He is back.

2020.05.15 Category :

時計修理の専門店にオーバーホールを依頼していたGrand Seiko 61GSが帰ってきました。

見事に復活。

内部の傷みが激しい不動品でしたが、職人さんの腕のお陰で時を刻み始めました。

GrandSeikoHI-BEAT(Ref.6146-8050)Cal.6146A 1972年製

48年前の時計です。ハイビートの小刻みで軽快な稼働音がとても心地よい時計です。

文字盤は濃紺色。

この濃紺色の文字盤については色々と調べたのですが、確かな情報が掴めませんでした。

Grand Seikoに詳しい知人二人に聞いたところ、

「現行のGrand Seikoは多種多様なカラーの文字盤があるが、本来は白・アイボリー系統だけで濃紺色のものは無い。つまりこれは後塗りと呼ばれるもので文字盤の傷んだGrand Seikoを海外で再塗装して再販したもの」

という意見と

「これは紛れものくオリジナルの文字盤。キングセイコーがバラエティに富んだモデルを販売していた時期に高位機種であるGrand Seikoも特殊なモデルをいくつか作った。この時計もその中のひとつで、濃紺文字盤カットガラスの風防どちらも紛れもなくオリジナル」

との2つの意見に別れました。私はGSオタクでは無いのでどちらが正しいのか分かりませんが、実物をルーペで細かく見た上での印象では後者の意見が正しいような気がいたします。

そして、私としては文字盤がオリジナルか否かよりも、この文字盤固有の特徴が堪らない。

前回のBlogを見ていただいた方の中にはお気づきになった方もおられるかもしれませんが、濃紺の文字盤全体に退色による色の変化と銀色の斑点が無数に現れており、さながら星空のようです。

銀色の斑点は湿気に晒されたことが原因による浮き錆ですが、光の当たる角度で表情が変わる様は曜変さながら。

見方によっては文字盤の傷んだジャンク品に見えるかもしれませんが、偶然によって生まれたここにしかない一本。長い時間が生み出した特別な美しさがあります。

ヴィンテージウォッチの世界ではROLEXのトロピカルダイヤルに代表するような美しい経年変化は時計の価値を高める要素になる場合があります。

この一本もそのひとつ。不動品や傷みのあるお品ものでも本来の価値以上のものがあるかもしれません。



Grand Seiko,OH #1

2020.02.27 Category :


先日、お客様よりお譲りしていただいた一本。

Grand Seiko HI-BEAT(Ref.6146-8050)
通称61GS

今から48年前の1972年製の時計です。

エッジが鋭くカットされた立体的なデザイン。

とても良い時計ですが、残念ながら不動。

細部までこだわって作られた時計をもう一度稼働させるべく、修理専門の時計店にオーバーホールを依頼しました。

風防はケースのカットデザインに合わせた3面カット加工の施されたクリスタルガラス製。

厚みのあるガラスと手間のかかる加工が当時の時計造りへの思いを感じさせます。

裏蓋を開けてみると、錆びついた無惨な姿のムーブメントが。

ムーブメントは国産腕時計初の10振動ハイビートCal.6146A。

経年の汚れも目立ちますが、ローター部分の青サビが深刻です。

優秀なムーブメントなので復活してくれるはず。

リューズはGSロゴがしっかり残っていて良好(オリジナルパーツ)。

劣化しやすい裏蓋のGSメダリオンも経年の割にはしっかり刻印が残っています(オリジナルパーツ)。

SEIKOの最上級ラインであるGrand Seikoは“実用時計の最高峰“というコンセプトのもとに造られています。

狂いの少ない正確な時刻精度。

実直でシンプルなデザインなので飽きがこず長く愛用できる一本。

オーバーホールの完了予定は3週間後。

無事に戻ってきたら改めてご紹介いたします。