今日の一品 瑠璃色琺瑯水筒

2023.04.11 Category :


大阪市天王寺区の古いお家の蔵から発見し、お譲りいただきました。

瑠璃一色の琺瑯水筒です。

見つけた時には虫喰だらけの古いカーキ色のフェルトカバーに包まれておりました。

傷んだフェルトカバーを取ってみると中から綺麗な瑠璃が姿を見せてくれました。

戦前の琺瑯製品は粗雑な作りのものが多い中、この水筒は細かい部分にまで手をかけているようです。

とてもおおらかな曲線とたっぷりと掛けられたガラス釉薬の風合いから見て、大正〜昭和初期のものかと思います。
製造時に意図せず発生した青から群青、紫まで色ムラのグラデーションがとても綺麗です。

大量生産された工業製品であり日用品ですが、希少な一点物のやきものにも負けない魅力があると思います。

飲み口には古いコルクキャップが付いていました。

これを肩から提げていた戦前の人々を想像するとかっこいいですね。

素材が鉄なので水筒として使うのはちょっと勇気がいりますので一輪花生にしました。
玄関に然りげ無く飾るだけで目に留まることは間違いないでしょう。

以上、簡単ではありますが瑠璃色琺瑯水筒の紹介でした。

ORIGENでは骨董品を中心に古道具から古家具まで幅広いお品ものを取り扱いしております。
どんなお品ものでも拝見いたしますのでお気軽にご相談ください。

経験豊富な店主が細かく拝見いたします。

丁寧な査定と明朗会計をお約束。古いものの売却はORIGENにお任せください。
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今日の一品 孤高の大佛師

2023.01.25 Category :


奈良県奈良市のお客様より、お譲りいただきました。

奈良一刀彫に新境地を開いた孤高の大佛師。

興福寺大佛師
竹林履中斎(高行)作の阿弥陀如来立像です。

頭光から放射状に伸びる光芒に目が釘付けになる小さな阿弥陀様です。

その頭光の中心にあるお顔はなんとも可愛らしい柔和な円顔。
弓形の目と表情はとても慈悲深く、見方によって優しい笑顔ようにも無言で諭しているようにも見えます。
まるで見る人の心の内を全て見通し、表情を変えて何かを語りかけているかのようです。

頭頂から蓮弁までを一材から彫り出し、華盤・反花・框はそれぞれ個別に彫り出し、組み上げられおります。

身丈の割に大きな頭、ふくよかな体躯は童のような印象を与え、とても愛くるしいお姿。

一方で蓮華座に立ち、来迎印を結ぶお姿は実に堂々とされております。

絶妙な角度の指先と細かな彫りに精魂が宿っています。

「南無阿弥陀佛」
無言の言霊が響き渡ります。

幼少期から小刀に親しみ、誰に習うでも無く類稀な技芸を会得していたという竹林高行。
当時の木彫界の第一人者達が驚く才能だったそうです。

しかしながら、
「顧客に媚びない一徹な芸道が敬遠され、高行自身も社会的地位に関心が薄かった」※1
ようで、それ故にその功績に比べ、世間一般に知られることなく、今では忘れ去られた大佛師と言われております。

高額な報酬、地位や名誉といった一切の煩悩から離れ
一度没頭すると時を忘れて、片時も鑿を手放さず、一心不乱に彫り続けたその姿は正に孤高の大佛師に他なりません。

今はまだ煩悩から離れることが出来ませんが、いつの日か、この阿弥陀様のような円く朗らかな顔の人間になりたい。
そう願い修行を続けて参ります。

下山拝

蓮華座底部に彫銘
大正十年二月二十七日
奉造立
奈良市興福寺大佛師
竹林履中斎

竹林高行
履中斎
明治二年(1869)生
昭和二十四年(1949)亡
享年81歳
奈良一刀彫竹林家初代
世の中の中庸を履むとの意から号を「履中斎」と称する。
奈良一刀彫りの第一人者である竹林薫風氏は子

