に見た景色を再現してみました。

いつの日かジオラマではなく、本物の歴史ある建物の修復や保存に関わってみたいと思っています。

出張査定の約半数が空家の売却や取壊し前のご依頼という事もあり、これまで多数の古いお家にお伺いしてきました。

これまでの経験を活かしてお役に立てるよう努めて参りますので空家のことでお悩みがある方がおられましたらお気軽にご相談ください。

古美術品などの骨董品を中心に古家具や時代建具まで幅広く取り扱っております。
丁寧な査定をお約束。古いものの売却はORIGENにお任せください。
お品ものの買取や売却に関してのご相談はお電話またはメールフォームよりご相談ください。
よろしくお願いいたします。



新型コロナウイルス感染症拡大による営業変更に関する重要なお知らせ

2020.04.24 Category :

はじめに、新型コロナウイルスに感染された方におきましては一日も早く快方に向かわれることをお祈りし、心よりお見舞い申し上げます。

新型コロナウイルスの感染拡大の勢いは衰えるどころか、日増しに脅威が増大し予断を許さない状況です。

弊社は4月7日より店舗営業の休止と全スタッフのリモートワークへの切り換えを行っております。今のところ、私自身とスタッフ。また家族を含め感染が疑われるものはおりません。今後も慎重に状況を見極め、最大限の感染拡大防止策を講じて参ります。

4月19日まで店舗営業を休止しておりましたが当面の間、休止を継続させていただきます。また5月6日までの間は出張査定も休止させていただきます。お客様にはご不便とご迷惑をお掛けいたしますが何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。

お電話・メールでのお問い合わせは通常通り受け付けております。概算にはなりますが写真査定も可能です。【お問合せ・Q&A】のフォームに写真を添付していただくかinfo@osaka-origen.comまでお送りください。

緊急事態宣言解除後の営業に関する情報は随時ブログで発信いたします。

お客様にはご迷惑をお掛けいたしますが何卒ご理解いただきますようよろしくお願い申し上げます。



新型コロナウイルス感染症拡大による営業変更に関する大切なお知らせ

2020.04.07 Category :

ORIGENの公式ブログを見ていただき、誠にありがとうございます。

本日、緊急事態宣言が発出されたことを受け、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止及びスタッフの健康と安全に配慮するため、誠に勝手ではありますが、本日より店舗営業を一部休止することといたしました。

ご予約いただいていたお客様並びにご来店を検討されていたお客様にはご迷惑をおかけいたしますが何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

店舗査定休止期間は4月7日〜4月19日を予定しておりますが、感染拡大の状況等を考慮し随時変更させていただきます。

なお、出張査定に関しまして通常通り営業を継続して参ります。

感染症対策として4月7日より、店舗スタッフ全員をリモートワークへと切り換えいたしました。また、手洗いうがいの励行、マスクの着用と訪問前のアルコール消毒を徹底しております。

今後、感染拡大防止のため出張査定の休止も考えられます。

既に出張査定のご予約いただいているお客様には事前に確認のご連絡をした上でご訪問させていただきます。

弊社といたしましては慎重かつ冷静に状況を見極め、最大限の感染防止策を講じた上でお客様からのご依頼に対応していきたいと考えております。

特別の事情のある方やどうしても時期を変更できないお客様のご期待にはお応えしたいと考えておりますが、不急のお客様に関しましては時期をずらしてのご予約を推奨させていただいております。

