陶磁器|キズ・直し|用語集 

2024.09.17 Category :

やきものニュウ

【ニュウ|入】

釉薬を越して胎土にまで通ったヒビ。裏表両方から確認できる状態をいう。
ニュウ


【カンニュウ|貫入】

釉薬の表面に現れた微細なひび割れ。ニュウと違い、釉薬の下にある。
窯から器を取り出し冷却する過程で、外気との温度差により素地と釉薬が縮むことで生ずる。
窯疵の一種で、基本的に傷とはされない。
※【カマキズ|窯疵】の項目を参照
カンニュウ 貫入


【ホツ】

後天的にできた数ミリ程度のごく小さな欠け。口縁や高台などに見られることが多い。
ホツ


【カケ|欠け】

ホツよりも大きく欠けてしまった状態。
カケ 欠け ホツ


【ソゲ|削げ|ハマグリ】

口縁・高台の表面の片側がめくれるように削れているもの。ソゲた部分の形状からハマグリとも呼ばれる。
ソゲ 削げ


【アタリ|当たり】

放射状のニュウ。当たった跡。壷の肩や胴などによく見られる。
アタリ 当たり


【トリアシ|鳥足】

放射状に入ったニュウのなかで、特に鳥の足跡のように見えるもの。見込みなどの中心に見られることが多い。


【ユウハゲ|剥げ】

後天的に釉薬の部分だけが剥がれ落ち、素地が露出してしまっている状態。


【カマキズ|窯疵】

成形中や焼成の最中に窯のなかできた先天的な疵(キズ)を窯疵と呼ぶ。窯疵は基本的に傷物としては扱われず、焼き物の個性とされる。
例:貫入、窯ワレ、釉抜け など


【カマワレ|窯割れ】

焼成中、窯の中で割れが発生した状態。壷や茶碗の高台に見られる裂けは【底ワレ】と呼ばれる。
カマワレ 窯割れ


【きんつぎ|金継ぎ】

割れや欠けなどの損傷を漆と金で継いで直す手法。
欠けた部分を漆で成形し、金粉を蒔いて磨き上げる。金は酸化し難いため輝きが長期間保たれる。
伝統的な本漆金継ぎでは金粉を用いるが、比較的安価な真鍮粉で代用することもできる。
銅と亜鉛の合金である真鍮は金と異なり経年(酸化)による変色が発生しやすいものの、金よりもやや黄色味の強い華やかな仕上がりとなる。
金継ぎ きんつぎ


【ぎんつぎ|銀継ぎ】

割れや欠けなどの損傷を漆と銀で継いで直す手法。
欠けた部分を天然の漆で成形し、銀粉を蒔いて磨き上げる。経年の変色でいぶし銀のような風合いへと変化していく。
伝統的な手法では銀粉を用いるが、比較的安価な錫粉で代用することもできる。
錫は他の金属粉よりも比較的粒子が大きく、柔らかみのある輝きとなる。また錫は銀よりも変色し難いため、銀色の輝きを保ちやすい。


【うるしつぎ|漆継ぎ】

金継ぎなどの金属粉を使用した直しとは違い、表面を漆で仕上げる。器の色や状態に合わせ漆と顔料を混ぜ合わせ色漆を作る。金継ぎよりも強度に優れる。
漆継ぎ うるしうつぎ


【簡易金継ぎ】

漆のかわりに人工的に作られた合成の樹脂・溶剤・パテを用いる簡易手な手法。
伝統的な本漆金継ぎは漆が乾くまでに日数がかかるため数ヶ月〜長ければ半年ほどかかる場合もあるが、簡易金継ぎは1、2日ほどで仕上げることができる。
手軽ではあるものの本漆を用いる金継ぎなどと比べると長期間の耐久性に劣ることや、簡易金継ぎに用いられるパテや接着剤は食品衛生法の基準を満たさないものが多く、食器には適さないなどデメリットもある。


【ともつぎ|共継ぎ】

共直しとも。直した部分が金色となる金継ぎに対し、共継ぎは破損箇所と色質感を似せて仕上げる。


【よびつぎ|呼継ぎ】

破片がない場合、似た風合いの陶片を割れた箇所の形に合わせ削り整えて継ぎ修復する手法。


【かすがいつぎ|鎹継ぎ】

鎹直しとも。中国由来の修復技術。ひび割れの横に直接小さな穴を開け、金属製の鎹を埋め込み留めたもの。
鎹継ぎ かすがいつぎ


【やきつぎ|焼継ぎ|ガラス継ぎ|白玉継】

白玉継とも。江戸時代に普及した技術で、ガラス粉(白玉粉)を割れた陶器の断面に塗布し低温の窯で加熱し接着する。
漆を用いた金継などよりも手早く仕上げることができ、硬度・耐久性にも優れているが、安価な瀬戸物の大量生産が始まった明治以降徐々に衰退していった。
やきつぎ 焼継ぎ ガラス継