※1
参考図書
安達正興著
『奈良きたまち 異才たちの肖像』
P247

前回の今日の一品「紫被切子鉢



今日の一品 紫被切子鉢

2022.11.24 Category :


大阪市東住吉区のお客様よりお譲りいただきました。

大胆なカットと深い紫色硝子が印象的な切子鉢です。

非常に細かく刻んだ筋と力強く深い筋とが交差し、えも言われぬ美しさを放っています。

器を分割する最も深い筋は笹の葉紋と思われます。

10分割された部分には蜘蛛の巣紋と玉紋が交互に彫られています。

左右対象の蜘蛛の巣紋の美しさもさる事ながら玉紋が凹レンズ効果を生み、器を眺めた時に起こる視覚的効果が眼を楽しませてくれます。

彫の深さを変える事で笹の葉・矢来・霰・魚々子紋など様々な紋様が浮かび上がります。

念入りに磨きを掛けられており、如才無い熟練の手による切子です。

硝子の質や作域から見て昭和初期に大阪で製造されたものと思われます。

切子ガラスと言えば鹿児島で作られる薩摩切子、東京の江戸切子が有名ですが、かつて大阪は切子硝子の一大生産地でした。

東京を凌ぐ数の多種多様な硝子業者がひしめいていたそうで、当時は大阪に行かなければ一人前ではないと言われたそうです。

これだけ手間の掛かった切子硝子ですので当時とても高価なものだったと思います。

所々に欠けがありますが、そんなことは微塵も感じさせない迫力ある一品です。

季節の果物を盛り、テーブルに置くと眼が釘付けになりそうです。

以上、簡単ではありますが昭和初期の紫被切子鉢のご紹介でした。

この度は買取りのご依頼をいただき誠にありがとうございました。
この場をお借りして御礼申し上げます。

ORIGENでは昭和のものから貴重な時代ものまで古いお品ものを幅広く探しております。

お引越しや空家のお片付けの際には是非ご相談ください。

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今日の一品 美術竹芸

2022.09.03 Category :


大阪市阿倍野区のお客様よりお譲りしていただきました。

梅文様の可愛らしい竹細工。

日本家屋の室内装飾に使われる竹丸窓と呼ばれるもので和風建築には欠かせない一品です。

長年、美術竹芸の職人をされていた方が残されたお品もの。恐らく注文が入った時のために作り置いていたものかと思います。

材質は煤竹。

煤竹は藁葺き屋根の家屋を取り壊す際に天井からとれる竹材。
囲炉裏の煤に燻され飴色に変化するのには凡そ100年から200年もの歳月が必要です。

近年は藁葺き屋根の減少に伴い、煤竹の量も減っているそうです。

色が少しだけ薄い部分は縄の結ばれていた部分です。

巻紙の新聞紙もなかなかの年代物。

「軟弱な言葉は似合わない」
なんの記事でしょうね。

昔はどこの家にもあった竹丸窓ですが、今では昔ながらの大工さんの建てる家か凝った人が建てる数寄屋建築でしか使われないものになっています。

買取りでお邪魔する古いお家ではよく見かける竹丸窓。
本来は土壁の中に埋め込むものですが、壁に掛けるだけでも絵になります。

障子の隙間から見える梅の花を上手く演出した面白い一品かと思います。

以上、簡単ではありますが煤竹の丸窓のご紹介でした。

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今日の一品 献上の壺

2022.08.19 Category :


大阪市天王寺区のお客様よりお譲りいただきました。

「家にある古い物を処分するので…一度見にきてもらえますか…ガラクタしか無いかもしれませんが…」
とご依頼いただきお伺いさせていただきました。

昭和の記念品や贈答品でいっぱいの押入れの中を見させていただくと…奥の方にひときわ古いダンボール箱が埋れています。

引っ張り出して中を見てみると小さな壺が目に映りました。

ガラクタ(≒宝)に紛れてなんとも可愛らしい茶壺があるではありませんか。

鉄釉と白釉が掛け分けられ、肩には灰釉が少しだけ流し掛けられています。
そして三つの耳がついたお決まりの様式と言えば…

江戸時代に信楽で焼成された腰白壺です。
徳川家や諸大名など当時の有力者への献上茶を詰めるために御用御茶壺として用いられた一品。

それまでは焼締陶器であった信楽焼が施釉陶器となった最初期に焼成されたのが腰白壺だそうです。

どういった経緯で押入れに収まったのかはわかりませんが「多分、おじいちゃんの物?だと思います」との事でした。

ゴロゴロとあちこちを転がって辿り着いた押入れの中で随分と長い間眠っていた様です。

汚れたガラクタがひょっとするとお宝に化けるかもしれません。

以上、簡単ではありますが信楽焼の腰白壺のご紹介でした。

腰白壺
信楽焼
高150mm×口径59mm×胴径115mm×底径68mm
江戸時代後葉
大阪市天王寺区出押入れ収納出
Tea-leaf jar with iron and white glaze, KOSHIJIRO type Shigaraki Ware
Late Edo period
Found in a closet, Tennoji Ward, Osaka City

※KOSHIJIRO type = jars with white(JIRO) glaze on the lower part(KOSHI).
※It lost a wooden lid.