現在、出張査定をお考えのお客様は慎重にご検討いただいた上でご連絡ください。

万が一、査定員やスタッフに体温の上昇・新型コロナウイルスへの感染が疑われることがありましたらご予約いただいているお客様には遅滞なくご連絡をいたします。

今後も新型コロナウイルス感染症に関する営業変更等におきましては随時ブログで発信いたします。

最後となりましたが、新型コロナウイルスに感染された方におきましては一日も早く快方に向かわれることをお祈りし、心よりお見舞い申し上げます。



新型コロナウイルスによる営業状況とマスクの歴史

2020.03.30 Category :

新型コロナウイルス感染症の影響による営業状況をお知らせいたします。

初めに、新型コロナウイルスに感染された方におきましては一日も早く快方に向かわれることをお祈りし、心よりお見舞い申し上げます。

ORIGENの営業状況

現時点では来店・出張査定ともに通常通り営業しておりますので、安心してご依頼いただけます。

日頃の手洗い・うがい・アルコール消毒の徹底と査定時にはマスクを着用してお伺いいたします。

万が一、査定員やスタッフに体温の上昇や新型コロナウイルスへの感染が疑われることがありましたらご予約いただいているお客様には直ぐにご連絡いたします。

今のところ、上記のような症状はございません。

新型コロナウイルスが猛威を振るっている最中、査定にお伺いしたお家の古い家具の中から出てきたレトロな紙箱。凄いタイミングで発見したので、少し調べて見ました。スターマスク・文化マスク・福壽マスクの三点。昭和の手書きのイラストと時代を感じるネーミングセンス。

三点の中で唯一の逆文字の福壽マスクだけ中身が残っていました。おそらく、この中では一番古い。昭和初期のものと思います。包紙の状態からすると数回使用したもののようです。大事に保存されていました。

メーカーはTOKYO.T.U.SHOTEN.

調べてみると内山武商店という情報がヒット。1923年(大正12年)発売された『壽マスク』が商標登録品第1号に認定されたメーカーです。

福の字が前に付いているので1923年以降の製品かと思います。実用新案特許の番号が記載されているので調べてみましたが情報が見当たりませんでした。登録商標や実用新案特許の表記から新規性を強調したかったのが伝わってきます。

今から約100年前の1918年はスペインかぜと呼ばれるインフルエンザ・パンデミックが起こった年。人類史上最悪の伝染病と言われており、世界中で約5億人が感染し、日本でも約39万人の方が死亡したそうです。今よりも人・物の往来が少なかったであろう時代にこれほど感染者が多いのは驚きです。

このインフルエンザ・パンデミックをきっかけにマスクが注目されるようになったそうです。当時は主に工場用の粉塵よけマスクしかなかったようです。ウイルスの流行によりマスクメーカーが乱立し、それでも供給が追いつかず、粗悪な製品が多かったようです。

今は粗悪なものすら手に入りませんが。

色は黒色。パッケージからわかるように当時は黒色のものが一般的だったようです。足袋の素材に使われる黒朱子(くろしゅす)が使用されています。足袋メーカーがマスク需要に勝機を見出し製造したからなのか。黒の方が汚れが目立たないので採用されたのか。

少し前までは奇抜な印象さえあった黒いマスクですが、最近では見慣れてきました。当時は実用的な意味があったのではと思います。

高級素材である黒朱子の生地はまだしっかりとしています。紐通し部分も真鍮のハトメで仕上げられており丈夫で長持ち。

口の当たる部分にはセルロイドが使用されています。マスクは粉塵よけとして作られ始めた歴史があり、初期の頃はこの部分は金網で作られていたとのこと。しかし、金属だとすぐに錆びてしまうことからセルロイドが使われるようになっていったそうです。通気性の向上の為と粉塵よけマスクのなごりと思われるが、通気孔はロゴマーク。果たして、この部分には意味があるのか。

自社のオリジナリティの強調と丈夫な素材で丁寧な仕上げのマスクからは当時のものづくりの活気が感じられる。また商品名やパッケージデザインからは文化という言葉の意味する新しい価値観の息吹が感じられます。

世界中で感染者が増え続ける状況の中、日本も同様に感染者が増え続けております。つい先日まで他人事のように考えていましたが、お店のある恵美須町付近では観光客の姿を見なくなりました。連日報道のある通り、都市部のロックダウンなどの可能性も現実味を帯び始め、新型コロナウイルスによる影響が日増しに大きくなっています。出来るだけ早い終息を願うと共に日頃の感染予防を徹底して参ります。

