おくりもの

2023.03.03 Category :


大阪府堺市のお客様より、お預かりしていた雛人形と家紋入の提灯箱を写真に収めてお返しさせていただきました。

昨年に制作したおくりものを見ていただき、空き家になっていたご実家の処分に際し、おくりものの制作と買取り、お片付けのご相談をくださいました。

買取りできるもの、廃棄するもの、残しておきたいものを一緒に選別する中、雛人形と家紋入の提灯箱を前に手を止められました。

「両親が揃えた雛人形をそのまま廃棄するのは忍びなく、、、
昔から家にある提灯箱はひとつだけ手元に残しておきたいんですが、虫喰でボロボロで」

どちらも出来れば残しておきたいけれども保管場所や管理に困り、やむ終えず手放すこととなったお品ものです。

雛人形は昭和50年頃のもの。

お預かりした時には残念ながら男雛の冠と立纓(りゅうえい)、笏(しゃく)、女雛の釵子(さいし)が欠損していました。
そのままだとなんだか寂しい気がしましたので、補うことにしました。

笏は薄板から削り出しました。
立纓は作るのが難しかったので冠と共にサイズの合うものを気長に探していたのですが、なかなか出会わず、、、冠は何とか見つかったものの、立纓は昨年に撮影したものから画像合成しました。

釵子は同じく処分に困られている方が持っておられた女雛のものがシンデレラフィット。
事情をお伝えしたところ、快くお譲りくださいました。

「私と妹の分でふたつ。小振りなものがいいです」
とだけご要望をいただき、おまかせで制作させていただきました。

「急がないので、いつでも大丈夫です」
お言葉に甘えてのんびりしていましたがギリギリになって大慌て。
なんとか3月3日に間に合いました。

どこかに飾っていただければ幸いです。

この度は大切なお品ものをお譲りいただきまして誠にありがとうございました。
この場をお借りしてお礼申し上げます。

Original:男雛女雛 昭和/提灯箱 明治時代
Revived product:雛人形提灯箱三ツ窓写真飾 令和五年弥生 Limited,2

これまでのおくりもの
皆朱群鶴蓑亀松竹梅図五ツ組写真飾 令和三年睦月 Limited,2
雛人形青磁壺三ツ窓写真飾 令和四年弥生 Limited,1
建具職人木工手道具黒仕立写真飾 令和四年水無月 Limited,1
大正昭和板硝子写真飾 令和四年師走 Limited,1



おくりもの

2023.02.10 Category :


「1年後、実家を解体することになりまして古いものが色々とあるので一度見に来ていただけませんか」とご縁をいただきました。

仕事の合間を縫って少しずつ、お家の整理をされておられ、古いものが見つかる度にご連絡いただきお伺いさせてもらいました。

足を運ぶ度に家財が減っていき、いよいよ解体工事の着工直前。

最後に残っていた建具の硝子に眼が止まり、少し分けていただきました。

決して珍しい硝子でも建具でもないのですが、割れてしまったせいなのか。

一枚の建具に時代もデザインも異なる硝子が嵌められていました。

多いものでは四種類もの硝子が嵌められており、割れたにしては違和感がありました。

いつの頃か意図して異なる硝子を選んで嵌め込んだのかもしれません。

昔の板ガラスには実に豊富な種類があります。

今回、お譲りいただいた硝子は大正-昭和期のもので結霜・銀河・霰・菱・燕・ダイヤ・磨・透明の八種。

「解体時に割って廃棄されるのがどうにも気持ち的に…」

ほんの一部ですが小さくカットして額に収めさせていただきました。

思いつきで作り始めた為、厚みの異なる硝子を薄い額に収めて固定するのには予想外に手こずりました。
デザイン/設計部とミリ単位の調整を繰り返し、最終的には6層に。

春には同地に新しいお家を建てられるとのこと。

光の差し込む窓辺に飾っていただければ幸いです。

この度は大切なお品ものをお譲りいただきまして誠にありがとうございました。
この場をお借りしてお礼申し上げます。

Original:板硝子/大正-昭和
Revived product:大正昭和板硝子写真飾
令和四年師走 Limited,1

これまでのおくりもの
皆朱群鶴蓑亀松竹梅図五ツ組写真飾 令和三年睦月 Limited,2
雛人形青磁壺三ツ窓写真飾 令和四年弥生 Limited,1
建具職人木工手道具黒仕立写真飾 令和四年水無月 Limited,1