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今日の一品 water shape

2022.04.14 Category :


硝子工芸作家
津田清和氏の作品を手にしました。

ふくらんだ気泡のような、うすい硝子が水の姿を教えてくれます。

口縁部まで水を満たすと、まるで水晶のように光を集め、やさしく拡散します。

器形は瓶子と呼ばれるもので底部から肩にかけて大きく張った曲線を描き、口は小さく窄む形が特徴です。

古くに中国で考案された陶磁器の器形で当時は酒瓶として用いられましたが、使い勝手が悪く次第に作られなくなったそうです。

しかし、その姿はとても美しく今なお、鑑賞陶磁として高く評価されています。

これまで陶磁器で作られてきた瓶子を宙吹き硝子で試みたのが津田清和氏です。

目を凝らすと、かすかに緑色を帯びており、ゆらゆらと波打ち、小さな気泡を含んでいます。

古い硝子の質や陶磁器の形を沢山、研究されているんだと思います。

津田清和氏はこの瓶子を「水のトルソー」とも呼んでおられるそうです。

花は最近、お気に入りのパーロット咲きのチューリップ。

黄色に赤縞が特徴的なフレミングパーロットです。

台にしているのは以前にお客様からお譲りいただいた江戸時代の朱塗棚。

歴史ある棚の上に置き、水をいっぱいに満たすだけで背筋がすっと伸びる瓶子です。

高台が凄く小さいので慎重に扱い、割らないように気をつけます。。。

以上、簡単ではありますが津田清和氏の硝子瓶子のご紹介でした。

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今日の一品 Medicine chest

2022.04.07 Category :


大阪市生野区のお客様よりお譲りしていただきました。

御祖父様の時代から漢方薬店を営まれていたそうで、その頃から貴重な漢方薬を納めていた薬箪笥です。

薬箪笥といえば数百種類の薬を仕分けるための抽斗の数の多さが特徴です。

こちらは朝鮮薬箪笥です。
日本や中国にも薬箪笥はありますが、それぞれに特徴があり見比べるのも面白いです。

水平垂直のものを見ると気持ちがいいですね。碁盤の目のように整った桟が美しい。

ツマミは可愛らしい勾玉形。

東洋医学の世界観を示す陰陽太極図がモチーフなのだと思います。

外れて無くなった箇所はリングやヒートンで代用されています。

全く同じものを見つけるのは難しいですが、風合いの似た金物を探して合わせたいところです。

使われ始めてから100年程は経過していると思われます。

抽斗からは色々な香りがします。漢方薬独特のツンとする香りやズンと重い香りまで様々。

綺麗にメンテナンスして便利な整理箪笥として使っても良いですし、迫力があるのでお店のディスプレイなどにも良いかと思います。

金物はトロトロに経年変化しており、とても良い金味です。

希少な漢方薬は鍵を掛けて保管していたようです。

古くから漢方薬店をされていたため、今では希少価値が高い原料や薬事法上の理由で市場に出せない漢方薬なども沢山残っているそうです。

お客様のご厚意でガラス瓶に保管されていた貴重な沈香である伽羅の香りを楽しませていただきました。
ガラス瓶の蓋を開けた瞬間に言葉に出来ないほどの素晴らしい香りが部屋に広がりました。
時間が経っても、その香りは消えず「これが本物か」と驚きました。

以上、簡単ではありますが買取りさせていただきました朝鮮薬箪笥のご紹介でした。

この度は長年大切にされてきた薬箪笥と貴重な名香体験をさせていただきありがとうございました。
この場をお借りしてお礼申し上げます。

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今日の一品 尼崎のアンダガーミ

2021.09.30 Category :


尼崎市のお客様より出張査定のご依頼をいただきました。

空家になっているお家をリフォームするとのことで中にある家財品を見せていただきました!

査定できるものを探させていただいていると、階段下の収納に花器が沢山保管されているのを見つけ、ごそごそ引っ張り出していると、古めかしい壺が。。。ごろりと。

同じ場所に保管されていた花器と見比べると一際古い。さて、どこの壺だったか。

どろっとした飴色の釉薬が壺全体に荒っぽく掛けられており、細かなキズが経年の風格を漂わせています。

釉薬のムラや小石のようなもののクッツキもお構い無し。

綺麗な形の耳。分厚くしっかりと造形されており、紐を強く掛けても耐えられそうです。

孔の位置には箆で筋を加えるというちょっとした意匠も。

窯の中に沢山入れて焼かれたために横のものにくっついてしまったんでしょう。

釉薬の塊が野趣に富む表情を一層際立たせます。

海に沈めれば蛸が入ってしまいそうですね。

縄も掛けられるし、蛸壺かな?と思った方もおられるかもしれません。

この壺は沖縄の焼物でアンダガーミと呼ばれる壺です。

沖縄の言葉でアンダーは油、ガーミは甕という意味になります。

この壺に豚の油を入れて、台所に縄で吊るすそうです。

日々の生活で使われるための実用品。まさに民藝品と呼べる物ですね。

お客様曰く「これは昔っからあります。私のちっちゃい頃から。何なのかは知りません笑」との事。

作られたのは恐らく1900年代初頭のものかと思います。

どのような経緯で沖縄から尼崎まで運ばれて来たのかはわかりませんが、長い旅を経て来たようです。

スタッフに頼んで、素朴な壺に鈴バラを生けてもらいました。

この度はこのような時にも関わらずご依頼ありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

ORIGENでは古美術品などの骨董品を中心に民藝品や時代建具といったものまで幅広く取り扱っております。
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今日の一品 Moonlight at the end of the Meiji era