今後、営業状況に変更がある場合には改めてBlogにてご報告いたします。



今日の一品『唐津作太郎茶碗』 人間国宝 十二代中里太郎右衛門窯

2020.03.24 Category :


店舗査定のご依頼をいただき、住吉区からご来店くださいました。

ご実家にあった太郎右衛門窯の『唐津作太郎茶碗』をお持ちしていただきました。作太郎という方が注文したことからこの名前がついた湯呑み。

前回の唐津旅行記で紹介したばかりの中里太郎右衛門窯のお品ものとなりますが、バリエーションに富んだ唐津焼の面白さをお伝えするのにうってつけですのでご紹介させていただきます。


絵唐津:日本初の絵付けと言われ、唐津焼を代表するもの。鉄絵具を使用し、動植物などの身近なモチーフを素朴なタッチで描かれる。

黄唐津:木灰釉をかけてやいたもの。酸化炎で黄唐津になる。還元炎では青くなり、青唐津となる。


斑唐津:素地の成分や燃料により、青や黒の表面に斑点ができる。伝統的手法の1つ。

黒唐津:鉄分の多い釉薬を使用する。発色は成分などにより異なるが、総称して黒唐津と呼ぶ。


朝鮮唐津:2種類の釉薬を使用し、高温で焼き上げるもの。2色が溶け合う様子(景色)が見所。

粉挽唐津:素地が半乾きのうちに化粧土をかけることを粉引技法という。朝鮮では古くからの技法だが、唐津焼では近代から。


高台にあるこちらの丸3つの窯印は陶房でお弟子さんが作った印です。

釉薬の違いで様々な表情を楽しめる唐津焼。

普段使いとして六客の異なる形や釉薬を日替わりで楽しんだり、家族でそれぞれ自分のものを決めるのも良いかもしれません。

意識した訳ではないのですが、今日の一品シリーズで湯呑紹介が続いていますので、今度は別の一品をご紹介できるようにいたします。

以上、簡単ではありますが先日、買取りさせていただきました十二代中里太郎右衛門窯の唐津作太郎茶碗のご紹介でした。
この度は貴重なお品ものをお譲りいただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

古美術品などの骨董品を中心に時代家具や建具まで幅広く取り扱っております。
丁寧な査定をお約束。古いものの売却はORIGENにお任せください。
お品ものの買取や売却に関してのご相談はお電話またはメールフォームよりご相談ください。
よろしくお願いいたします。

十二代 中里太郎右衛門(なかざとたろうえもん、法号・中里無庵 なかざとむあん)
1895年、佐賀県唐津市出身。
父の11代中里太郎衛門(天祐)の死により昭和2年に太郎右衛門を襲名。
昭和4年から佐賀と長崎の古唐津窯跡発掘調査を始め、
その後独自に作り出すことになる「タタキ技法」を研究する。
海外での展示にも多く出品し、
紫綬褒章の受賞や重要無形文化財保持者(人間国宝)になるなど輝かしい功績を収めている。

唐津焼(からつやき)
近年の研究では、1580年代頃に岸岳城城主の羽田氏の領地で焼かれたのが始まりとされる。
その後に豊臣秀吉による朝鮮出兵で朝鮮の陶工を連れ帰り、その技術を取り入れ、生産量が増加。
明治以降は藩の庇護を失い衰退するが、中里無庵(人間国宝)が復活させた。
「用の美」を備え、使用して完成するとのことから「作り手8分、使い手2分」と言われる。



唐津&博多旅行記 唐津編

2020.03.19 Category :

お正月に祖父母宅のある福岡へ帰省した際に佐賀県唐津市に行ってきました!

