会社の階段室に昭和8年製の照明器具を3灯取り付けているのですが、内1灯の房形金物が欠損しておりましたので複製を製作しました。
近年、女性を中心に流行?しているUVレジン製(樹脂)です。
オリジナルは真鍮鋳物製。
いつか類似のものが見つかればその時に取り付ければいいかと思っていましたが、珍しい照明なので出てくることも無く・・・
やっぱり飾り房がないと何とも格好が悪いので作ってしまいました。
真鍮鋳物で1点のみ特注したら結構な費用がかかるな~とケチな事を考えていた時に妻がUVレジンでアクセサリーを作っていた事を思い出しました。
まずはオリジナルから半分ずつ、シリコンで型を作ります。
シリコン型は硬化に1日かかりますが、レジンはUVライトを照射すると数分で硬化します。
エイジング塗装を担当したのは短期バイトのはずが、会社に居ついてしまった手先の器用な画家アルバイターM。
日常業務はてんてこまいな彼女ですが、こういった作業だけはどこからか別人格が現れます。
ご安心ください。
ちゃんと刳貫いてますよ。
細部までこだわりました。
逆光で全く見えません。細部までこだわった意味がありませんでした・・・・
でもパーツが付いてキリッと格好良くなったのでokです。
機能に関わらない飾り金物であればUVレジンの複製はありですね。
照明器具は昭和8年に建てられた築88年の家屋が解体される際に取り外して移設したものです。
写真には写っていませんが、受け金具は幾何学的なアールデコ様式です。
丸いガラスグローブを囲う枠には中国趣味を感じさせる装飾が施されています。
浮かび上がる三つ葉紋様には正式な名前があるのかどうかはまだ調べておりません。
ひとつの灯りのなかに西洋と東洋の趣きが同居し、混じり合った憧憬のようなものが感じられます。
1930年代と言えば政治的に複雑な時代。当時の日本の意匠の中に列強文化の模倣と遙か遠い中国文化へ憧れの意識があったことは想像に難くないですが、意図的に組み合わせたと考えるのには、いささか無理があるでしょうか?
単なる偶然かもしれませんね。
以上。失われた照明パーツ製作事例のご紹介でした。
ご清聴ありがとうございました。