2021.09.21 Category :


大阪市東住吉区のお客様より、お譲りしていただきました。

僅かな光のもとでも美しい姿のお品物をご紹介いたします。

「祖母の時代から家にあるものです。いい物だと聞いており、どなたか大事にしてくださる方へお譲りしたいです」とご相談いただきました。

全体がわからないように撮影してみましたが、どんなお品ものかわかるでしょうか?


旧字体や行書で書かれている字もあるので少し読みづらいですが、大体の文字は読めると思います。

答えは
舟形
吹き墨造り皿
貮拾人前入
です。

お刺身用のお皿ですね。

吹き墨とは染付磁器に多く用いられる伝統技法のひとつ。
シンプルな技法ながら、粒子の細かさや濃淡により、様々な表情を見せてくれます。

吹き墨の技法では有田の十三代今泉今右衛門(人間国宝)が有名ですが、こちらの作者は平安成洸です。京で焼かれた上品な一品です。

美しい濃淡の青を海に見立て、お刺身を盛ったのでしょう。

箱の裏書きに明治四十四年秋新調の墨書きがあります。
110年前のちょうど今頃の季節のお品物です。

明治末期の粋な一品は今なお、新鮮さと洒脱な風格を兼ね備えています。

お造りだけでなく、秋の果物を盛ってもいいかもしれません。

以上、簡単ではありますが平安成洸作の『舟形吹き墨造り皿』のご紹介でした。

この度は貴重なお品ものをお譲りいただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

ORIGENでは古美術品などの骨董品を中心に陶磁器から時代家具といったものまで幅広く取り扱っております。
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今日の一品 『純銀製霰銀瓶』 竹影堂榮真造

2021.06.18 Category :

大阪府豊中市にお住まいのお客様より、堂々たるお姿の純銀製霰銀瓶をお譲りしていただきました。
深みのある銀色に黒色の藤を巻いた把手が渋い一品です。

等間隔に寸分の狂い無く並んだ霰星の迫力。

霰星を見ると兜の鋲が頭に浮かび、持っているだけで強くなった気分を味わえますが、妻が突然これで湯を沸かし始めた場合はやんごとなき事態であると推察されます。

したがって、その様な場合には速やか謝罪と無条件降伏を推奨いたします。

その様な事が起こらない様に日々真面目に精進して参りましょう。

茶事の際でも、この銀瓶さえあれば堂々と振舞えそうですね。

摘まみの形は七宝紋でしょうか。透かし、極小面の魚子地は極めて細密です。

真横から見た時の注口の角度は完璧です。

竹影堂は京都で二百年もの歴史あるお家で金銀銅を用い、茶道具から装飾金物まで制作されておられます。

現在は七代目竹影堂榮真が伝統技術を継承しておられます。

以上、簡単ではありますが竹影堂榮真の『純銀製霰銀瓶』のご紹介でした。
この度は貴重なお品ものをお譲りいただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

ORIGENでは銀瓶を始め、様々な銀製品を探しております。
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竹影堂榮真(ちくえいどうえいしん)
竹影堂の4代目が国内外の高い評価を得、有栖川宮殿下から『竹影堂榮真』の号を賜り始まる。現在は竹影堂の七代目佳永が2009年の二月に襲名し、四世竹影堂榮真となり、制作を続けながら後継者も育てている。