福岡市内から車で約1時間ほどの距離にも関わらず、これまで行ったことが無かったのですが、唐津焼をはじめ見所の沢山あるとてもいいところでした。沢山写真撮影したので思い起こしながら見ていこうと思います。

まずは唐津城へ。

唐津城は明治期に解体されているため、現在のお城は復元建造物です。見所は一部オリジナルの姿を残す石垣・堀と天守閣からの眺めです。天守閣からは唐津湾と市街地が一望できます。またお城内には中里家から寄贈された古唐津コレクションが展示されております。残念ながら撮影不可でしたが、こちらがとても充実の内容で一見の価値あり。

唐津城の次は中里太郎右衛門陶房へ。

唐津焼といえば中里家です。江戸時代から続く唐津焼の名跡。当代は14代太郎右衛門。12代中里太郎右衛門(無庵)は唐津焼での重要無形文化財保持者(人間国宝)です。

陶房では太郎右衛門窯の陶工の方が作ったものを買うことができます。併設の陳列館では13代,14代本人作の作品が展示されており、こちらも購入可能。さすがに太郎右衛門本人が作った作品には手がでませんでしたが、工房作品のお皿を購入しました。

次なる目的地は老舗旅館の洋々閣。大正期に建てられた日本建築。ここには中里隆の作品を展示するギャラリーがあります。

12代中里太郎右衛門(無庵)の5男にあたる隆氏は唐津焼に囚われない作風が魅力的です。伸びやかな松文様の絵付けからは古唐津の様な素朴さを、器のカタチからは現代的な感覚を感じます。世界の様々なやきものに挑戦し続けている中里隆だからこそカタチにできるのだと思います。

そして、唐津に残る近代建築巡りへ。

田中実設計の旧唐津銀行。監修は唐津出身の建築家辰野金吾。東京駅をはじめ、大阪市中央公会堂など数多くの名建築を手掛けた人物です。

田中実は愛弟子なる人物で清水組の技師。師の故郷であることを意識し、辰野式を採用しながらも独自の意匠を盛り込んだ名建築です。建物だけでなく、照明器具やドアの金物なども見所のひとつ。修復工事もされており当時の姿を今に伝えます。

次は旧高取家住宅へ

旧高取家住宅は明治時代の炭鉱王である高取伊好(たかとりこれよし)の邸宅で現在は国指定重要文化財です。

唐津に行ってからその存在を知り立ち寄ったのですが、過去に訪ねた近代建築の中でも最も感動した建物です。一部に洋館を含む日本家屋。内部には高取伊好の人柄を感じさせる様々な意匠が散りばめられています。邸宅内にある能舞台の様々な仕掛けや窓から差し込む自然光により浮かび上がる影に至るまで計算され尽くされている見事な建物。

老朽化により取り壊しの危機に陥るも唐津市民の運動により、保存・修復がなされ2007年より一般公開されています。ガイドを頼むと20〜30分程の時間をかけて建物内の説明をしていただけます。自由に見ても良いようですが、このガイドさんの説明がとてもわかりやすいのでお勧めします。
※内部は撮影不可でした。

さてさて、見所がギュッと詰まった唐津。他にもご紹介したい場所は沢山ありますが今回はここまで。

次回は福岡編のお話をさせていただきます。



ぐいっと、あがり上々

2020.03.18 Category :

大阪府堺市のお客様より備前焼のぐい呑をお譲りいただきました。

ご依頼者様のお父様が備前焼の魅力に惹かれ蒐集されたもの。

同じ備前焼でも形や景色など実に多彩な表情です。

どれも備前の里である岡山県出身の陶芸家の作品です。今回はこの中から親子で「備前焼」の人間国宝となった藤原啓と藤原雄の作品をご紹介いたします。

向かって左側が父(藤原啓)のもので右側が子(藤原雄)の作品です。

どちらも備前焼の魅力の詰まったぐい呑。

藤原啓の作品の景色となっている筋は緋襷(ひだすき)と呼ばれる備前焼独特の模様です。

窯の中で陶器がくっつかないようにするために巻かれた藁によってできる模様です。赤色の筋が代表的ですが、素材や窯の温度など諸条件のより様々な発色で現れます。本作の緋襷は銀色に輝いており、洗練された上品な印象を与えます。残念な事に口元に小さなホツ有。銀継ぎで直しても良いかもしれません。

対して、藤原雄の作品は丸い抜けが愛嬌ある一点。牡丹餅と呼ばれる模様です。内側にも綺麗な丸い抜けがあり、ついつい覗き込んでしまいたくなります。桟切の色味の変化も豊かです。また口元の造形にも遊びがあり良いですね。

