こんにちは。スタッフNです。
春から初夏へと季節が移ろうこの頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回は、有田焼の名窯『香蘭社』の煎茶器揃についてご紹介させていただきます。
香蘭社の設立は明治8年。伝統的な技術に革新を重ねながら「香蘭社スタイル」と呼ばれる独自の美を築き上げてきた由緒ある窯元です。
澄んだ白磁に呉須とやわらかな桃色を用いた彩色が上品で、洗練された佇まいの一品。
丁寧な筆致で描かれた桃の枝葉や果実からは、職人の卓越した技術と繊細な美意識が感じられます。
木箱には「元首相 陸軍大将 阿部信行閣下より頂く」と記されており、本品がお客様に贈られた経緯を伺い知ることができました。
共箱の墨書きによると、阿部信行元首相の御令息夫人が出産の際に帝王切開手術を受けられ、その執刀医に対する感謝の印として本品が贈られたそうです。
桃は古来より、魔除けや長寿、子孫繁栄の象徴とされており、大変なご出産を無事に終えられた安堵と祝福の気持ちを託すに相応しい意匠であると感じました。
共箱に綴られた記録から、贈り主の深い感謝と労いの心が伝わるとともに、受け取られた方の喜びや敬意が感じられるお品ものでした。
この度は大切なお品ものをお譲りいただき、誠にありがとうございました。
品名:煎茶器揃
産地:香蘭社|佐賀県(有田町)
時代:昭和十五年(1940年)
公式サイト↓
香蘭社
前回のブログ↓
骨董品買取|大阪府貝塚市にて三代清風与平の煎茶碗を買取させていただきました!