今日の一品 須田剋太作『天平美人』

2021.05.19 Category :

大阪府豊中市にお住まいのお客様より、そのお姿を見ると、ほっこりと優しい気持ちになれるお品ものをお譲りしていただきました。

しずくの中から現れたのは仏様のような慈悲深い表情で合掌されたお姿の天平美人です。

作者は画家として著名な須田剋太氏。

埼玉県出身ですが、兵庫県西宮市に移住し制作を行っていたということもあり大阪にも縁のある画家です。

ORIGENでは過去に須田剋太氏の絵画や書の取扱い実績はありますが、陶芸作品は今回が初めてとなります。

大胆で勢いよく描く独特な画風で知られますが、陶芸でもそれは変わりません。

釉薬をまるで絵具のように。

灰釉の澄んだ美しい淡青色がしずくの形と共鳴しています。

また造形は一見すると素朴で単純に見えますが、計算され尽くされており、対象を大胆に簡素化しながらもその特徴を見事に捉えています。

角をとった直線的な陶板に貼り付けられたしずくの形やへらで描いた線のバランスが見事です。

もっとも今回の題である天平美人が実際にどんな姿だったのかはわかりませんが、美しい装束に身を包み、微笑んでいるふくよかで瑞々しい姿が想像されます。

1972年に本人の手によって制作されたお品もので、陶板の裏面には成型時についた指の指紋跡がしっかりと残っています。

こういった痕跡があると作陶している当時の息吹が感じられ、想像が膨らみます。

写真には写していませんが裏にサイン・タイトル・制作年月日の墨書きがあります。

彫銘は”剋”の一字。

今回初めて須田剋太の陶芸作品を手にしましたが、対象の姿を捉える感覚とそれを形にする造形力には改めて驚きました。

本人にとってはキャンバスであろうと陶板であろうと何も変わりはしなかったのかも知れません。

以上、簡単ではありますが須田剋太の陶芸作品『天平美人』のご紹介でした。
この度は大切なお品ものをお譲りいただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

ORIGENでは須田剋太の絵画・陶芸作品を探しております。

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喫茶美術館
http://www.waneibunkasha.com/
大阪府東大阪市小阪にある喫茶店です。
須田剋太・島岡達三の作品が常設で展示されており、店内の家具は全て松本民芸家具で揃えられています。
コーヒーを飲みながらゆっくり作品を鑑賞できます。
私も友人の薦めで一度行きました。是非。

※緊急事態宣言により6/2まで休業されております。(5/19現在)
営業日や時間など、サイトをご確認ください。

須田剋太(すだこくた)
画家。1906年(明治39年)埼玉県出身、本名勝三郎。
中学卒業後に画学校で学び、以降は独学。
1936年の初入選から新文展では特選を3度受賞、1954〜1966年の間には国際展に多く発表。
この間に東大寺に寄寓するなどし、仏像や堂塔をモチーフにする。
『正法眼蔵』(道元)や、縄文土器・土偶などにも興味を抱いていた。
1971年からは『街道をゆく』(司馬遼太郎)の挿絵を描いて講談社出版文化賞を受賞。
日本橋三越や阪急などでの個展も続け、各地の文化賞も受賞するなど、晩年も活躍した。
生前に手元の全作品を大阪府、埼玉県立美術館、飯田市美術博物館(長野県)に寄贈。
1990年84歳で死去。



今日の一品 瓢鮎図は禅問答か大喜利か。

2021.04.26 Category :

門真市にお住まいのお客様より、古い根付をお譲りしていただきました。

困り顔のふんどし姿の男がなにやら不思議なことをしています。

よく見ると男は瓢箪を両手に持って、大きな鮎の上に跨っています。※「鮎」はナマズの意

鮎はなんともとぼけた表情で我関せずといった面持ち。

さて、この男は一体、なにをしているのでしょうか。

実はこれ、室町時代に考えられた図。その名を瓢鮎図ひょうねんずと呼びます。

時は室町時代
四代将軍・足利義持が「丸くすべすべした瓢箪で、ぬるぬるした鮎を抑え捕ることができるか」という禅問答を考えたことから生まれた図です。

この問いには、当時の知恵者である高僧名僧でも頭を悩ませたそうな。
現代ならば大喜利のお題として、ひとボケかまさなければならないですね。

ところで、根付とは煙草入れや印籠といったものを腰から下げる時に帯から落ちないようにするためのもの。
江戸時代に大流行した装飾品で、非常に手のこんだものは美術品としての価値があります。
意匠も緻密な彫刻が施された超絶技巧系のものから、遊び心たっぷりの語呂合わせ言葉遊び系まで多種多様です。

今回のお品物は禅問答系。
当時、これを持っていた人はインテリ系の人だったのかもしれません。
そうやって当時これを腰に提げていた人のことを想像するのが楽しくなるもの古いものの魅力ですね。
無銘のお品ものなので作者はわかりません。
制作年代は江戸時代後期かと思われます。
超絶技巧ではありませんが、困った表情と滑稽な様を上手く形にしていると思います。

さてさて、私も明日は鮎を捕まえにでも行こうかな。

以上、簡単ではありますが『瓢鮎図根付』のご紹介でした。
この度は大切なお品ものをお譲りいただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

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今日の一品『武比古作 宝船置物』

2021.03.22 Category :


大阪市北区の会社経営者様よりご依頼をいただき、関武比古作の『銀製 宝船置物』を買取りさせていただきました。
縁起物として顧客の方から頂いたものだそうで、応接室に飾っておられましたが会社をたたまれることになり、「どなたか次の方の元に」とお譲りしていただきました。