【まきえなおし|蒔絵直し】

金継ぎ(銀継ぎ)の後にさらに蒔絵を施し仕上げる手法。


【むぎうるし|麦漆】

小麦粉(強力粉)・生漆・水を混ぜて練ったもの。
接着力に優れており、破片の面を継ぎ合わせる接着剤として用いる。
生漆(きうるし):原料の漆を濾過して不純物を取り除いたもの。


【さびうるし|錆漆】

砥の粉・水・生漆を混ぜて練ったもの。
主に小さな欠けやヒビを埋めるのに用いる。
砥の粉(とのこ):砥石にも用いられる岩石を粉末状にしたもの。地の粉よりも粒子が細かい。


【こくそうるし|刻苧漆】

麦漆・木粉・地の粉※1・刻苧綿※2を混ぜて練ったもの。
欠けが大きい・破片が欠損している場合、刻苧漆を用いて盛り上げたり成形する。
※1地の粉(ぢのこ):焼いた珪藻土を粉末状にしたもの
※2刻苧綿(こくそわた):綿を粉末状にしたもの。

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金継ぎ教室開催のお知らせ

2023.08.21 Category :

本うるし金継ぎ教室開催

金継ぎ教室のお知らせ

金継ぎ/金繕いとは漆と金銀粉を用いた日本独自の陶磁器修復技術です。

カケ・ヒビ・ワレといった陶磁器の傷を隠すのではなく、むしろ新たな鑑賞要素、景色の一部へと昇華させ、破損してしまった器に新たな価値を吹き込む極めてユニークな修復手法です。

近年、非常に注目されている日本の古典技法ですが今日では日本以上に海外でその独自の技術への関心、認知が広まっております。

かねてより興味があった金継ぎを学んでみたいと思い、講師の方をお招きし全8回の金継ぎ教室を行なっていただくことになりました。
※回数8回は金継ぎがスムーズに進んだ場合の目安になります。修復する器の程度や状態、経験や個人差等により回数は前後いたします。


本金継ぎ

合成接着剤を使う簡易金継ぎではなく、本漆を用いた本金継ぎを学べます。

古いものを大切に守り、次代に繋げる技術を一緒に学びませんか。

折角の機会ですので、ご興味のある方は是非ご参加ください。

ご興味、ご関心と直したい器があればどなたでもご参加いただけます。

少人数制の為、席に限りがございます。

お早めにお申し込みくださいませ。

修理中の陶磁器・道具類は保管いたしますので身軽にお越しいただけます。


お申し込み方法

メールもしくはinstagramのDMからお申し込みください。

ご参加希望・お名前・電話番号・メールアドレスをお知らせください。

メールアドレス:info@osaka-origen.com

instagram:origen_osaka


先生のご紹介

大阪福島金継ぎ教室 むつき
森本直子先生

2003年 大阪芸術大学デザイン学部卒業
2007年 裏千家茶道専門学校卒業
10年以上茶道に関連する仕事に従事した後に金継ぎと出会い、技法を習得

instagram:kintsugi.fukushima
https://www.kintsugi-fukushima.com/


開催場所

SHINGAN
大阪市天王寺区城南寺町1-16-3F

大阪メトロ谷町線:谷町6丁目駅
大阪メトロ千日前線:谷町9丁目駅
大阪メトロ長堀鶴見緑地線:玉造駅
近鉄大阪線/難波線:大阪上本町駅
JP環状線:鶴橋駅・玉造駅

各最寄駅から12-15分


教室開催日と時間

毎月第1・3木曜日:13:00-15:00


スケジュール

2023年
10月5日/10月19日
11月2日/11月16日
12月7日/12月21日

2024年
1月18日/1月◯日
※1月の第2回のみ日付未定
※欠席時は福島教室への振替可能
※器の修復状況や金継ぎの習得状況・ご希望により継続受講も応相談可


費用について

入会金
5,000円
※筆・ヘラ・真綿含む

受講料
月2回8,500円材料費込み
※本金・本銀粉は別途購入
※月初に現金払い


持ち物

修復したい陶磁器3~5点程度
※器のご用意が足りない方はご相談ください。
エプロン/汚れてもいい服装/アームカバー

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