そして今回お譲りいただいたものの中で一番、気に入ったものが藤原啓の灰釉酒杯。

備前焼といえば釉薬をかけずに焼き締められた陶器ですが、こちらは藁灰釉が掛けられています。瑞々しい透明釉の中に緑色や乳白色の斑ら模様が現れています。

同じ作品を見たことがなかったので興味深く拝見し査定させていただきました。箱書には「啓作 灰釉酒杯 雄鑑(+落款)」とあり、作品にはしっかり啓本人の陶印がありますので本人作に間違いありません。箱の無い状態でも査定できますが、箱が決め手になることもあるので処分せずに残しておくのをお勧めします。

以上、簡単ではありますが先日、買取りさせていただきました備前焼のご紹介でした。他の作品もご紹介したかったのですが、また別の機会にさせていただきます。

ぐい呑はお酒の味を楽しみながら、時間をかけてやきものの表情の変化を楽しめる一品です。お譲りしていただいたお品物を大切にしていただける方のもとに届けたいと思います。

この度は貴重なお品ものをお譲りいただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

古美術品などの骨董品を中心に時代家具や建具まで幅広く取り扱っております。
丁寧な査定をお約束。古いものの売却はORIGENにお任せください。
お品ものの買取や売却に関してのご相談はお電話またはメールフォームよりご相談ください。
よろしくお願いいたします。

TOP写真上から
藤原啓(ふじわらけい)1899年2月28日-1983年11月12日 ※左上段、左下段
岡山県出身の陶芸家。1970年に「備前焼」重要無形文化財(人間国宝)に認定。

小西陶蔵(こにしとうぞう)1947年-
岡山県出身の陶芸家。1988年金重陶陽賞を受賞。
2013年第1回備前市指定無形文化財認定者。

山本陶秀(やまもととうしゅう)1906年4月24日-1994年4月22日
岡山県出身の陶芸家。楠部彌弌に師事。1970年に「備前焼」重要無形文化財(人間国宝)に認定。

藤原雄(ふじわらゆう)1932年6月10日-2001年10月29日
岡山県出身の陶芸家。人間国宝藤原啓の長男。父に続き1996年に「備前焼」重要無形文化財(人間国宝)に認定。人間国宝に認定。

森陶岳(もりとうがく)1937年3月23日-
岡山県出身の陶芸家。岡山県指定重要無形文化財保持者。



Good bye, EBISUCHŌ

2020.03.02 Category :


弊社のすぐ目の前にある阪堺電気軌道の恵美須町駅。

大阪唯一の路面電車。

少し前から、何やら工事をしているので気になっていたのですが、どうやら駅舎が移設されたようです。

目の前にも関わらず気がつきませんでした。

1911年(明治44年)開業なので109年もの歴史ある駅です。

新駅舎は南に100m程の場所(写真の左奥に少し写っています。)。

恵美須町駅は浜寺駅から一本で来れるので、時々、阪堺電車に乗って堺方面から査定に来ていただくことがあります。
感謝。

2018年の台風21号により破損した屋根。

台風21号からもう1年半。

あの日は出張査定帰りの高速道路上で突風の直撃を受け、人生最大の身の危険を感じたのを覚えています。

大阪では瓦やテントの飛んだ建物など、今でも台風21号による爪跡が沢山残っています。

駅プラットホームの西側は木組み。

蓬色のペンキの剥げ落ちた姿がなんともレトロです。

駅裏手の枯れた風合いの木製建具。普段は野良猫たちのたまり場です。

恐らく大阪市内では最も味のある駅なのではないでしょうか。

新しい駅舎に生まれ変わるのかと思いきや、跡地は他の目的で開発されるようです。

お世辞にも綺麗な駅とは呼べない大阪の一癖ある駅ですが、無くなると聞くと少し寂しい気持ちになります。

また一つ、恵美須町周辺の古い建物が無くなり、景色が変わりますが跡地の有効活用を期待します。

長い間、お疲れさまでした。(※恵美須町駅自体は無くなりません。)