銀の打出しで細かい部分まで丁寧に造られたお品物です。
船首の鳳凰はなかなか凛々しいお姿。

船体には米俵・打出の小鎚・珊瑚・小判・分銅・隠笠・隠蓑・軍配・鍵などの財宝が山のように積まれております。
軍配には天下泰平の文字。
泰平であります様に。本当に願います。

さまざまな貴金属美術工芸品を制作しておられる関工芸株式会社のお品もので本作は初代関武比古作となります。
宝船以外では銀製のヨットや扇子置物の他、金製の動物置物やレリーフ作品なども有名です。

長い間、ご商売を続けてこられた方の元にあった宝船。
良い方にご縁があります様に。

以上、簡単ではありますが初代武比古作の『銀製宝船』 のご紹介でした。
この度は大切なお品ものをお譲りいただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

ORIGENでは銀製置物を始め、様々な金・銀製品を探しております。
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今日の一品『平戸焼 染付郡鶴文 沈香壺』

2021.02.09 Category :


今日の一品は江戸末期頃の『平戸焼 染付郡鶴文 沈香壺』をご紹介いたします。

こちらは大阪市阿倍野区のお客様よりお譲りしていただきました。

白磁の壺に藍で空に羽ばたく九羽の鶴の姿が丁寧に描かれております。

一羽一羽異なった姿で羽ばたく鶴は職人による手描き。壺の局面にバランス良く配置し、フリーハンドで描くには卓越した技能が必要です。

残念ながら欠損していますが、この壺は沈香壺と呼ばれるもので本来は蓋があります。

中に香木を入れ、客人がきた際に蓋を開け、香りでおもてなしするために用いられた壺です。

ちょうど花を咲かせた紅梅と取り合わせてみました。

江戸時代のものと聞いて驚かれるかもしれませんが、「祖母が持っていた花器類を」と、査定をいただいた際に既製品の中に光る一点として見つけました。

親から子へと引き継がれたものが時を経て、昭和の既製品の花器に紛れて姿を見せるのが面白い。蓋が無くなって花器として用いていたのでしょう。良いものは長い時間を経ても残ってくれます。

紅梅は昨年に別のお客様よりいただいたもの。空家になり、しばらく世話ができなかった為にかなり弱っていた鉢植えをいただきました。

植木の手入れが分からず夏場にはさらに悪化させてしまいましたが、逞ましいもので厳しい暑さと寒さに耐え、綺麗な花を咲かせてくれました。

白・藍・紅が清らかな気持ちにさせてくれます。

以上、簡単ではありますが『平戸焼 染付郡鶴文 沈香壺』 のご紹介でした。
この度は貴重なお品ものをお譲りいただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

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処分するのには忍びないと思われましたら内容・数量を問わずお気軽にご相談ください。
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平戸焼/三川内焼

長崎県佐世保市三川内 (みかわち。三河内) で産する磁器。三河内 (みこうち) 焼ともいう。安土桃山時代,平戸藩主松浦 (まつら) 鎮信が朝鮮人陶工を連れ帰って,平戸市山中町に御用窯を開いたが,元和8 (1622) 年2代松浦隆信のとき三川内に移され現代まで続いている。作品は茶器,酒器,花器が多く,精巧な白磁,青磁を産する。唐子絵を染付けたものは特に有名。

https://kotobank.jp/word/平戸焼-121589
(コトバンクより)



今日の一品 『七草香炉』 青鳳作

2021.01.29 Category :

今日の一品は青鳳作の『七草香炉』をご紹介いたします。

こちらは大阪府枚方市のお客様よりお譲りしていただきました。

草花と共に蝶やキリギリスといった小さな昆虫も細かく彫金されており、とても優雅な一品です。

秋の七草かと思いましたが、花の種類が判然としないものもあるので季節を問わずお楽しみいただける一品かと思います。

香炉は「観ること・香ること」と日常的に楽しめるのでいいですね。

私も季節や気分で取り替えて楽しんでいます。

網代編の竹籠形もいいですね。

材質は銀900。 1000が純銀ですので10%別の金属が加えられております。

銀は少し前に比べ、倍以上の価格となっており価値が高まっています。

状態も良好で共箱のお品で高評価となりました。

以上、簡単ではありますが青鳳の『七草香炉』 のご紹介でした。
この度は貴重なお品ものをお譲りいただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

ORIGENでは銀製香炉を始め、様々な銀製品を探しております。
古美術品などの骨董品を中心に時代家具や建具まで幅広く取り扱っております。
丁寧な査定をお約束。古いものの売却はORIGENにお任せください。
お品ものの買取や売却に関してのご相談はお電話またはメールフォームよりご相談ください。
よろしくお願いいたします。

青鳳(せいほう)
本名は内島市平、富山県高岡市生まれ。彫金家。1928年、高岡工芸学校にて教諭として勤務。国会議事堂銅扉装飾金具仕上げに従事したり、ベルギー万国博覧会にて名誉大賞を受賞するなどしている。



