奈良県大和高田市にお住まいのお客様より、和菓子の菓子木型をお譲りいただきました。
この木型は古い建物の屋根裏に眠っていたものを店主が見つけたものです。
ご依頼人様は木型の存在すら知らなかったそうで、なぜ屋根裏に木型が残されていたのかはわからないそうです。
四季折々の花や伝統文様が彫刻された木型は、落雁などの干菓子や煉切などの上生菓子を作るのに欠かせない製菓道具です。
機械化や大量生産が当たり前となった現代では、職人の手で作られた木型は非常に貴重なお品ものです。
私自身も、かつて製菓業界に携わっていたため、職人が技巧を凝らし古くからの伝統を受け継いできた製菓道具を見ると深い感慨を覚えます。
木型職人は和菓子職人の想いを的確に汲み取り、数種類のノミや彫刻刀を用いて繊細な意匠を彫り上げます。
木型には水に強く耐久性に優れた桜の木が使用されておりますが、現在では桜材の入手がしづらくなり、木型職人の数も非常に少なくなっています。
こうした背景の中で職人たちが丹精を込めて作り上げた木型は、資料としての価値も高く、日本の伝統や季節の移ろいが感じられる高い彫刻技術が国内外で評価されています。
和菓子の木型はお菓子作りの道具でありながら、美術館で展示されるなど単なる道具を超え芸術作品としても評価されています。
経年劣化によって摩耗し乾燥でひび割れ傷んだ木型は、木の枠を足したり修繕することで長く使い続けることができます。
お譲りいただいたお品ものの中にも、ひび割れを釘で修理したものがありました。
傷んだ道具も捨ててしまうのではなく、繕い直し大切に使われていたことが伺えます。
この度は大切なお品ものをお譲りいただき誠にありがとうございました。
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