おくりもの

2022.06.22 Category :


「昔、建具屋をしていたんですが古いガラスや道具があるので一度見に来ていただけませんか」とご縁をいただきました。

建具職人であるお父様が長年大切に愛用してきた木工道具の数々。

手元から去るのが少し名残惜しい表情をされていたお客様にお品ものの写真を撮影しお返しさせていただきました。

どれも長年使い込まれ、飴色に経年変化した味わい深い道具達。

鑿は刃先がなくなる寸前まで何度も何度も研がれています。

この状態になるまで一体どれほどの時間、木と向き合ったのでしょうか。

「注文の建具はきっちり納めるけれど暇がなく自分の家の建具は、、、、いつも忙しく、腕はよかったと思います」

一挺毎にしっかりと押された焼印からは道具への思い入れと愛が感じられます。

フレームに特別な窓を開けさせていただきました。

建具を作り続けた作業場を少しリフォームするとのこと。片隅に飾っていただければ幸いです。

この度は大切なお品ものをお譲りいただきまして誠にありがとうございました。
この場をお借りしてお礼申し上げます。

Original:鉋/鑿/作業台 昭和
Revived product:建具職人木工手道具黒仕立写真飾 令和四年水無月 Limited,1



おくりもの

2022.03.03 Category :


お客様より、お譲りいただきました中国の青磁壺と廃棄することになっていたひな人形を写真に収めてお返しさせていただきました。

中国の青磁壺はお祖父様の時代から床の間に飾られていたもので中国の方からの贈りもの。

ひな人形はお客様が子供の頃からひな祭りの時期に飾られていた昭和のもの。

どちらも実家の処分に際し保管場所に困り、やむ終えず手放すこととなったお品ものです。

今の住宅では床の間の無いのが当たり前なっているので大きな壺の飾り場所に困ってしまうことも多いかと思います。

ひな人形の大きな雛段の組立や保管もとても大変ですね。

昔は大家族が多かったのでそういったことも家族総出で毎年できていたのかも知れません。

お約束から2年もお待たせしてしまいましたが、なんとか今年の桃の節句に間に合いました。

気長に待っていただきありがとうございました。どこかに飾っていただければ幸いです。

この度は大切なお品ものをお譲りいただきまして誠にありがとうございました。
この場をお借りしてお礼申し上げます。

Original:男雛女雛 昭和/青磁牡丹唐草文壺 清時代
Revived product:雛人形青磁壺三ツ窓写真飾 令和四年弥生 Limited,1



おくりもの

2022.01.24 Category :


お客様より、長年守られてきた大切なお品ものをお譲りいただきました。

同じものはふたつと無い、かけがえのないものです。

お手元から離れることとなったお品ものに新たな価値を与え、生まれ変わらせてお返しさせていただきました。

漆塗椀に施された繊細な蒔絵をお守りするように透明なアクリルの中へと封じ込めました。

凡そ150年の長い時を経て

光沢を失いつつあった漆椀が新たな光を感受し、輝きを取り戻しました。

本来の用途からは離れ、杯として用いることはできませんがその代わりとなる新たな命を授けました。

創業間もない頃にとてもお世話になったお客様を随分お待たせしてしまいましたが、これからお客様の元へと沢山の吉兆を運び、末永く平安をもたらすお品ものとなることを祈念し返礼とさせていただきます。

この度は貴重なお品ものをお譲りいただきまして誠にありがとうございました。
この場をお借りしてお礼申し上げます。

Original:皆朱群鶴蓑亀松竹梅図五ツ組杯 江戸末-明治初
Revived product:皆朱群鶴蓑亀松竹梅図五ツ組写真飾 令和三年睦月 Limited,2