今日の一品 『手捏ね 煎茶急須と煎茶碗』 大田垣蓮月作

2020.09.25 Category :

大阪市中央区のお客様よりお譲りしていただきました。

ご親戚の方の趣味が骨董品蒐集だったそうです。今回、建物の処分に伴う整理時にご相談くださいました。

色々と細かく拝見させていただいている中、水屋の中の木箱に目が止まりました。

箱を開けてみると…

凡そ片手にすっぽりと収まる小さな丸い急須。

細かい貫入のある土肌が柔らかな、風情ある一品です。

轆轤などの道具を使わず手捏ね(てずくね)という方法で成形されています。

胴には何やら文字が刻まれています。

蓮の花の形をした蓋のつまみは繊細に作られています。

揃いの茶碗五客は貫入から柔らかな陶土へとお茶が染み込むことによって作り出された絶妙な色味となっています。使い込み具合によってそれぞれ一点もの。

作者は江戸時代後期の尼僧であり、著名な歌人である大田垣蓮月。

歌人としての評価もさることながら陶芸品も数多く制作しております。

陶芸品は蓮月焼と呼ばれており、手捏ねのやきものに和歌を釘彫するのが代表的な作風です。

その人気故に偽物も多いお品ものとなります。が、偽物を公認していたとされる逸話もあります。

蓮月に関して改めて調べると面白い記述が沢山あり、作品はもちろんのこと、その生涯を含め実に見所の多い人物。また別のお品ものを入手する機会がありましたらご紹介します。

明けたてばはにもてすさび暮れゆけば仏をろがみ思ふ事なし

通釈:夜が明けてきたら、粘土をもてあそび、暮れてきたら、仏を礼拝して、ほかに思うことはない。

以上、簡単ではありますが大田垣蓮月の『手捏ね 煎茶急須と煎茶碗』のご紹介でした。
この度は貴重なお品ものをお譲りいただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

ORIGENでは急須や茶碗を始め、様々な煎茶道具を探しております。
古美術品などの骨董品を中心に時代家具や建具まで幅広く取り扱っております。丁寧な査定をお約束。古いものの売却はORIGENにお任せください。
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大田垣蓮月(おおたがきれんげつ)
1791年、京都の三本木に生まれる。俗名はのぶ。生後すぐに大田垣光古の養女となる。1823年に知恩院で剃髪、蓮月を名乗る。その後、詠んだ和歌を記した陶器を制作。それが「蓮月焼」としてかなりの人気を得る。しかし蓮月は飢饉の際に喜捨をするなどし、自身は質素な生活を好んだ。生涯で2度の結婚と4人の子どもをもうけるも、全て早くに死別してしまう。1857年12月10日に85歳で逝去。
和歌では貞心尼ていしんに(越後)、千代女ちよじょ(加賀)に並ぶ三大女流歌人の一人である。



今日の一品 『長閑形銀張釣 鐵瓶』 平安三徳堂造

2020.09.16 Category :

大阪府箕面市にお住まいのお客様より、ご自宅の建て替え工事に伴うお道具類の整理の際に出張査定のご依頼をいただきました。

長年受け継がれてこられた様々なお道具類があり、一点一点細かく査定させていただきました。

今回ご紹介する一品は未使用で保管されていた平安三徳堂の鉄瓶です。

長閑形と呼ばれる最も正統な姿をしており、鉄地は白肌に仕上げられております。また、釣(掴手)部分は銀張が施されており、格調高い鉄瓶となっております。

重厚感のある紫斑銅に梅型の銀摘みもとても上品です。

鉄瓶には象嵌や文様の凝った別誂のものから普段使いのものまで色々とありますが、今回ご紹介した鉄瓶のような正統派のものは飽きが来ず、長く愛用できる気がいたします。

直ぐに使い始められ、一から育てられる未使用品でしたので高評価につながりました。

使用品ですと錆びているもの、蓋や箱の無いものも多いですが、そういった状態であっても是非ご相談ください。

以上、簡単ではありますが平安三徳堂の『長閑形銀張釣 鐵瓶』のご紹介でした。
この度は貴重なお品ものをお譲りいただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

ORIGENでは鉄瓶を始め、様々な金属工芸品を探しております。
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今日の一品 『漢瓦楽一字純銀火舎 耳付香炉』三浦竹泉・秦蔵六造

