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今日の一品 『長閑形銀張釣 鐵瓶』 平安三徳堂造

2020.09.16 Category :

大阪府箕面市にお住まいのお客様より、ご自宅の建て替え工事に伴うお道具類の整理の際に出張査定のご依頼をいただきました。

長年受け継がれてこられた様々なお道具類があり、一点一点細かく査定させていただきました。

今回ご紹介する一品は未使用で保管されていた平安三徳堂の鉄瓶です。

長閑形と呼ばれる最も正統な姿をしており、鉄地は白肌に仕上げられております。また、釣(掴手)部分は銀張が施されており、格調高い鉄瓶となっております。

重厚感のある紫斑銅に梅型の銀摘みもとても上品です。

鉄瓶には象嵌や文様の凝った別誂のものから普段使いのものまで色々とありますが、今回ご紹介した鉄瓶のような正統派のものは飽きが来ず、長く愛用できる気がいたします。

直ぐに使い始められ、一から育てられる未使用品でしたので高評価につながりました。

使用品ですと錆びているもの、蓋や箱の無いものも多いですが、そういった状態であっても是非ご相談ください。

以上、簡単ではありますが平安三徳堂の『長閑形銀張釣 鐵瓶』のご紹介でした。
この度は貴重なお品ものをお譲りいただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

ORIGENでは鉄瓶を始め、様々な金属工芸品を探しております。
古美術品などの骨董品を中心に時代家具や建具まで幅広く取り扱っております。
丁寧な査定をお約束。古いものの売却はORIGENにお任せください。
お品ものの買取や売却に関してのご相談はお電話またはメールフォームよりご相談ください。
よろしくお願いいたします。



今日の一品 『漢瓦楽一字純銀火舎 耳付香炉』三浦竹泉・秦蔵六造

2020.09.14 Category :

大阪市平野区より、お祖母様が遺されたお品ものの出張査定のご依頼いただきました。

お茶道を嗜んでおられたそうで、お茶道具を中心にご遺品を細かく査定させていただきました。

中でも高く評価させていただいたものが、『漢瓦楽一字純銀火舎 耳付香炉』です。

京焼の名跡である三浦竹泉と鋳金家として名高い秦蔵六による合作。

両家ともに江戸期より技を継承し続ける名跡です。

やきもの、金工とそれぞれのルーツと言えば、中国。この作品からは両氏の中国陶磁器、青銅器への憧憬を感じます。

青磁釉と陰刻技法が明時代の龍泉窯の青磁香炉のごとく、火屋部分は漢時代の瓦当を模した形式となっており、両氏に共通する思想と見事な技によってしか結実しえない逸品かと思います。

以上、簡単ではありますが三代三浦竹泉と四代秦蔵六による合作『漢瓦楽一字純銀火舎 耳付香炉』のご紹介でした。
この度は貴重なお品ものをお譲りいただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

ORIGENでは香炉を始め、様々な香にまつわるお道具を探しております。

古美術品などの骨董品を中心に時代家具や建具まで幅広く取り扱っております。
丁寧な査定をお約束。古いものの売却はORIGENにお任せください。
お品ものの買取や売却に関してのご相談はお電話またはメールフォームよりご相談ください。よろしくお願いいたします。

三浦竹泉(みうらちくせん)
京焼(清水焼)の窯元・名跡。
三代竹泉:1900年生まれ。初代竹泉の末子。兄二代竹泉が早世し、兄の子息も幼少だったため1921年に襲名。1931年に四代に家督を譲るも「竹軒」と号し製作を続ける。当代は5代。

秦蔵六(はたぞうろく)
江戸期から続く鋳金家の名跡。
四代秦蔵六:1898年生まれ。江戸末期からの「蔵六」の名と鋳金技法を継承した。二世蔵六に師事。技術保存資格者。京都金属工芸協会長をつとめる。1984年12月1日、87歳没。

漢瓦(かんが)
漢時代の瓦。先端部分(当)に様々な文字や図といった装飾が施されている。



ORIGENの所蔵品が博物館に収蔵されました。

2020.09.09 Category :

大正七年。今から約百年前にスペインかぜと呼ばれるパンデミックが起こったそうです。このパンデミックが契機となり一般化したと言われる衛生マスク。その時代からやや時代が下る昭和初期のマスクを、出張買取にお伺いしたお家の古い家具の引出しの中から見つけ、今年の3月にブログで紹介させていただきました。

実はこのマスクが北海道にある浦幌うらほろ町立博物館に収蔵されることとなりました。『コロナな時代のマスク美術館』という企画展を開催するにあたり、古いマスクに関する資料を探していた同博物館の学芸員の方がブログに目を止めてくださり、連絡をいただきました。興味深いものを見つけたと思いブログでご紹介したものの、まさか博物館に収蔵されるとは思いませんでした。

昭和初期という物の無い時代だったためか、古い家具の引出しに大切に仕舞われておりました。70年以上前のものとは思えないほど綺麗です。布マスクのため繰り返し利用できるので使い捨てではありませんが、紙箱と包紙が完全な状態で残されているものはそれほど多く無いのかもしれません。当時の個性的なパッケージが目を惹きます。もしかすると、デザインが気に入って捨てずに残して置いたのかもしれません。

内山武商店が1923年(大正12年)発売した『壽マスク』(商標登録品第1号)の後継品と思われる福壽ふくことぶきマスク。国産初期マスクのひとつとして展示されています。

弊社に保管しているよりも、歴史資料として保管・展示されるのが一番です。

8月1日から9月27日まで開催されている『コロナな時代のマスク美術館』に全国から集められたマスクとともに展示されています。

新型コロナウイルス感染症は未だ終息の見通しが立たず、コロナ以前の生活が思い出せないほど社会に変化を与えました。もはやこれまでの生活を取り戻すことは不可能とさえ感じます。

一刻も早い安全なワクチンや治療薬の登場が待たれますが、今できる感染対策はマスクをはじめ、基本的な衛生管理しかないのかもしれません。私自身は感染症対策の科学的知見はありませんが、マスクは飛沫は抑えられると信じています。

ORIGENでは出張査定時におけるマスクの着用と手指のアルコール消毒を引き続き徹底して続けて参ります。よろしくお願いいたします。

・浦幌町立博物館URL:https://www.urahoro.jp/chosya_shisetsu/kokyoriyo/museum/

・NHK札幌放送局手作りマスクが語り継ぐURL:https://www.nhk.or.jp/hokkaido/articles/slug-n4a18e0ad1191

・前回のブログはこちら

記事内の3枚目と4枚目の写真は、浦幌町立博物館の方が撮影してくださいました。マスクは今後適切に保管されるとのことで嬉しく思っております。この度はお声がけくださり誠にありがとうございました。末筆にはなりますが、心より御礼申し上げます。