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今日の一品 戦後路上のストリートスナップ by 徳力富吉郎

2021.12.13 Category :

骨董品出張買取 徳力富吉郎 木版画
こんばんは。ORIGENのブログ担当Sです。

今日は木版画のご紹介です。

師走の風景を思わせる寂しげな一場面を切り撮った興味深い作品を買取りさせていただきました。

こちらは守口市のお客様よりお譲りいただいた一品です。
骨董品出張買取 徳力富吉郎 木版画2
薄暗い夜の路上にある移動式の屋台。店主が吹くチャルメラの音色が寂しく、響きます。

影になった人物や枯れた柳や歪んだ路面が見る人の心理を不安にさせます。

客人も他の屋台も無く寂しげな風景ですが、そば”の行灯が唯一、気持ちを安心させてくれます。
骨董品出張買取 徳力富吉郎 木版画3
これは昭和25年の作品。

光と影のコントラストを巧みに使い、戦後の貧しい時代の空気感を見事に捉えています。

高校生の頃、大阪の西成の町に興味を持ちカメラを下げて夜の街を徘徊したことがあります。

当時、この木版画にあるような移動式の屋台を引いたおっちゃんに写真を撮らせてもらった記憶を思い出しました。

もう17.8年前のことです。恐らく当時でも現存数僅かと珍しかった移動式屋台。今はもうないかもしれません。
骨董品出張買取 徳力富吉郎 木版画4
作者は明治末から平成を生きた版画家。徳力富吉郎。

徳力富吉郎の作品は時折、取り扱いますが古都の街並みや寺社仏閣の情景を捉えた作品が多く、写真家に例えると風景写真家という印象を持っていました。

本作は風景写真というよりも夜のストリートスナップ。

さながら、戦後日本写真史に大きな足跡を残す木村伊兵衛の眼差しのようです。

古都の名所を描いたものもいいですが、中華そばの方がリアリズムがあっていいですね。

巧みな画面構成で当時の一瞬を見事に表現した良い作品だと思います。

以上、簡単ではありますが徳力富吉郎の木版画のご紹介でした。

この度は弊社へご依頼いただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

徳力富吉郎
明治35年〜平成12年、京都府出身の版画家。西本願寺絵所を預かる家系の12代目。
京都市立美術工芸学校、京都市立絵画専門学校を首席で卒業。土田麦僊に師事。国画創作協会に参加。
木版画制作に夢中になり、平塚運一、棟方志功らと版画誌『版』、麻田弁自らと『大衆版画』を創刊。
版画制作所を設立し浮世絵方式による量産も行い、京都創作版画運動の中心的存在だった。
受賞歴:樗牛賞、国画賞、勲四等瑞宝章受章、京都市文化功労賞受賞
著書:『版画随筆』、『日本の版画』、『版画入門』


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Make Lost Parts

2021.12.08 Category :

骨董品出張買取 照明金物の復元
会社の階段室に昭和8年製の照明器具を3灯取り付けているのですが、内1灯の房形金物が欠損しておりましたので複製を製作しました。

近年、女性を中心に流行?しているUVレジン製(樹脂)です。

オリジナルは真鍮鋳物製。

いつか類似のものが見つかればその時に取り付ければいいかと思っていましたが、珍しい照明なので出てくることも無く・・・

やっぱり飾り房がないと何とも格好が悪いので作ってしまいました。
骨董品出張買取 照明金物の復元2
真鍮鋳物で1点のみ特注したら結構な費用がかかるな~とケチな事を考えていた時に妻がUVレジンでアクセサリーを作っていた事を思い出しました。

まずはオリジナルから半分ずつ、シリコンで型を作ります。

シリコン型は硬化に1日かかりますが、レジンはUVライトを照射すると数分で硬化します。
骨董品出張買取 照明金物の復元3
エイジング塗装を担当したのは短期バイトのはずが、会社に居ついてしまった手先の器用な画家アルバイターM。

日常業務はてんてこまいな彼女ですが、こういった作業だけはどこからか別人格が現れます。
骨董品出張買取 照明金物の復元4
ご安心ください。

ちゃんと刳貫いてますよ。

細部までこだわりました。
骨董品出張買取 照明金物の復元5 点灯
逆光で全く見えません。細部までこだわった意味がありませんでした・・・・

でもパーツが付いてキリッと格好良くなったのでokです。

機能に関わらない飾り金物であればUVレジンの複製はありですね。

照明器具は昭和8年に建てられた築88年の家屋が解体される際に取り外して移設したものです。

写真には写っていませんが、受け金具は幾何学的なアールデコ様式です。

丸いガラスグローブを囲う枠には中国趣味を感じさせる装飾が施されています。

浮かび上がる三つ葉紋様には正式な名前があるのかどうかはまだ調べておりません。

ひとつの灯りのなかに西洋と東洋の趣きが同居し、混じり合った憧憬のようなものが感じられます。

1930年代と言えば政治的に複雑な時代。当時の日本の意匠の中に列強文化の模倣と遙か遠い中国文化へ憧れの意識があったことは想像に難くないですが、意図的に組み合わせたと考えるのには、いささか無理があるでしょうか?

単なる偶然かもしれませんね。

以上。失われた照明パーツ製作事例のご紹介でした。

ご清聴ありがとうございました。


純銀凸凹花瓶修理の巻

2021.12.01 Category :

骨董品出張買取 羽田製美秀刻松鷹図純銀花瓶
出張査定のご依頼をくださった大阪市東住吉区のお客様より、修理のご相談をいただきました。

燻銀の風格とフォルムの美しさをあわせ持つ逸品です。が・・・
骨董品出張買取 羽田製美秀刻松鷹図純銀花瓶の修復過程
残念なことに凸凹です。

「何度も落下し、凸凹になってしまったんです。ORIGENさん修理ってされてますか?絵が気に入っていて、これは売るつもりはないのですが凹みを直したいんです。。。」

銀の価値だけで処分するのは忍びない。何よりも絵柄が気に入っているから手放したくない。

古くから家にある良い品ものなので修理したいと思いながらも早数十年。が経ったそうです。
骨董品出張買取 羽田製美秀刻松鷹図純銀花瓶の修復過程2
口が狭く、くびれているのでなかなか難しそうだな~と思いつつも職人さんの腕を信じて

「彫金家の知人がおりますので恐らく修理可能です!」と、お預かりさせていただきました。

結果は・・・・・・
骨董品出張買取 羽田製美秀刻松鷹図純銀花瓶の修復完了
見事、美しい姿へと蘇りました!!!

表面は燻銀のままが良いとのご要望があったため、表からの加工が出来ないという制約の中、見事に修理して下さいました。
職人さん曰く、裏から押出すために専用の道具を作ったそう。

細い首を通して、絶妙な角度で押出すのは至難の技。いつも難しい案件に応えていただきまして、ありがとうございます。
骨董品出張買取 羽田製美秀刻松鷹図純銀花瓶のアップ
お客様の大切なものを復活させることができよかったです。

これからも長く大切にされてください。

この度は修理のご依頼をいただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

お品もの:羽田製美秀刻松鷹図純銀花瓶