2020.09.14 Category :

大阪市平野区より、お祖母様が遺されたお品ものの出張査定のご依頼いただきました。

お茶道を嗜んでおられたそうで、お茶道具を中心にご遺品を細かく査定させていただきました。

中でも高く評価させていただいたものが、『漢瓦楽一字純銀火舎 耳付香炉』です。

京焼の名跡である三浦竹泉と鋳金家として名高い秦蔵六による合作。

両家ともに江戸期より技を継承し続ける名跡です。

やきもの、金工とそれぞれのルーツと言えば、中国。この作品からは両氏の中国陶磁器、青銅器への憧憬を感じます。

青磁釉と陰刻技法が明時代の龍泉窯の青磁香炉のごとく、火屋部分は漢時代の瓦当を模した形式となっており、両氏に共通する思想と見事な技によってしか結実しえない逸品かと思います。

以上、簡単ではありますが三代三浦竹泉と四代秦蔵六による合作『漢瓦楽一字純銀火舎 耳付香炉』のご紹介でした。
この度は貴重なお品ものをお譲りいただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

ORIGENでは香炉を始め、様々な香にまつわるお道具を探しております。

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三浦竹泉(みうらちくせん)
京焼(清水焼)の窯元・名跡。
三代竹泉:1900年生まれ。初代竹泉の末子。兄二代竹泉が早世し、兄の子息も幼少だったため1921年に襲名。1931年に四代に家督を譲るも「竹軒」と号し製作を続ける。当代は5代。

秦蔵六(はたぞうろく)
江戸期から続く鋳金家の名跡。
四代秦蔵六:1898年生まれ。江戸末期からの「蔵六」の名と鋳金技法を継承した。二世蔵六に師事。技術保存資格者。京都金属工芸協会長をつとめる。1984年12月1日、87歳没。

漢瓦(かんが)
漢時代の瓦。先端部分(当)に様々な文字や図といった装飾が施されている。



今日の一品 心斎橋 羽田製『石肌砲口宝珠銀瓶』

2020.08.31 Category :

本日は大阪市東住吉区のお客様より、出張買取りにてお譲りしていただいたお品ものをご紹介いたします。
玉葱の様なぽってりとした形におちょぼ口のような注口のついた愛嬌のある純銀製の銀瓶です。
生前、お爺さまがよく使われていたものだそうで渋みの出た風情ある趣きです。

丸みのある形からぴゅっと飛び出したシャープで絶妙な角度の注口は湯切れがとても良さそうです。

アケビの蔓を用いた掴手は使い込むほどに手に馴染み、美しい飴色への経年変化も楽しみのひとつ。傷みやすい自然素材に補強も兼ねた細い銀針金がアクセントになっています。

かつて、大阪の心斎橋にあった羽田貴金属店が製造販売した銀瓶で品質も良く評価の高いお品ものです。本品は蓋裏にある羽田製・純銀の刻印の他に設立記念と受け取られた方の名前も刻印されております。固有名詞などの刻印は無い方が望ましく、やや評価が下がってしまいますが、刻印があっても問題はありません。

愛嬌のある形ながら、経年変化によるいぶし銀への変色が風格を与えています。自然素材のアケビの掴手は銀の重みのある印象を和らげるだけでなく、熱を伝えにくく、手に馴染み普段使いにも適した素材です。手にすっぽりと収まる大きさも魅力的で毎日愛用したくなる一品です。

以上、簡単ではありますが心斎橋羽田製の銀瓶のご紹介でした。
この度は貴重なお品ものをお譲りいただき誠にありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

ORIGENでは銀瓶を始め、様々な銀製品を探しております。
古美術品などの骨董品を中心に時代家具や建具まで幅広く取り扱っております。
丁寧な査定をお約束。古いものの売却はORIGENにお任せください。
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よろしくお願いいたします。



今日の一品 香器『待春』帖佐美行作

2020.07.31 Category :

大阪市西淀川区のお客様よりお譲りしていただきました。

独特な形の香炉。

銅に銀鍍金を施し、鏨で可愛らしい蝶と水玉文を彫刻しています。

作者は文化勲章受賞者であり文化功労者の彫金家帖佐美行氏です。

作品名は『待春』

白檀のやさしい香りが漂ってきそうな爽やかな香炉です。制作年代は1980年代頃と思われます。

香炉は実用的で人気のあるお品ものです。

こちらの香炉は見た目も可愛らしいのでお香が苦手な方は飾って楽しむのも良いかもしれません。

最近、お香に少し凝っているので、しばし楽しんでから次の方にお譲りしたいと思います。

以上、簡単ではありますが帖佐美行の香器『待春』のご紹介でした。
この度は貴重なお品ものをお譲りいただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

古美術品などの骨董品を中心に時代家具や建具まで幅広く取り扱っております。
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帖佐美行(ちょうさよしゆき)
1915年鹿児島県出身。1930〜38年まで彫金家小林照雲に、1940年からは彫金家海野清に師事。

1966年日本芸術院賞受賞。[1]

1969年日展理事に就任。

1974年日本芸術院会員になる。

1975年日展常務理事に就任。

1987年文化功労者、1993年文化勲章受章。