
「自宅に眠っている絵画作品を査定してもらう際、サイズを一言で簡潔に伝えたい」と悩んだことや、
「絵画のサイズに決まりはあるのだろうか?」と疑問に思ったことはありませんか?
今回はそんな絵画のサイズ(キャンバスサイズ)について、サイズの一覧表も交えて解説いたします。
キャンバスサイズ/種類

キャンバスサイズとは?
絵画(キャンバス)の大きさは「F◯号」などアルファベット+数字を組み合わせて表されることが一般的です。これを「号数」と呼びます。
長辺の長さで号数が、短辺の長さでF/P/M/Sの4種類に分けられます。
画材店などで売られているキャンバスや額縁の多くがこの号数をサイズの基準としています。
長辺と短辺が同じ長さとなるS(Square:正方形)サイズを除くと F、P、Mの順に短辺が長くなり、画面が広がっていくイメージですね。
キャンバスに絵を描く際のモチーフ(題材)として選ばれやすい、
F(Figure:人物) | P(Paysage:風景) | M(Marine:海景)
それぞれに適したサイズとしてそのフランス語の頭文字をとった名前となっています。
これらはあくまでも目安であり、必ずしも「人物を描くならばFサイズでなければならない」というわけではありません。
元々キャンバスサイズはフランスで定められ、後に日本でも導入されました。
日本で用いられるキャンバスサイズと、フランスをはじめとした海外で用いられるキャンバスサイズには若干の違いがあります。
これは日本に導入された当時、尺貫法に置き換えられていたサイズを尺貫法の廃止に伴ってメートル法に換算した際に誤差が生じたものです。
海外で制作された絵画作品の額縁を用意する場合、キャンバスが海外(フランス)サイズか日本サイズか確認する必要があります。
キャンバスサイズ(号数)一覧表日本サイズ

SMサイズとは?
SMサイズは「サムホールサイズ」と呼ばれます。
日本の画材店が考案した日本独自の規格で、パレットに空いた親指を入れる穴「Thumb hole(親指の穴) 」に由来しています。
F/P/M/Sの比率から外れた独立したものとなっており、おおよそハガキ2枚分の手頃なサイズです。
絵画のサイズに潜む黄金比と白銀比
Mサイズ | Marine | 海景

Mサイズは”最も美しく感じられる比率”とされる黄金比に近い比率で、おおよそ 1 : 1.1618 の縦横比率となっています。(※号数によって比率に若干の誤差があります。)
レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ (ラ・ジョコンダ)』はMサイズのキャンバスを縦構図にして描かれています。
ちなみに、Pサイズを2分割するとちょうどFサイズとほぼ同じ比率となります。
Pサイズ | Paysage | 風景

Pサイズは白銀比と呼ばれる1対1.414(あるいは1対2.414)に近い比率で、身近な例ですとハガキやコピー用紙などの規格であるA判やB判にも用いられています。(※号数によって比率に若干の誤差があります。)
白銀比を半分にするとその半分も白銀比、その半分もまた白銀比…となり、どれだけ半分にし続けていっても全てが白銀比となる合理的で無駄のない比率となっています。
世界最古の木造建築物として知られる奈良の法隆寺や銀閣寺、五重塔などにもこの白銀比が用いられており、別名『大和比』と呼ばれるほど古来より日本人が美しいと感じる比率と言われています。